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ロコモティブシンドロームとは?日常生活に取り入れやすい予防法をご紹介

年齢を重ねると、「歩く」「立つ」といった動作が難しくなることがあります。加齢で運動機能がある程度落ちるのは仕方がありませんが、機能の低下が著しいと、日常生活に支障をきたし、寝たきりや介護が必要になるリスクが高まります。この状態が「ロコモティブシンドローム」です。日本の高齢化が進む中で、約4700万人が予備軍とされ、最近では若い世代にも同様の兆候が見られるケースがあり、深刻な社会問題となっています。本記事では、ロコモティブシンドロームの症状や予防法を詳しく解説し、若年層でもできる対策を紹介します。

ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは

ロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)とは、運動器(骨、関節、筋肉など)の機能が低下し、歩行や日常生活に支障をきたす状態を指します。2007年、日本整形外科学会が提唱した呼び方です。英語で移動を表す「ロコモーション(locomotion)」、移動するための能力があることを表す「ロコモティブ(locomotive)」からの造語です。

高齢化の加速に伴い、運動器の健康維持の重要度は増しています。運動機能の低下が将来的に寝たきりや介護のリスクを高めるためです。「立つ」「歩く」といった基本的な動作が難しくなると、QOL(生活の質)の低下につながることから、予防が大切です。

ロコモの発症リスクは、加齢とともに高まる

ロコモのリスクは加齢とともに高まります。日本整形外科学会が2024年9月に発表した調査結果によると、80代で発症の割合が急増することが示されました。しかし、ロコモは中高年層だけでなく、若年層でも発症例が見られます。

ロコモ予備軍の数は?

日本整形外科学会のホームページに掲載された調査結果によると、全国で約4700万人がロコモの予備軍とされています。これは日本の総人口の約38%に相当し、非常に多くの人々がロコモ発症のリスクを抱えていることを示しています。運動機能の低下は、医療費の増加や介護人材不足の要因になることもあり、社会全体に与える影響が大きいため、予防対策は急務です。

ロコモティブシンドロームはどう予防すればいい?

ロコモの予防には、日常生活の中で無理なく取り組める方法が多く存在します。ここでは、運動、食事、定期検診についてご紹介します。

運動

運動はロコモの予防において最も効果的です。筋力トレーニングや柔軟体操を定期的に行うことで、筋肉や関節の機能を維持・向上できます。たとえば、スクワットやヒップリフトなどの筋トレ、ウォーキングやラジオ体操などの有酸素運動は日々の暮らしに簡単に取り入れられるためおすすめです。また、姿勢改善を目的としたヨガやピラティスも効果的です。

ロコモを提唱した日本整形外科学会は、片脚立ちとスクワットからなる「ロコトレ」を紹介しています。片脚立ちはバランス能力を高め、スクワットは下肢の筋力を強化します。腰や膝の痛みを和らげるための体操も推奨しています。

ALSOK介護も健康をサポート

ALSOKの介護では、独自の運動プログラムを積極的に導入し、シニアの健康増進に努めています。たとえば、椅子に座ったままできる「チェアヨガ」や、軽快な音楽に合わせて楽しみながら運動機能を高める「ALSOKあんしん体操」があります。この体操は、専門家の監修のもと、ALSOKグループ介護会社の理学療法士が中心となって作りました。

食事

適切な栄養摂取もロコモ予防には欠かせません。特に、タンパク質は筋肉の材料となるため、意識的に摂取することが重要です。肉、魚、豆類、乳製品などをバランスよく食事に取り入れることで、筋力の低下を防ぐことができます。また、カルシウムやビタミンDも骨の健康維持に欠かせません。

定期検診

ロコモの予防には、定期的な健康チェックが有効です。特に、骨密度測定や筋力測定などを行うことで、早期に異常を発見し、適切な対策を取ることが可能です。整形外科でもロコモチェックができます。

ロコモティブシンドロームのセルフチェック法

自宅でも簡単にロコモのセルフチェックができます。

セルフチェック法

代表的なセルフチェック法には「片足立ちテスト」と「立ち上がりテスト」の2つがあります。片足立ちテストは、両手を腰に当てて片足で10秒以上立っていられるかを確認する方法です。立ち上がりテストは、椅子から手を使わずに立ち上がれるかをチェックします。

医療機関の受診も視野に入れる

セルフチェックで異常を感じた場合は、できるだけ早く専門医を受診しましょう。整形外科などの医療機関で検査を受け、具体的な予防や治療法についてアドバイスを受けることが大切です。早期の診断が、介護予防や将来的な健康維持に役立ちます。

ロコモティブシンドロームとサルコペニアの違いとは

ロコモティブシンドロームとサルコペニアはどちらも高齢者の運動機能低下を指しますが、原因や日常生活への影響には大きな違いがあります。

サルコペニアは、主に加齢による筋肉量の減少と筋力の低下を指します。筋肉が衰えることで、転倒や骨折のリスクが高まり、日常生活に支障をきたす可能性が高まります。筋力の低下が進むと、ベッドから起き上がる、椅子から立ち上がるといった基本的な動作が難しくなることがあります。

一方で、ロコモティブシンドロームは、サルコペニアに加えて、骨や関節、椎間板など、運動器全体の障害を含む状態を意味します。骨粗しょう症や関節炎などによって運動器に障害が起こり、結果として歩行が困難になります。こうなると、日常生活の自立度が低下します。まとめると、サルコペニアは筋力の低下、ロコモは運動器の障害とするとわかりやすいでしょう。

家族で取り組むロコモティブシンドローム予防

ロコモ予防は、個人だけでなく家族全員で取り組むことで、より効果的に進めることができます。特にリスクの高い高齢者をサポートしながら、日常生活に予防活動を取り入れましょう。

運動や食事の工夫

家族全員が取り組める楽しめる運動習慣を取り入れると、無理なく続けられます。たとえば、毎日のウォーキングやラジオ体操、週末の軽いハイキングなどを一緒に行うことで、自然と運動量を増やせます。また、筋力維持に必要なタンパク質を多く含む食品(肉、魚、大豆製品)や、骨の健康を支えるカルシウムやビタミンDが豊富な食事(乳製品、小魚、卵など)を意識して取り入れると効果的です。家族全員が健康的な食生活を実践することで、無理なくロコモ予防をサポートできます。

サポートの重要性

日常生活で無理なく続けられるよう、家族のサポートが重要です。たとえば、高齢の家族には日常の動作を手伝うだけでなく、一緒に運動をするなどの積極的な支援がロコモ予防につながります。心理的なサポートも大切で、健康的な生活を続けるための声掛けや励ましが、長期的な予防効果を発揮します。

以上のように、ロコモティブシンドロームは日頃のチェックと生活上の工夫で予防することができます。家族を含めた周囲の人たちと、共に意識していきたいですね。