【体験談あり】暮らしやすい家にする介護リフォームのポイント
介護リフォームとは
介護リフォームとは、介護しやすい設備を設置したり、体が不自由な方でも自立した生活ができるよう家の中を改修することです。介護する方の負担が少しでも減り、介護される方も快適に暮らせるように、また安全性も考えた上でリフォームのプランをたてます。
一般的には介護が必要になったときや、介護をする中で「改善したい」と思ったタイミングで行われることが多いようです。
また、最近は他のリフォームと並行して「この際だから将来介護が必要となったときに備えて手すりをつけよう」「バリアフリーのトイレにしよう」ということもよくあります。
介護リフォームのポイントは3つ
- 将来を見据えて考えましょう
リフォームは毎年行えるようなことではありませんから、「今困っていること」だけではなく、将来を見据えて必要な改修を行うのがポイントです。 - 介護する方・介護される方それぞれの立場から考えましょう
介護される方の立場になって考えると、なるべく自立した生活ができるようにしたいですね。同時に、介護リフォームでは介護する方の負担が少しでも軽減できる工夫も考えましょう。 - 介護リフォームに詳しい会社を選びましょう
介護福祉住環境コーディネーターという資格があります。この資格を持っている人はシニアが暮らしやすい住宅環境づくりのための知識を持っており、リフォームにあたっては建築士や他の専門家とも連携をとって最適なプランを考えてくれます。
リフォームをお願いする工務店や代理店に、介護福祉住環境コーディネーターがいるか聞いてみましょう。
それと、介護リフォームを数多く手がけている会社を選ぶことも大切です。
介護リフォームの内容と流れについて
具体的には以下のような介護リフォームが多く行われています。
- 手すりの取り付け
- 玄関スロープの設置
- 段差の解消
- トイレや浴室の改修
介護リフォームの流れ
要支援・要介護の認定を受けている場合には、ケアマネジャーに相談しましょう。介護保険を利用した介護リフォームについて詳しく教えてくれます。
特に要支援・要介護の認定を受けていない場合は、将来を見据えての介護リフォームになると思いますので、高齢者向けの住宅改修の実績があるリフォーム会社や工務店に相談しましょう。
- 相談
具体的にどこが不便なのか、希望やおおまかな予算なども伝えて相談します。 - 実地調査・現場調査
実際にリフォームする箇所の調査を行います。正確な見積書が作成されます。 - 検討
金額だけでなく、どんな提案をしてくれたか、営業や介護福祉住環境コーディネーター等の対応も考慮して判断しましょう。 - 契約
もしご高齢のひとり暮らしで不安があるときには、契約の際に身内や親戚など信頼できる人に同席してもらいましょう。 - 施工
*介護保険を利用した場合には、工事前と後に手続きが必要です。
介護リフォームに使える助成金や公的援助
介護保険で最大18万円が戻ってくる
要介護認定を受けている要介護者等が、自宅に手すりを取り付ける等の住宅改修を行おうとするときは必要な書類(住宅改修が必要な理由書等)を添えて事前に申請書を提出し、工事完成後には領収書等の費用発生の事実がわかる書類などを提出することにより、実際の住宅改修費の9割相当額が介護保険から償還払いで支給されます。
なお、支給額は、支給限度基準額(20 万円)の 9 割(18 万円)が上限となります。
介護認定を受けている方は、担当のケアマネジャーに、あるいは介護福祉住環境コーディネーターのいるリフォーム会社で相談してみましょう。
自治体による公的援助
要介護認定を受けていない場合でも、自治体によっては介護リフォームに対する公的援助を行っているところがあります。
例えば、東京都世田谷区では要介護・要支援に該当しなくても、65歳以上で身体機能の低下のため、住宅の改修が必要と認められる場合(所得制限あり)には所定の申請により助成金が支給されます。
一度、居住地の自治体に確認してみましょう。
参考:世田谷区公式サイト介護リフォーム体験談
H・Eさん(女性/54歳)
リフォーム箇所:手すりの取り付け、和室・トイレ・お風呂のリフォーム
家族構成:6人家族(母、世帯主と妻、子ども3人・うち1人は最近独立)
介護の状況:母(79歳)の足が不自由で外出時は車いすを使用しているが家の中では自力で歩いてトイレなどにも行く。
築25年の一軒家、これまでに外壁等の改修はあるがリフォームは初めて。
リフォームのきっかけ
家を建てた当時から同居している実母の足が不自由になり、いろいろと不便を感じるようになったためです。トイレは自分でできますが、転ぶといけないと思い、トイレに行くたびに私が体を支えてついていくのが実はけっこう大変でした。
また和室の砂壁も当時は母が望んだのですが、掃除も大変ですし、ベッドをいれた横には大きな古いタンスがそのままで、地震があったらと思うと不安もありました。子ども達が「おばあちゃんの部屋は暗い」というのも気になっていました。
どこにリフォームを頼んだか
リフォーム会社などをサイトでチェックし、2つに絞り込んでから実際に問い合わせをして家に来てもらい相談をしました。
見積もりはほぼ同じでしたが、1社は営業の方が具体的な提案をしてくれたことが決め手で選びました。
介護リフォームの内容
母の部屋を和室から洋室にしました。すべりにくい床材を選ぶなど、高齢者向けリフォームになれているプランナーの提案は素人では思いつかないことも多く、なるほどと思いました。
力を入れなくても開閉しやすい引き戸にし、特に1階は将来的に家の中でも車いすで動きやすいように、トイレ等の出入り口も広げました。お風呂は段差の少ないタイプで手すりをつけましたが、いかにも介護用のお風呂ではなく家族も違和感なく利用できるものを選びました。
介護リフォームの感想
予算があるのでできる範囲があるわけですが、必要なところの他は、後から簡単に手すりがつけられるように下地工事だけを行ってくれました。実際にショールームで高齢者でも軽々と開閉できる引き戸について説明してくださり、介護のためのリフォームについて全く知識がなかった私たち夫婦も安心してお任せできました。
また、私たちも50代を過ぎましたので今後のライフプランを考えて、今はとにかく最低限の予算で母が暮らしやすい家に、それから子どもが全員独立した後はどうするのか、私たちが70代になってからの暮らし方も一緒に考えてくださったのはありがたかったですね。
介護リフォームをしたことで、いずれくる退職後のシニアライフについても、具体的に夫婦で話すようになったのも良かったことのひとつです。
介護リフォーム後の母親について
1階は手すりがついて、トイレにもひとりで行くようになりました。物音がするなと思って見てみると、部屋から出てきてひとりで手すりにつかまりながら、ゆっくり歩いているので、最初見たときはびっくりしましたね。
最近では、近所の人が来ると玄関まで出てきて挨拶をすることもあります。
それとリフォームしたのをきっかけに、かなり物を整理できました。タンス類は処分し、押し入れだったところを作り付けの収納にしたので地震がきたらという不安も減りました。
せっかくなので、母が好きな水色でインテリアを統一し、花柄のカーテンにしたのですが、それが思った以上に嬉しかったようです。朝は自分でベッドから起きてカーテンを開け、窓越しに外を眺めたりしています。
部屋全体がきれいになったせいか、子ども達も時々顔をだしておしゃべりするようになり、なんとなく家の中の雰囲気も変わりました。
便利で安全にすごすための介護リフォームですが、家が実際にきれいになることで家族みんなの気持ちも明るくなったような気がします。
家族みんなが幸せになれる介護リフォームとは
高齢になるにつれて、また介護が必要になるにつれて、家にいる時間がそれだけ長くなります。生活の基盤となる家が安全で、そして暮らしやすい快適な場所になるようにすることはとても大切です。
高齢者にとって「安全でもっと暮らしやすい家に」、そして介護する方にとって「負担が減る家に」、介護リフォームをすることで日々を過ごす「わが家」を誰にとっても優しい場所にできるといいですね。