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よくわかる介護の話

2021年9月30日

在宅介護で起きやすい
3つの事故(転倒・入浴・窒息)とその対策を解説

住み慣れた自宅で事故に遭う――。少し考えにくいかもしれませんが、実は自宅で不慮の事故に遭う高齢者は年々増加しています。

東京消防庁のデータによると、東京都において日常生活の事故で救急搬送された65歳以上の高齢者は令和元年では8万人以上、事故発生場所は「自宅などの住居」というケースがほとんどでした。

健常者なら軽いケガで済むようなケースでも、在宅介護を必要とする高齢者の場合は、命に係わる大ケガになる場合があります。
そこで今回は、高齢者が自宅で遭いやすい3つの事故(転倒・入浴・窒息)とその対策を紹介します。

自宅での転倒事故の原因と対策

高齢者の不慮の事故で最も多いのが転倒です。転倒場所は自宅などの屋内が半数以上を占めています。居室や寝室など、安全だと思っている場所に危険が潜んでいるのです。
住宅等居住場所における高齢者の「ころぶ」事故の発生場所上位5つ(令和元年中)
1位 2位 3位 4位 5位
事故発生場所 居室・寝室 玄関・勝手口 廊下・縁側・通路 トイレ・洗面所 台所・調理場・ダイニング・食堂
救急搬送人員 22,902人 3,187人 2,342人 1,000人 898人

この章では、自宅での転倒事故の原因と対策を解説します。

わずかな段差でのつまずきが転倒事故の原因になる

高齢者の自宅での転倒事故は、「これくらい大丈夫」というほんの少しの油断から起こります。

高齢になると運動機能や知覚機能が衰え、ちょっとしたきっかけで転倒しやすくなるので、事故を誘発する要因をできるだけ排除することが大切です。

出典:News Release|消費者庁

転倒事故の原因
  • カーペットの端に引っかかる
  • 電気コードに引っかかる
  • 新聞紙やチラシを踏む
  • 靴や靴下を履こうとして、片足立ちをする
  • 玄関や居室内のわずかな段差(引き戸のレール、畳の縁など)に躓く
  • 高いものを取ろうとして、つま先立ちをする
転倒事故の防止対策
  • できるだけ段差をなくす
  • つまずきの原因となる物は置かない
  • 階段に物を置かない
  • 階段に手すりや滑り止めをつける
  • 滑りの原因になる物(スリッパ、サンダル)に注意する
高齢者の転倒事故には常に骨折の危険が伴います。そして、その骨折がきっかけで介助が必要な状態になるケースも多くあるため、気をつけましょう。

<転倒事故防止>家族が気をつけたい3つのポイント

転倒事故は、家族の何気ない言動がきっかけで起こることもあります。特に在宅介護中だと高齢者との距離が近い分、注意が必要です。

ここでは、転倒事故のリスクを減らすために家族が気をつけるべき3つのポイントをお伝えします。

背後から声をかけない

1つ目のポイントは、「背後から声をかけない」ことです。
背後から声をかけられると、誰でも驚いたり、反射的に振り向いたりしますよね。これが、高齢者の場合にはバランスを崩して転倒するきっかけになったりします。

元気そうに見える高齢者でも、足腰やバランス感覚は若い頃よりも衰えています。本人が「どこも悪くないし、若い頃と変わっていない」と思っていても、その感覚に体がついていかないこともよくあります。

高齢者への声かけ方法
良くない例

  • 背後から声を掛ける

  • 遠くから呼ぶ

  • 大声で驚かせる

良い例

  • 本人の隣や正面で声を掛ける

  • 適度な大きさの声ではっきりと話す

  • 目線を同じ高さに合わせる

高齢者に対しては常に転倒する危険性があることを意識して接しましょう。

行動を急かさない

2つ目のポイントは、「行動を急かさない」ことです。
高齢になると、どうしても行動がゆっくりになりますよね。介護する家族が時間に追われていたり、精神的に余裕がなかったりすると、無意識のうちに相手の行動を急かしてしまうことがあります。

誰でも焦りや不安、緊張など、心理的に負担がかかると、いつもより転倒しやすくなるものです。急いでいる時ほど落ち着いて介助するよう心がけましょう。

服薬後は特に気をつける

3つ目のポイントは、「服薬後は特に気をつける」ことです。
ほとんどの薬には何らかの副作用があります。ふらつきや立ちくらみが起こるものも少なくありません。

高齢者は複数の薬を飲んでいることが多く、内臓機能も低下しているため、副作用が出やすいとされています。服薬後は特に気をつけて見守る必要があるでしょう。

溺水・ヒートショック防止!入浴時の注意点5つ

高齢者の不慮の事故の中で、最も重症化しやすいのが溺水(溺れる)事故です。東京消防庁のデータによると、溺水で救急搬送された人の約9割が命に危険がある状態と診断されています。

溺水事故の多くは浴室で発生していることから、本人だけでなく、家族も一緒になって事故防止に取り組みましょう。ここでは、入浴時に特に注意すべき点を5つにまとめました。

1.入浴前に脱衣所や浴室を暖める

入浴前後に気をつけたいのが、ヒートショックです。

ヒートショックとは、急激な温度差が体に与える悪影響のこと。ヒートショックは心臓に大きく負担をかけ、心筋梗塞や脳卒中、失神を引き起こします。浴槽内で意識を失うと、溺水の可能性が高くなるので大変危険です。

とても恐ろしいヒートショックですが、入浴前後の温度差をできるだけ少なくすることで予防することができます。

ヒートショックの予防策
  • 脱衣所にヒーターなどを置き、あらかじめ暖めておく
  • 入浴前にシャワーの蒸気で浴室を暖めておく
  • 浴槽のふたをあけておき、蒸気で浴室を暖める

熱すぎるお湯、長風呂はNG

入浴は、適温で適度な時間を心がけましょう。熱すぎるお湯はのぼせる原因となります。半身浴でも長時間になるとのぼせやすくなるので注意しましょう。

入浴の目安は、お湯の温度は41度以下、入浴時間は10分以内です。
長風呂はのぼせの原因だけでなく、心臓にも負担をかけます。「意識がもうろうとする」「疲労感が増す」など、転倒や溺死のリスクが高くなります。

浴槽から急に立ち上がらない

入浴中に急に立ち上がると、血圧が急激に下がる恐れがあります。立ちくらみを起こして転倒するケースも少なくありません。

勢いよく立ち上がらずに、浴槽の縁に手を置いて、ゆっくりと立ち上がることを心がけましょう。

食後すぐや服薬後の入浴は避ける

食後すぐに入浴すると、失神する恐れがあります。食後は消化器官に血液が集まり、いつもより血圧が低くなるためです。また、服薬後の場合、副作用が影響する可能性もあります。
入浴を避けるタイミング
  • 食後すぐ
  • 服薬後
  • アルコールが抜けていない
  • 体調がすぐれない

入浴中の思わぬ事故を防ぐためにも、上記のタイミングでの入浴はやめましょう。

入浴時は必ず声かけをする

どんなに気をつけていても、入浴中に事故が起こる可能性はあります。
そのため、入浴するときには下記のことを行うと安心です。

高齢者が入浴するとき・しているときに実践すると安心なこと
  • 本人が家族の誰かに「これからお風呂に入るよ」と声をかけること
  • 高齢者が入浴中は、家族の誰かが家屋内にいること
  • いつもより入浴時間が長い場合は、声かけや見回りをすること

入浴中の事故は、発見が遅れるほど、命が助かる可能性は低くなります。
入浴中に何かが起こった場合、早期の対応が生死を分けますから、入浴していることを家族が把握しておくようにしましょう。

窒息事故を防ぐために知るべきこと

高齢者の自宅での事故の中で、溺水に次いで重症化する危険性が高いのが誤嚥等の窒息事故です。
高齢になるほど、口腔機能の衰えや飲み込む力が弱くなることから、窒息リスクが高まります。

窒息を起こしやすい人の特徴
  • 早食い
  • 大食い
  • 口にたくさん食べ物をつめこむ
  • しゃべりながら食べる
  • あまり噛まない
  • 一気にすすりこんだり、かきこんだりする
上記に当てはまる人は、窒息のリスクが高くなります。食事方法を少しずつ見直していきましょう。窒息事故を防ぐには、食べる人の噛む力に合わせて、食品を小さく切っておくと安心です。食事での窒息を防ぐ方法は下記を参考にしてください。
窒息の予防方法
  • 水やお茶で喉を潤してから食事を始める
  • 食品はあらかじめ小さく切っておく
  • 一度に口に入れるのは、無理のない量にする
  • ゆっくりよく噛むように促す
  • 無理に飲み込んでいないか観察する
誤嚥を防ぐ食事介助の方法については「家庭での介護負担を軽くするために知っておきたい日常介助の方法」の中で解説しています。併せて参考にしてください。

在宅介護は安全な環境を整えることが大切

高齢者の自宅での事故を防ぐには、危険な場所・場面をどれだけ減らすことができるかが重要になります。常に事故のリスクがあると考え、できるかぎり安全な環境を整えましょう。

転倒リスクは、片づけやちょっとした工夫で激減させることができます。住宅の構造上の部分については、福祉用具のレンタルや住宅改修工事で軽減可能です。福祉用具のレンタルも住宅改修工事も介護保険が使えるので、積極的に利用しましょう。