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遠距離介護のポイントとは?
準備をスムーズに安心して始める方法を解説

親と離れて暮らしていると、どうしても「将来の介護」が気になりますよね。
遠距離介護には、「引っ越しや転職をしなくていい」「親子がそれぞれの生活を守ることができる」などのメリットがある一方で、「緊急時にすぐに駆けつけられない」という最大のデメリットがあります。

しかし最近では、事前の準備といくつかのポイントを押さえることで、デメリットをかなり軽減できるようになってきました。
この記事では、遠距離介護の準備をスムーズに始める方法について解説します。遠距離介護の準備をする必要がある人は、ぜひ参考にしてください。

遠距離介護を始める前にやるべき準備5つ

遠距離介護は「事前にどれだけ準備できるか」で、うまくいくかどうかが決まります。
いざという時に慌てないためにも、できるだけ早い段階で準備を始めましょう。

1. コミュニケーションをしっかりとる

遠距離介護が気になり始めたら、コミュニケーションの量を増やしていきましょう。遠距離介護には「親の現状把握」が欠かせません。
その中で把握しておきたいのは、特に以下の内容です。

把握しておきたいこと
  • 親がどのような生活をしているのか(一日の行動スケジュールなど)
  • 親の交友関係(親しく付き合っている人、参加しているグループなど)
  • 親の希望(将来はどのようにしたいのか)

大きく分類すると3つですが、持病の有無や健康状態など他にも聞いておくべきことはありますよね。遠距離介護を始めるタイミングですべてを把握するのは難しいので、できるだけ早めに把握するように心がけましょう。

ただ、一気に質問してしまうと親は身構えたり、子どもに心配をかけないように当たり障りのない回答をすることがあります。親の本音を引き出すためにも、日頃からのコミュニケーションを大切にしましょう。帰省の回数を増やしたり、頻繁に電話やメールをしたりして、自然な流れで把握しましょう。

2. 親の収支や財産の把握

介護にかかる費用については、親の年金や収入・財産などで対応できる範囲のことを行うのが理想です。
介護方針を立てるためには、親の収入と支出を把握する必要があります。親の収支を気にせず、有料の介護サービスをいくつも利用すると、あっという間に親の預貯金を使い果たし、子どもの家計に大きな影響を与えることになってしまいます。

子ども世帯にも生活がありますから、親の介護にお金を使い切ってしまうわけにもいきません。特に遠距離介護の場合は、「離れているから、せめてお金は出したい」と無理に工面しがちなこともあるので注意してください。

3. 要介護認定の申請

親子が安心して遠距離介護を行うには、介護保険サービスの利用が不可欠です。
要介護認定を受けていない場合は、できるだけ早く申請することをおすすめします。
要支援・要介護の認定を受けると、介護度に応じたサービスの利用が可能になります。

もし申請の結果が非該当・自立認定であったとしても、市区町村が行っている地域支援事業などにより、生活機能を維持するためのサービスや生活支援サービスを利用できる場合もあります。

要支援以上になるとケアマネジャーのサポートが受けられます。介護のさまざまなことを相談できるので、心強く思えるでしょう。

>>介護認定の申請方法など詳しい情報はこちら

4. 介護サービスの情報収集

親が利用できそうな介護サービスの情報を事前に集めておきましょう。インターネットを使うと手軽に情報を入手できます。
介護保険や各種サービスに関するパンフレットは役所で手に入ります。目を通すだけでも手続きがイメージできるので、ぜひもらっておきましょう。
また、地域包括支援センターは65歳以上の高齢者にかかわる人であれば誰でも利用可能です。
介護の有無に関わらず利用できるので「まだ介護は必要ではないから」と遠慮せずに、気になることを相談するといいでしょう。

>>介護サービスの詳しい情報はこちら

5. 親の見守り体制を整える

離れて暮らしていると、いざという時にすぐに駆けつけることができません。そのため、あなたの代わりに親を訪問してくれる人やサービスを確保し、親の見守り体制を整える必要があります。

親の見守りを依頼する相手として、「親のことを知っている人」「交流がある人」が第一候補です。親の交友関係や近所の人、あなたの同級生や友人の中から、見守りをしてくれそうな人を探しましょう。例えばですが、町内会の人や民生委員、ケアマネジャーにお願いする人もいます。

遠距離介護を安心して行う5つのポイント

遠距離介護は親子が離れて暮らしているため、いろいろと不安になりがちです。
ここでは、遠距離介護を行う上で、親子双方が安心するためのポイントをまとめました。

1. インターネット環境を整える

親の家にインターネットを導入すると、見守りカメラやテレビ電話などを利用できるため、遠距離介護の負担を大きく減らすことができます。

見守りカメラを設置すると、親の表情はもちろん、普段の様子が確認できます。頻繁に親を訪問しなくてもよくなるので、交通費と時間の節約にもつながります。

スマートフォンでテレビ電話を利用すると通信費がかかりますが、インターネット回線を利用するとインターネット利用固定費以外の費用は発生しません。親としても、子どもや孫の顔を見て話せるのは、この上ない喜びのはず。費用面を気にせずにテレビ電話が利用できる環境は大きなメリットでしょう。

とはいえ、親世代の中には「インターネットは難しい」「よく分からない」と、拒否感を持つ人もいます。その場合は、インターネット利用のメリットを説明した上で「面倒なことは全部自分(子ども)が行うので、大丈夫だよ」ということを伝えましょう。セットアップなどは子どもが行い、親が簡単に、すぐ使える状態にしておくと安心できます。

2. 介護の役割分担を決める

兄弟・姉妹がいる場合は、あらかじめ介護の役割分担を決めておきましょう。
それぞれができること、できないことを確認し、無理のないように分担します。仕事や居住地などの都合で介護に参加できない場合は、介護にかかる費用を負担する方法もあります。

一般的に、親の居住地に近い子どもがメインで介護を行う傾向があります。しかし、介護負担が1人に集中しないような配慮が必要です。誰かの犠牲の上に成り立つ介護は、トラブルの元になりかねません。
夫婦の場合は、自分の親は自分がメインで介護を行うようにしましょう。

3. 救急医療情報キットを用意する

急に具合が悪くなって救急車を呼ぶような場面では、本人の医療情報や緊急連絡先が必要になります。そんなときに「救急医療情報キット」があれば、もしものときでも迅速な処置が受けられます。

救急医療情報キットとは、医療情報をまとめて保管できるセットのことです。医療情報(かかりつけ医、服用している薬の種類、持病など)や緊急連絡先などを記入した紙を専用の容器に入れて、誰でも分かるように冷蔵庫に保管します。

救急医療情報キットは、各自治体の役所や福祉センターの窓口などで入手可能です。中には救急医療情報キットの配布がない自治体もありますが、救急医療情報キットは自分で簡単に作成できます。自作方法は吹田市のサイトで詳しく紹介されていますので、参考にしてみてください。

4. 見守ってくれる人とのコミュニケーションを深める

ケアマネジャーや介護関係者、近所の人など、あなたの代わりに親を見守ってくれる人には日頃から感謝の気持ちを持って接し、大切にしましょう。

特にケアマネジャーには、あなたの状況(仕事ですぐに駆けつけられない、介護費の負担が大きいなど)を詳しく伝えておくといいでしょう。恥ずかしがらずに正直に話すことで、あなたの状況を理解し、最適な介護になるようサポートしてくれるはずです。

親を見守ってくれる近所の人や親戚、町内会の人などには、きちんと挨拶をして、帰省時にはお土産を用意したりするなど、感謝の気持ちをしっかり伝えて良い関係を築きましょう。

5. 介護保険サービスを積極的に利用する

介護認定で要支援以上になると、介護保険サービスが利用できます。介護保険サービスを利用すると、親が孤立しにくくなります。ヘルパーさんや介護スタッフなど、さまざまな人の目で見守ってもらえるので、ちょっとした異変にも気づいてもらいやすくなるでしょう。

親本人にとっても、日常生活の介助からリハビリ、レクリエーションまで、さまざまなサービスが利用でき、生活の質を上げるメリットがあります。

遠距離介護で活用したいサービス

最後に遠距離介護の負担を減らすサービスをご紹介します。

民間の見守りサービス

民間の訪問型見守りサービスは、介護保険サービスでは対応できない部分までサポートしています。そのため「親の見守りを頼める人がいない」「親戚や近所の人には、頻繁に見守りを依頼するのが心苦しい」という人に特におすすめです。

「HOME ALSOK みまもりサポート」では、ボタンを押すだけで24時間365日、ガードマンが駆けつけてくれるので、万が一の時にも安心です。相談ボタンを押せば、24時間専門スタッフにつながります。オプションで首から下げるタイプの救急ボタンを選ぶことができるので、緊急時でもすぐに通報可能です。

利用料を支払うことで、ささいなことでも気軽に見守りを依頼できます。その結果、金銭的にも精神的にも、だいぶ楽になるはずです。

交通費割引サービス

遠距離介護は交通費がかかるのがネックです。交通費を節約するには、交通費割引サービスの利用を検討しましょう。

飛行機には介護割引があります。事前登録や手続きが必要ですが、どの時期でも約35%割引で航空券が購入できます。

介護割引がある航空会社
  • ANA
  • JAL
  • スターフライヤー
  • ソラシドエア

JR(新幹線)や高速バスには、介護割引はありません。JRの切符をお得に購入する方法は以下のとおりです。

新幹線の切符をお得に購入する方法
  • JRの会員になり、シニア割引を利用する
  • インターネットサイトで切符を購入する
  • 回数券を購入する

遠距離介護では、子どもが交通費を全額負担すると、かなりの金額になり大変です。中には「交通費を出すから、もっと頻繁に会いに来てほしい」という親もいますから、親子で「誰が交通費を負担するのか」を話し合って帰省回数を決めるのもいいでしょう。

遠距離介護は無理しないこと!人や物に頼ることが成功のコツ

遠距離介護にかかわらず、親の介護に割ける時間は限られています。遠距離介護を行う人は、すぐに駆けつけられないことへの罪悪感から、頻繁な呼び出しに応じるなど、無理をしがちです。

無理を重ねると、自分の生活や健康に影響が出てしまいます。あなた以外でも対応できることは積極的にお任せしましょう。介護に正解はありません。遠距離だからこそできる介護もあります。できること・できないことをしっかり見極めて、持続可能な介護を目指しましょう。