認知症の検査方法と治療薬
ここでは認知症をどのように判断するのか、治療する際に使われる薬にはどのようなものがあるのかご紹介します。
認知症の診察と診断
認知症の診察・検査
認知症の診察内容は、問診、身体診察、CTなどの画像診断、採血、尿検査などと知能検査です。
問診 | ご家族様を交えて受けます。病歴や現状を聞き取りながら、記憶力・理解力なども確認します。 |
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身体診察 | 運動機能を確認します。 |
画像診断 | 脳の萎縮や出血などの異変、脳の活動状態などを調べます。 |
知能検査 | 質問に答える形で、時間や場所、状況の認識や注意力などを調べます。 |
認知症の診断
診察や検査の結果を総合的に判断して診断します。認知症の診断は、それ以降の症状の悪化を防いだり、改善させたりするための前向きなものです。医師はさまざまな検査の結果から、原因となる疾患や、症状を悪化させる要因などを探し、治療方法を検討します。医師の話をよく聞き、アドバイスを受けるようにしましょう。
受診の心がまえ
日ごろの様子にあらわれる小さな変化、気になる行動などは、ご家族様でなければ伝えられない重要な情報です。できるだけ具体的に医師に伝えられるように、受診前に、気づいたことを整理しておきましょう。また、略歴や既往歴、生活習慣や気になっている症状の変化を事前にメモしておくと診察がスムーズです。ご家族様から伝えたいことでご本人の前で言いにくいことは、先に医師に提出しておくといいでしょう。
認知症の治療薬
アルツハイマー型認知症の治療薬
原因として一番多い「アルツハイマー型認知症」には、4種類の治療薬があります。病気の原因を根本的に治療することはできませんが、進行を遅らせたり症状を改善させたりする効果があり、すでに世界70以上の国と地域で承認されている薬です。いずれも保険診療が適用されます。
保険診療で使用できる薬は進行度によって決められています。また、薬によっては、錠剤、口腔内崩壊錠(OD錠)、ドライシロップ、貼付剤など、さまざまな形状が用意されている場合もあります。
製品名 | 一般名 | 適応重症度 | 剤形 | 用法 |
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アリセプト等 | ドネペジル塩酸塩 | 軽度~重度 | 錠剤、口腔内崩壊錠、 細粒、ゼリー、ドライ、シロップ |
1日1回 |
レミニール |
ガランタミン |
軽度~中等度 |
錠剤、口腔内崩壊錠、 |
1日2回 |
イクセロンパッチ |
リバスチグミン |
軽度~中等度 |
貼付剤 |
1日1回 |
メマリー |
メマンチン塩酸塩 |
中等度~重度 |
錠剤、口腔内崩壊錠 |
1日1回 |
薬の変更
アリセプト、レミニール、リバスタッチパッチ、イクセロンパッチ
同系統の薬で併用はできません。変更する場合は今の薬を中止して、新たな薬を開始量から服用しはじめます。
切り替え時期には、薬の効果がきれる期間が発生します。
副作用
アリセプト、レミニール、リバスタッチパッチ、イクセロンパッチ
吐き気、おう吐、食欲不振、下痢、腹痛など
メマリー
めまい、便秘、体重減少、頭痛など
周辺症状に処方される薬
興奮や妄想、抑うつなど、環境や気質の影響であらわれる症状を「周辺症状」あるいは、「行動・心理症状(BPSD)」といいます。こうした周辺症状には、抗精神病薬や抗不安薬、脳循環代謝改善薬、漢方薬などが処方されることがあります。周辺症状が改善されることで、状態が落ち着いたり、周囲の人の負担が軽減されたりします。