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よくわかる介護の話
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認知症のある方も入居できる老人ホームの種類と家族の対応

認知症の症状があると老人ホームに入居できないのでは?と不安になる方もいらっしゃると思います。
でも、一口に認知症といってもひとりで生活できるケースもあれば、専門的なケアを必要とする場合もあります。認知症の症状はひとりひとり違います。したがって、それぞれに合った生活の場を見つけることが大切です。

今回の記事では次のようなことをわかりやすく説明していきます。

  • 認知症の方が入れる老人ホームとは
  • 認知症を専門としたグループホームについて
  • 夫婦のどちらかが認知症のケース
  • 老人ホームに入ると認知症が悪化するというのは本当?
  • 家族でお世話するか・施設に入居するべきか迷ったら
  • 認知症の方も周囲の方も笑顔で過ごすために

もしかして認知症?老人ホームに入居できるの?

結論からいえば、認知症の方も有料老人ホームをはじめとした高齢者向け施設に入居できます。ただし、施設によって入居の条件が異なります。
まずは認知症の症状がどの程度か、現在の状態を把握するために医療機関を受診し、介護保険の申請をして要介護認定を受けるなどしましょう。
認知症は基本的に進行するものですから、どうしたら認知症の方が穏やかに暮らせるか、お世話する側が認知症の方とどのように暮らしていくか、あるいは入居して「どのように過ごしてほしいか」を5年先・10年先まで見据えて考えることが大切です。

認知症で入居できる介護施設・老人ホームとは

以下のように、多くの介護施設で認知症の高齢者を受け入れています。

  • 特別養護老人ホーム
  • 認知症グループホーム
  • 介護付有料老人ホーム
  • 住宅型有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅

他にもケアハウスや小規模多機能型居宅介護施設など、最近では認知症ケアを行っている高齢者向け施設は多くあります。

認知症対応型共同生活介護「グループホーム」とは

特に認知症の方を専門としている施設がグループホームです。グループホームは認知症の診断を受けた人で、なおかつ共同生活ができる方を入居対象としています。

一般的なグループホームに入る条件

  • 認知症の診断を受けている
  • 共同生活ができる
  • その地域に住んでいる
  • 要支援2以上の要介護認定を受けている

グループホームは「認知症対応型共同生活介護」という名前がついています。通常は1ユニット9人まで、おおむね2ユニットで18名が暮らします。それぞれに個室があり、1ユニットに対して食堂やリビングのような交流できる設備があります。少人数でアットホームな雰囲気が特徴です。

「共同生活介護」という名の通り、介護サービスを受けながらも、なるべく自立した生活を送ることができるよう、できることは自分でするということを基本に共同生活をします。また、地域密着型サービスなので、慣れ親しんだ地元を離れずにすむメリットもあります。

>>ALSOK介護「グループホーム」

夫婦のどちらかが認知症の場合に同じ老人ホームに入れる?

夫婦間で、どちらかが認知症というケースもよくあります。たとえば、妻が認知症で要介護2であった場合はどうでしょうか。グループホームは認知症の診断を受けている人が対象ですから、妻は入居可能ですが、夫は入居できません。
しかし、夫婦で同じところに住みたいという人も多いでしょう。
この場合、自立している方も介護が必要な方も入居できる、いわゆる「混合型」施設があります。介護サービスや認知症ケアが充実している民間の住宅型有料老人ホームや、あるいは妻の認知症の程度によってはサービス付き高齢者向け住宅という選択肢もあります。

>>ALSOK介護「住宅型有料老人ホーム」
>>ALSOK介護「サービス付き高齢者向け住宅」

認知症の方への対応で迷っているときは

認知症の方が身近にいて「どのような老人ホームに入れるのか」「何から始めたらいいのか」と困っているときには、最初に地域包括支援センターで相談するのがおすすめです。
各地域に「地域包括支援センター」が設置されています。高齢者あんしん相談センターなど呼び名が違うかもしれませんが、住んでいる自治体に問い合わせればセンターの場所や連絡先を教えてくれます。

老人ホームに入ると認知症が悪化する?

たまに「認知症の方を施設に入れると一気に症状が進んでしまう」といったことを耳にしますが、これは誤解です。老人ホームや介護施設に入ったからといって認知症が悪化するとは限りません。
認知症は進行するものですから、万全のケアが整った施設に入っても、症状が進むことは充分あり得ます。家族と住んでいても、ひとりで頑張っていても、症状がゆるやかに進行することもあれば、そうでないこともあります。
ひとつ言えるのは、きちんとした知識のあるケアスタッフがいる施設であれば、認知症の方が落ち着いて穏やかに過ごせるよう最大限のサポートを得られるという点です。
認知症の方はそれぞれの性格や症状に合わせて、また進行具合に応じて適切な援助や介護を受けることが、ご本人にとっても家族にとっても大切なのです。

認知症の親も「笑顔」、介護する家族も「笑顔」でいるために

かなり認知症が進んだ状態であれば、子世帯も「きちんと面倒を見てもらえるところに頼もう」と比較的早くに決断できます。
しかし、日頃はあまり変わらない様子なのに、少しずつ、生活面で困ったことが増えてくるケースも多く、お世話をしている家族は「いつ」がわからなくなってしまいます。
 

では、認知症の方の施設入居を検討している、あるいは決めた方のきっかけはどうだったのかを見ていきましょう。

【体験談】認知症の方の施設入居を決めた理由

「ひとり暮らしをしていた母は当初はつじつまのあわない話が多くなったなと思う程度でした。家内が在宅勤務に切り替え、母親を家に引き取り、日中はヘルパーさんも頼み面倒を見てきました。しかしこの頃は排泄などしだいに人の手を借りないとできないことが増え、在宅での介護も限界かなと感じつつあります。」(K・Yさん51歳・同居の母親79歳)
「少し目を離すと外へ行ってしまう。真冬でも裸足でウロウロしてしまい、その都度、探し回るのが大変だし危険でもある。近所の方や警察のお世話になったこともあり、ケアマネージャーに相談し施設への入居を進めている。」(E・Iさん60歳/同居の父親87歳)
「特にどこが悪いわけでもないが、なぜか急に牛乳1パックをテーブルに撒き散らしたり、卵を取り出し洗面台で割りはじめる。」(H・Wさん54歳/同居の母親80歳)

H・Wさんのケースでは、奥さんがお姑さんのお世話をしていました。床中にひろがった牛乳をかがんで黙って雑巾がけをし、洗面台に飛び散った卵をぬぐっては掃除をする奥さんからは、すっかり笑顔が消えてしまいました。ご主人は「このままでは妻のほうが先にどうにかなってしまう」と母親の施設への入居を決めたそうです。
入居後は、夫婦ふたりの落ち着いた生活になり奥さんも平日にはサークル活動などにも参加するようになったのだとか。そして週末ごとに母親が入居している施設へ行き、一緒におやつを食べたり、庭園を散策したりする「通い介護」を続けています。
施設に入った直後は多少の混乱はあったようですが、お母さんも今ではすっかり施設の生活に慣れて、ご主人は「なぜかわたしのことはわからなくなったりするのに、嫁である妻のことはしっかり覚えていて、ありがとうありがとう、また来てくれたのと言うんですよ」と苦笑いしていました。

認知症の方にも周囲の方にも最適な選択肢はきっとある

認知症は一般的には少しずつであっても進行するため、長引くお世話に塵が積もって山となるように、側にいる人の負担となることが多いようです。
認知症というのは、そばで見ている家族にとってどう対応すべきか本当に難しいものです。
身内や親しい人が少しずつ何かを失っていくように見えて辛いことでしょう。しかし失っていくのではなく、抱え込みすぎた荷物を手放して身軽になろうとしているのだ、と考えてみませんか?わたしもあなたも日々を重ねながら無意識にたくさんのものを抱え、あまりに重くなりすぎたら、急に人が変わったようにポイと自分の中にあるものを捨てようとすることが、もしかしたらあるのかもしれません。

認知症ケアがしっかりした高齢者向けの施設を見つけ、認知症をわずらうご本人だけでなく、周囲の人たちも、ゆとりを取り戻して生活するということを考えることも必要なのではないでしょうか。
老人ホームに入居させたからといって、お世話を放棄したわけでは決してありません。優しく認知症の方を見守れる方法を探しましょう。

参考文献:認知症の人を理解したいと思ったときに読む本/内門大丈 監修