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介護疲れを防ぐ!家族が知っておきたい認知症介護を楽にする方法

認知症と一口に言っても症状には個人差が大きく、実にさまざまです。
常識からかけ離れた言動は家族にとって理解が難しいものですが、認知症の方の介護を行うときには多くの家族が直面する大きな問題です。

「大切な家族だから自分が頑張らなければ」
「認知症だと頭では分かっていてもイライラして、精神的につらい」

このような気持ちを抱えたまま無理を続けると、介護疲れや介護うつになりかねません。
認知症介護のストレスを減らすためには、正しい知識や心の持ち方を知る必要があります。

この記事では、認知症介護を少しでも楽に行える方法についてまとめました。
現在、認知症介護に携わっている方はもちろん、将来介護が必要になりそうなご家族がいらっしゃる方も、ぜひご活用くださいね。

介護家族が必ず経験する「4つの心理ステップ」とは?

認知症の人を介護する家族が必ず経験するのが、以下の「4つの心理ステップ」と言われています。
 

段階 状態 特徴
ステップ1 戸惑い・否定 誰にも相談できず、家族や自分ひとりで悩む
ステップ2 混乱・怒り・拒絶 本人・介護者にとって最もつらい時期
ステップ3 割り切り・諦め 介護生活に慣れてきて、対応がうまくなる
ステップ4 受容 本人や家族にとってベストな状態

これは「認知症の人と家族の会」副代表の杉山孝博先生が考案した、家族が認知症を受け入れるまでの心理状況をあらわしたものです。
上記の表にあるように、最も苦しいのはステップ1と2の段階。この時期を抜けたら、介護が少しずつ楽になるとされています。つらいときほど、「今はステップ2だから」と現状を確認し、「次のステップになったら少し楽になる」と考えましょう。

それでは、心理ステップの段階ごとに詳しくお話していきます。

ステップ(1)戸惑い・否定

まず初めに家族が抱くのが、戸惑いと否定の感情です。
今までとは違う言動に対して「どうしたのだろう」「もしかしたら認知症?」と考える一方で、「まさかうちの親に限って、そんなはずはない」「もともとの性格だった気がする」などと否定しがちになります。
戸惑いと否定の間で揺れ動き、さまざまな配慮から誰にも相談することができないのが特徴です。家族や自分ひとりで悩みを抱え込みやすい時期ともいえるでしょう。

ステップ(2)混乱・怒り・拒絶

症状が進むと、介護がどんどん大変になります。これまででは考えられない常識外れな言動や不可解な症状に、「どうしたらいいの?」「いいかげんにして!」など感情的になりやすい時期です。
このときに認知症に対する理解が不足していると、本人の言動に混乱し、怒りを覚えます。怒りの感情が限界に達すると、「もう顔も見たくない」と拒絶する態度を取ってしまうことも少なくありません。
「こんなに頑張っているのに、全然良くならない」と絶望することもあり、介護者はもちろん、本人にとっても精神的・肉体的に最も厳しい時期となります。

ステップ(3)割り切り・諦め

ステップ2のつらい時期を繰り返すうちに、割り切りや、良い意味で諦めの気持ちが出てきます。

「認知症なのだからイライラしても仕方がない」
「注意してもすぐに忘れるから、そのままにしよう」

介護生活に慣れると、このように考えることが多くなります。周囲がおおらかな対応ができるようになると、本人の気持ちも安定しやすくなります。

ステップ(4)受容

認知症への理解が深まり、本人の今の姿を受け入れることができるのが最終ステップです。本人の「できないこと」や「異常な言動」ではなく、「残された能力」や「良い部分」を見られるようになります。
本人が落ち着いて暮らせることで、家族も穏やかな時間を過ごせます。このため良い介護ができる状態といえるでしょう。

認知症介護を楽にするために知っておく5つのこと

認知症の介護を続けるには、「いかに楽に介護をするか」がとても重要になります。
というのも、認知症の介護は「ゴールのないマラソン」にたとえられるほど、過酷なものだからです。

本章では、認知症の介護を楽にするために、家族が知っておくべきことについてお話していきます。

(1)頑張りすぎはダメ

「できるだけ本人にとって良い環境にしたい」
「本人のために、症状を悪化させないようにしたい」

このような気持ちで頑張りすぎてしまうと、介護者はあっという間に疲れ切ってしまいます。結果、心身ともに余裕がなくなり、おおらかな気持ちでの介護が難しくなるので頑張りすぎは禁物です。
認知症の人は優しく対応されることで、気持ちを落ち着けることができますから、リラックスした状態で接したいものです。やらなくても特に大きな問題が出ないことについては、無理強いをしないでそのままにすることも必要です。

(2)ひどい症状は身近な人に対して出やすい

認知症の症状は、一番身近な人に対して強くあらわれます。なかでも暴言を吐いたり、暴れたりといったひどい症状は、身近な人に対して出やすいのが特徴です。
たまにしか会わない人に対しては、これまで通りに接することもあり、「自分だけなぜこんなひどい態度をとられるの」とつらい思いをなさるかもしれません。
認知症の人のひどい態度は「信頼の証」です。信頼して甘え切っているからこそのワガママと受け流しましょう。受け流すのが難しいときには、ほかの家族に対応を任せます。その場を離れることも大切です。本人が落ち着くのを待ってもいいでしょう。

(3)認知症の人が作る世界を尊重する

認知症の人は症状が進むと、これまでの常識が通用しない「自分だけの世界」を作るようになります。過去の話を繰り返したり、言っていることが間違っていたりするのもこの影響です。
認知症の人が作る世界を尊重すると、その対応をする家族は不本意な対応やウソ、時には忍耐が必要になるかもれません。それでも本人が安心感を持って暮らせるようになれば、介護の混乱や負担は減ります。

(4)介護サービスを賢く利用しよう

認知症に限らず、介護は「利用できるものは何でも賢く利用する」のが基本です。介護を長続きさせるコツは、「介護者の負担をいかに軽くできるか」にかかっています。介護する人が頑張りすぎて疲れ切ってしまうのは、本人にとっても悪影響でしかありません。介護サービスを上手に利用しましょう。

(5)自分の健康も大切にする

家族の介護をしていると自分のことはつい後回しにしがちですが、介護する側が倒れてしまっては元も子もありません。家族で認知症介護を行う場合、介護をしながら家事や仕事、育児とさまざまな役目を同時進行でこなしています。そのため体の疲れや睡眠不足を感じている人も多いのです。

介護は、無理せず、頑張りすぎず、ひとりで抱えず、休めるときはしっかり休むをモットーに取り組みましょう。そういう意味でも介護サービスを上手に利用することが大切です。

>>介護休暇 介護休業について

認知症の介護は遠距離でもできる?

離れて暮らす家族が認知症になったら、遠距離介護は可能なのか気になりますよね。
ここでは認知症の遠距離介護についてお話していきます。

軽度の認知症なら遠距離介護も可能

認知症が軽度だったり、介護する体制が整っていたりすれば、本人が自宅で暮らし続けることは可能です。しかし症状が悪化すると、本人だけでの日常生活・社会生活は困難になります。常に見守りが必要だったり、ケアマネジャーやヘルパーのサポートを嫌がったりする場合には、自宅での遠距離介護は難しいでしょう。

地域の自治体サービスを調べよう

まずは認知症になった本人が、どのように暮らしているのかを把握しましょう。何ができて、何ができないのかを確認し、そのうえで、本人の住む自治体が認知症に関してどのような制度やサービスを提供しているのかを調べましょう。

主な相談先

  • 地域包括支援センター
  • 市区町村の高齢者福祉担当窓口
また地域の保健所や民間企業などでも、介護や福祉関係のさまざまなサービスを提供しているのでインターネットなどで調べてみるといいでしょう。

まとめ

家族間の認知症介護は、認知症以前の姿を知っている分、精神的な負担が大きいものです。
認知症の症状が進行してくると、その対応に多くの時間がとられ、不眠状態に陥る家族も少なくありません。
認知症の介護で最も大切なのは、この記事でも何度もお伝えしました通り、自分ひとりで頑張ろうとしないことです。介護する人に余裕がないと、認知症の人も安心した生活が送れません。
利用できる介護サービスは全部使う、家族みんなで介護を分担する、友人に悩みや愚痴をきいてもらうなど、介護する人が心身ともに休める時間をしっかり確保するようにしましょう。