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よくわかる介護の話
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介護休暇・介護休業、
家族の介護のために会社を休むならどっち?

家族を介護しながら働いていると、急に仕事を休まなくてはいけないこともありますよね。

「有給休暇をすべて使い切ってしまった」
「遠距離介護のために、長期の休みが欲しい」

このような時に活用してほしいのが、介護休暇・介護休業の制度です。

どちらも家族の介護のために休暇が取れる制度ですが、取得の条件や使い方は違います。「この場合はどちらがいいの?」と迷う方もいらっしゃるでしょう。

そこでこの記事では、2つの制度の違いを分かりやすく説明し、活用例もご紹介します。さらに、介護休業中に申請可能な介護休業給付金についても取り上げていますので、介護と仕事の両立を目指す方はぜひ参考になさってくださいね。

【比較表】介護休暇と介護休業の違い

  介護休暇 介護休業
主な取得条件

・原則すべての労働者が対象
(日雇い労働者は除く)
・入社から6ヵ月以上経過している
・要介護状態の家族を介護している
※1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得不可
(令和2年12月31日まで)

・原則すべての労働者が対象
(日雇い労働者は除く)
・入社から1年以上経過している
・介護休業申請後、93日以内に退職しない
・要介護状態の家族を介護している
取得可能な日数

・対象家族ひとりにつき年間5日
※半日単位で取得が可能(令和2年12⽉31⽇まで)
※令和3年1月1日からは時間単位での取得が可能になる

・対象家族ひとりにつき93日
・3回まで分割取得も可能

給料 支払われないのが一般的 支払われないのが一般的
取得手続き 事前の手続き不要。当日申請も可能

原則2週間前までに書面で申請

雇用保険の給付 なし 介護休業給付金を申請できる

介護休暇とは?|突発的・短期的な介護のための休暇

  • 概要
    • 介護対象家族ひとりにつき年間5日間まで取得可能
    • 当日の電話連絡で取得でき、事前申請は不要
    • 時間単位での取得が可能
  • 取得条件
    • 対象家族を介護する男女の労働者(日々雇用など一部除く)
    • 対象家族は、配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫
    • 要介護状態(2週間以上の期間にわたり常に介護を必要とする状態)

介護休暇は、家族の介護を理由に「突発的な休みが取得できる制度」です。介護休暇の取得は法律で認められており、会社は取得希望者の申し出を拒否できません。

介護休暇の特徴

介護休暇は、対象となる家族ひとりにつき年間5日(2人以上は10日まで)取得できます。
介護休暇には次の3つの特徴があり、突発的・短期的な介護に適しています。

  • 時間単位での取得できる
  • 事前の申請や手続きがいらない
  • 当日の電話連絡でも取得できる

介護休暇は、法改正により令和3年から、時間単位での取得ができるようになりました。2時間だけ、3時間だけでも取得できるので、病院への付き添いなどでも活用しやすい制度です。

どんな時に使えばいいの?介護休暇の活用例

介護休暇では、給料が支払われないケースがほとんどです。
有給休暇や週末などの休暇と合わせて計画的に使うといいでしょう。

介護休暇が適しているケース
  • 有給休暇をすべて使い切ってしまった
  • 短時間の用事なので有給休暇を使うのはもったいない

たとえば、老人ホームなどの施設見学には1ヶ所あたり1時間〜1時間半かかるといわれていますから、有給休暇よりも介護休暇を利用すると良さそうですね。

介護休暇は「こんな時に助かる!」活用例
  • 日常生活における介護
  • 急なケガや体調不良
  • 通院の付き添い
  • 病院などへの送迎
  • 銀行や公的手続きなどの付き添い
  • 介護保険の手続き
  • 介護士やケアマネジャー等との面談

介護休業とは?|介護のために取得できる長期休暇

  • 概要
    • 介護対象家族ひとりにつき93日間取得可能(分割取得は3回まで)
    • 休業開始予定日の2週間前までに書面等により事業主に申出
    • 介護休業給付金の申請ができる
  • 取得条件
    • 対象家族を介護する男女の労働者(日々雇用など一部除く)*1
    • 対象家族は、配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫
    • 要介護状態(2週間以上の期間にわたり常に介護を必要とする状態)

*1:パートやアルバイトなど期間を定めて雇用されている場合、取得予定日から起算して93日を経過する日から6ヶ月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。労使協定を締結している場合には、入社1年未満、1習慣の所定労働日数が2日以下の労働者は対象外となります。

介護休業は、家族の介護を理由に「長期休暇が取得できる制度」です。こちらも介護休暇と同じように法律で認められていますから、会社は従業員の申し出を拒否できません。

介護休業の特徴

介護休業は、対象となる家族ひとりにつき93日間の休みが取得できます。1週間や10日など、短期的な休みにも使えますが、分割取得は3回までと制限がありますので計画的に使いましょう。

介護休業を希望する場合、2週間前までに会社への申請が必要です。書面での申請が多いようですが、申請方法は会社によって違いますのであらかじめ確認してくださいね。

介護休業中は会社の規定にもよりますが、原則として無給です。長期間、無収入だと不安ですし、生活に影響が出ますね。介護休業の場合は、一定の要件を満たすと介護休業給付金として給料の3分の2を受け取ることができます。こちらについては後ほど詳しく説明します。
 

どんな時に使えばいいの?介護休業の活用例

介護休業は、実際に介護を行うだけでなく、仕事と介護を両立させるための環境作り(介護生活の準備期間)としても利用できます。

介護休暇が適しているケース
  • 介護のために1ヶ月以上の休暇がほしい
  • 遠距離などの事情で介護準備に一定の期間が必要

介護生活の基盤を作るには、ある程度の時間が必要です。老人ホームなどの施設への入居は見学から入居まで1〜2ヵ月かかるとされています。自宅介護・遠距離介護・施設介護、いずれのケースも1日2日の短期間での準備は難しいですし、遠方からの転居を伴うものであればなおさらです。もしかしたら2ヶ月程度はかかるかも……有給も足りないし、退職も考えなくてはいけないのか?という時こそ、活用したいのが介護休暇です。

介護休業は「こんな時に助かる!」活用例
  • 遠距離で暮らす要介護認定の家族の世話
  • 遠距離介護から同居しての介護への変更
  • 老人ホームなどの施設入居の準備
  • 病状の悪化などで看取りが近いケース 

給与の3分の2が給付される「介護休業給付金」とは?

介護休業給付金は雇用保険の雇用継続給付のひとつで、介護休業中の人に支給される給付金です。受給にはいくつか条件がありますが、申請が通れば給付金として給与の3分の2がもらえます。給付金の支給額は、休業開始前の平均賃金の67%です。

介護休業給付金の支給金額の目安は、以下の表を参考にしてください。

平均月額 支給額(月額)
10万円 6万7,000円程度
15万円 10万円程度
20万円 13万4,000円程度
30万円 20万1,000円程度
40万円 26万8,000円程度

介護休業給付金の申請は、本人ではなく会社が申請するものです。詳しい流れは会社によって違いますから、必ず担当者に確認しましょう。

介護休暇と介護休業、介護休業給付金のまとめ

この記事では、介護休暇と介護休業の違い、介護休業給付金について説明しました。最後にまとめておさらいしましょう。 
介護休暇と介護休業は、どちらも「家族の介護のために休みが取れる」制度です。介護対象の家族と同居していなくても、制度は利用できます。

介護休暇
  • 介護対象家族ひとりにつき年間5日間まで取得可能
  • 事前申請不要。当日の電話連絡で取得可能
  • 令和3年1月1日からは時間単位での取得が可能になる
介護休業
  • 5日以上の連続した休みが取れる
  • 介護対象家族ひとりにつき93日間取得可能(分割取得は3回まで)
  • 介護休業給付金の申請ができる
介護休業給付金
  • 休業開始前の平均賃金の67%が給付金として支給される

対象家族の続柄

  • 配偶者 ※事実婚を含む
  • 父母 ※義父母・養父母を含む
  • 子 ※養子を不有無
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

叔父や叔母、いとこ等は対象外です。

条件

対象者が「要介護状態」であること。ただし、要介護認定はなくてもよい。

※要介護状態とは:寝たきりやひとりで歩行できないなどで、常時介護が必要な状態。詳細な該当状態や判断基準は、こちらでご確認ください。

介護休暇も介護休業も以前よりは利用しやすくなっています。介護を理由に離職すると復職が難しいともいわれています。退職は最終手段として、まずは制度の活用を検討してはいかがでしょうか。
仕事と介護の両立は非常に難しいものですが、くれぐれも無理は禁物です。この記事があなたの介護生活の一助となることを祈っています。