健康寿命を伸ばそう!フレイル予防におすすめの運動4つ
いつまでも自分らしく健康で過ごすためには、フレイルの予防が重要です。
フレイルとは、「健康と要介護の中間の状態」を指します。フレイルを放置すると、要介護状態につながるだけでなく、認知症のリスクも高くなります。
しかし、早めに気づいて適切な取り組みを行えば、フレイルの進行を防ぎ、元の健康な状態に戻ることができます。この記事では、フレイル予防におすすめの運動や生活習慣を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
フレイルとは?運動不足との関係
フレイルとは、加齢や病気などによる影響を受けて、心と体の意欲が減少する状態です。
最近、以下のような経験はありませんか?
- 外に出たくない
- 食欲がない
- 人と話すのが面倒くさい
- 何もやる気が起きない
- 疲れやすい
このような状態を「歳だから」といってそのままにしておくのは危険です。
何もしなければフレイルがどんどん進行してしまい、気がついたときには要介護状態になっている恐れがあります。
フレイルになる原因は1つではなく、複数の要因が影響し合って引き起こされるものです。
フレイル予防には、「運動」「食事」「社会活動への参加」の3つをバランスよく実施することが重要になります。
なかでも注意したいのが、運動不足です。運動不足になると、下記のように、体力や食欲などへ悪影響があります。
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筋力がさらに低下する
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活動量が減り、体力や食欲が落ちる
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ストレスや不安が増加する
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フレイルが進行する悪循環につながる
積極的に体を動かすことで、年齢にかかわらず筋力を維持・向上できるため、フレイル予防に効果的です。
フレイル予防におすすめの運動4つ
ここでは、高齢者が実践しやすいおすすめの運動を4つご紹介します。
ウォーキング
ウォーキングは、気軽に始められる軽度の有酸素運動です。足腰の強化や疲れにくい体づくりのほか、心肺機能の改善効果も期待できます。
ウォーキングは、気が向いたときにいつでも始められ、体に負担がかかりにくいのも特徴です。外出することで、気持ちのリフレッシュにもなります。
フレイル予防には、週に150分以上(1日平均20分以上)のウォーキングがおすすめです。
ウォーキングのやり方
- 1日20分以上歩く
- 姿勢を正して、腕をしっかりと振る
- 歩幅は普段よりも少し大きめにする
- かかとから着地する
レジスタンス運動(筋トレ)
レジスタンス運動とは、筋肉に繰り返し抵抗(レジスタンス)をかける筋肉トレーニング(筋トレ)のことです。骨や筋肉を維持するためには、スクワットやかかと上げなどを、週に2回以上行うといいでしょう。
ここでは、椅子を使ったレジスタンス運動を2つご紹介します。椅子を使うことで、転倒防止になるのでおすすめです。
ストレッチ
体への負担が少ないストレッチは、高齢者に最適な運動の1つです。ストレッチを行うと、柔軟性が高まり、ケガをしにくくなるほか、関節痛の予防や緩和が期待できます。
フレイル予防には、ストレッチを週に2日以上行うといいでしょう。ストレッチは1日10分でも効果があるとされています。ここでは、腰痛予防にもおすすめの寝たままできるストレッチをご紹介します。
水中ウォーキング
水中ウォーキングとは、プールの中で行うウォーキングのことです。水中で行うことで、関節への負担が少なく、全身をバランスよく鍛えることができます。
水中ウォーキングは、特に下半身の筋力アップに効果的です。水の浮力や抵抗に逆らって歩くため、ゆっくりとしたペースで歩いても筋力と心肺機能を強化することができます。
水中ウォーキングのポイント
- 正しい姿勢で歩く
- 腕を大きく振る
- 足裏でしっかり踏みしめるように歩く
- 慣れてきたら、歩幅を広げて歩く
ALSOKあんしん体操
ALSOKあんしん体操とは、シニア向けの健康体操です。
東京都健康長寿医療センター研究所の大渕修一博士監修のもと、ALSOKグループ介護会社に所属する理学療法士などの専門スタッフが中心となって作成した体操プログラムです。
軽快な音楽に合わせて楽しみながら、機能訓練のポイントをおさえた運動ができます。
ALSOKあんしん体操については、こちらで詳しく紹介しています。ALSOKあんしんヨガ
ALSOKあんしんヨガは、椅子に座ったままできるシニア向けヨガです。
介護職員が考案したオリジナルの「呼吸法」や「ポーズ」が盛り込まれ、運動が苦手な方やケガが心配な方も無理なく行えるプログラムになっています。
ヨガは軽い運動になるだけでなく、高齢者にとってさまざまな効果をもたらすと期待されています。
ヨガで期待できるメリット
- 呼吸法で肺を鍛えることで、風邪をひきにくくなる
- 筋肉を伸ばすことで、関節の可動域を広げたり、筋肉のこわばりを軽減したりする
- リラックスによすることで心が穏やかになる
- 認知症の周辺症状(BPSD)が落ち着く
ALSOKあんしんヨガについては、こちらで詳しく紹介していますので、併せて参考にしてください。
運動不足解消に効果的!実践したい生活習慣
フレイル予防には運動がおすすめですが、「運動習慣がない」「体力に自信がない」という人もいらっしゃるでしょう。無理に運動をすることで、ケガをしたり、余計に体を動かしたくなくなったりしては、元も子もありません。
そのような方は、まずは日常生活の中で「今より10分多く体を動かす」ことから始めましょう。運動以外にも生活習慣を少し変えるだけで、体力や筋力をつけることができます。
運動不足解消におすすめの生活習慣
- 早歩きで歩く
- 階段を使う
- 家事でこまめに動く
- 電車やバスで座らない …など
運動不足解消には、生活習慣をほんの少し変えるだけでも大きな効果があります。
上記のいずれかを日々の生活に取り入れてみてくださいね。
フレイルの予防には食事療法も重要
フレイルの予防において、運動と並んで重要な役割を果たすのが食事療法です。フレイルサイクルにならないためには、バランスの取れた栄養摂取が欠かせません。
最後に、フレイル予防のために実践してほしい食事のポイントをご紹介します。
毎日7品目以上の食品を食べる
「歳を取ったら、粗食でいい」ということをよく聞きますが、これは大きな間違いです。さまざまな食品を毎日きちんと食べて、栄養不足にならないことが大切です。
フレイル予防には、以下の10の食材のうち、7品目以上を食べるようにしましょう。
たんぱく質を毎日食べる
たんぱく質を毎日食べる
高齢期になると、たんぱく質が不足しやすくなるため、毎日たんぱく質を含む食材や食品を食べましょう。たんぱく質を多く含む食品は、肉や魚介類、卵、牛乳などです。
缶詰や豆腐などを活用すると、手軽にたんぱく質をアップすることができます。
しっかり水分補給する
フレイル予防には、水分補給も重要です。高齢者は加齢により、のどの渇きを感じにくくなることがあり、意識的に水分補給をしないと脱水症状に陥るリスクが高くなるからです。
そのため、のどが渇いたから水を飲むのではなく、ある程度決まった時間にこまめに水分補給するように心がけましょう。
ただし、コーヒーやアルコールは利尿作用があるため、水分補給には適しません。水分補給には、水かカフェインが含まれていないお茶を選びましょう。
無理は禁物!運動前に主治医に相談すると安心
フレイル予防に運動は効果的とはいえ、無理は禁物です。高齢者の場合は、ケガや転倒が要介護状態につながることがあります。体力や健康面に不安がある人は、運動前に主治医に相談すると安心です。運動は、こまめに水分補給を行い、安全を確保した上で行いましょう。