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体験談から学ぶ!在宅介護・通い介護のヒヤリハット対策

「介助中にきちんと支えていなくて、転びそうになった」
「家族で服薬について情報を共有しておらず、同じ薬を2回飲ませてしまった」

このように、介護中にヒヤリとしたり、ハッとしたりした経験はありませんか?
一歩間違えれば重大事故やトラブルにつながる状態を、「ヒヤリハット」と呼びます。
重大な事故やトラブルを未然に防ぐためには、ヒヤリハットの段階で対策を取ることが必要です。

高齢者はちょっとしたケガでも重症化しやすく、寝たきりを誘発することもあります。
この記事では、在宅介護・通い介護(遠距離介護)の経験者に、ヒヤリハット体験をお聞きしました。ヒヤリハットごとに、ご家族が行った対策も合わせてご紹介します。

在宅介護のヒヤリハット体験

神奈川県在住のAさん(46歳)は、夫(49歳)、2人の子供(14歳・10歳)、そして義母(77歳)の5人で、Aさん所有の一軒家で暮らしています。

認知機能が衰え始めた義母を一人暮らしさせることに不安を感じ、2年前から完全同居生活を始めました。ここでは、Aさんが在宅介護中に体験したヒヤリハットを2つご紹介します。

【体験者プロフィール】
Aさん(46歳・パート)、夫(49歳)、長男(14歳)、長女(10歳)、義母(77歳)
神奈川県在住、一軒家で完全同居。

手すりをつけなかったことで、転倒しそうになった

義母を引き取ることになったのは、念願のマイホームを購入した2年後のことでした。北欧テイストが好きで、壁紙もすべてこだわって選んだ大好きな家です。義母と同居するからといって、バリアフリー化する気持ちはまったくありませんでした。義母は物忘れが始まってはいるものの、足腰はしっかりしていたからです。

ある日、廊下を歩いているときに、義母がバランスを崩して転倒しそうになったことがありました。私が近くにいたため、事なきを得ましたが、「もし私がいなかったらどうなっていたのだろう」と思うと、ぞっとしました。家族が不在のときに義母が廊下を行き来することがあるからです。今回の件で廊下に手すりがあれば、転倒を防げたのではないかと感じました。

その話を友人にすると、「最近はレンタルの手すりとかあるみたいだよ」と教えてくれました。

調べてみると、レンタルの手すりはありましたが、介護保険を利用しないと月に数千円かかることが分かりました。介護保険だと月に数百円なので、これをきっかけに介護認定を受けてみることに。すると、要支援2と認定され、家族が思っていたよりも義母の状態が良くなかったことが判明。義母は将来的には施設に入居する予定なので、レンタルの手すりを設置しました。大きな事故になる前に設置して良かったです。

ヒヤリハットが起きた原因
  • 義母の身体能力を過信し、手すりをつけなかった
ヒヤリハット後の対応
  • トイレと廊下、玄関にレンタルの手すりを設置した
  • 段差をなくした
  • 義母が室内で使える杖を用意した

寝たままの状態でクッキーを食べさせて誤嚥しかけた

私(Aさん)が不在の間に起きた出来事です。
10歳の娘と義母がコタツでテレビを見ていたときのこと。義母は「疲れたー!」といって、その場に横になり、娘はテレビを見ながらクッキーを食べていました。

コタツで寝てしまうのではないかと不安になった娘が「おばあちゃん、そのまま寝ると風邪ひくよ」と声をかけたところ、義母は「お腹がすいて起き上がれない〜」。

娘は特に何も考えず、寝そべっている義母にクッキーを渡してしまいました。起き上がって食べるだろうと思い込んでいたのです。少しして、ゴホゴホと激しくせき込む声。娘が慌てて義母を見ると、仰向けの状態でせき込んでいるではありませんか!

娘は自分の力で義母の体を起こすことができず、かなりパニックになったようです。幸い、義母が食べたのがクッキー二口程度だったこともあり、大事には至りませんでした。

ヒヤリハットが起きた原因
  • 「寝たまま食べないだろう」との思い込み
  • 食べている様子を確認していない
  • 長女は、義母が「寝たまま食べると危険」であるとの認識が薄かった
ヒヤリハット後の対応
  • 高齢者の誤嚥や窒息の危険性を家族に周知した
  • 義母が食べている様子をできるだけ確認するようにした
  • 義母は「起きた状態以外での食事NG」を徹底した

通い介護のヒヤリハット体験談

北海道在住のBさんは、妻と2人で生活しています。Bさんは定年退職後、月に1〜2回、約100キロメートル離れた町に住む実母の様子を見に行っています。妻と実母の関係があまり良くないため、同居は難しい状況です。実母は脚が不自由でありながらも、介護認定は受けておらず、近くに暮らす親戚の手を借りて生活しています。

【体験者プロフィール】
Bさん(69歳)、妻(70歳)、母(93歳)
北海道在住。Bさんの母は、Bさん夫妻が暮らす市から約100キロメートル離れた町で一人暮らし。

トイレの便座で軽いやけど

「お母さん、最近いつもお尻のあたりを触っているよ。ケガでもしたのかもしれない」。

母の面倒を見てくれている親戚が、こっそり教えてくれました。母の家を訪問した日のことです。親戚が母本人に聞いても「大丈夫だ」「何でもない」と言い張るばかりだそう。

息子である私(Bさん)がきいても同じような回答だと思い、すぐに病院を受診。医師に母の臀部の状態を確認してもらうと、「少し赤くなってますね。軽い低温やけどになっています」。

低温やけどの原因は、暖房便座でした。先生の説明では、高齢者の肌はデリケートで、人によっては5分座っただけでこのような状態になる人もいるそうです。もちろん暖房便座の温度にもよりますが、母の家は『最低温度』に設定されていました。

低温やけどは、ひどい場合は手術が必要になることもあるようで、「便座の温度や、本人の皮膚状態をこまめにチェックしてください」と言われましたが、通い介護では不可能です。
そのため、暖房便座の使用をやめ、厚みのある便座カバーに変更しました。

ヒヤリハットが起きた原因
  • 暖房便座を使用していた
  • 通い介護で本人状態をこまめにチェックすることができない
ヒヤリハット後の対応
  • 暖房便座の電源をオフにし、便座カバーを使用した

配食サービスのスタッフに、「銀行でお金を引き出してきて」と依頼する

配食サービスの会社からの連絡を受け、仰天しました。母が配達スタッフに「銀行でお金を引き出してきて」と執拗に依頼し、通帳やキャッシュカード、さらには暗証番号を書いたメモを渡していたことが発覚したのです。

幸いなことに、配達スタッフが機転を利かせて対応してくれたおかげで、大きなトラブルには至りませんでした。しかし、もし配達スタッフではなく飛び込みの営業マンだったら、大変な事態になっていたかもしれません。母の通帳には、まとまったお金が入っていたからです。

母に理由を問うと、「テレビ通販で商品を代金引換で買ったため、お金が必要だった」。
母は確かにテレビ通販が好きで、よく買い物をしていました。しかし、毎回訪問時に引き出したお金を渡しているので、不足するはずはないと思っていました。

ですが、確かめてみると家には1万円も残っていませんでした。テレビ通販でほとんど使ってしまったようです。1個1万円程度の物を何個も買っていれば、確かにお金は足りなくなります。

「無駄なものを買うなって怒られるから、言えなかった…」と母が小さな声で言うので、私も自分の態度を反省しました。

ヒヤリハットが起きた原因
  • お金の引き出しを依頼しにくい雰囲気があった
  • お金の用途について後ろめたさがあった
ヒヤリハット後の対応
  • 母が自由に使えるお金の月額を決め、家に置いた
  • 本人のお金の使い方に口出ししないようにした
  • 銀行の通帳やキャッシュカードをBさんが預かった

重大事故を予防するために、ヒヤリハット後に必ずやるべきこと

重大事故を予防するためには、ヒヤリハット体験後に次の2つを必ず行いましょう。

  • 原因と対策を考える
  • 家族にヒヤリハット体験を共有する

ヒヤリハットが起きたら、「なぜ起きたのか」「どうすれば起きないのか」を考えることが大切です。原因が分かり、しっかり対策を講じることができれば、より安全な環境を作ることができます。家族間でヒヤリハット体験を共有しておくと、似たようなシチュエーションを避けることができます。

また、あらかじめ在宅介護で起きやすい事故について知っておくことも役立ちます。
以下の記事では、在宅事故で起きやすい3つの事故(転倒・入浴・窒息)の原因と対策を解説しています。

在宅介護で起きやすい3つの事故(転倒・入浴・窒息)とその対策を解説

上記の3つの事故は早期に適切な対応をしないと、命にかかわることがあります。その後の生活に大きな支障が出たり、要介護状態になったりするリスクもあり、注意が必要です。

ヒヤリハット体験が続くようなら、介護サービスの利用を検討しよう

この記事では、2名のヒヤリハット体験を紹介しました。ヒヤリハットはどんなに気をつけていても発生する恐れがあります。だからこそ、重要になるのが安全な環境作りです。
介護保険サービスを利用すると、福祉用具のレンタルや自宅の改修工事の費用などの負担軽減ができるので、前向きに検討してみましょう。

>>介護リフォームについての詳しい情報はこちらをご覧ください。