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認知症カフェとは? 目的や利用方法、できることを解説

国内の認知症患者数は約470万人と推計されており、高齢化が進むにつれてその数はさらに増える見込みです。認知症患者を介護する家族は、どのように接すれば良いかがわからず、戸惑うことも多いでしょう。そのようなときに頼りになるもののひとつが「認知症カフェ」です。認知症カフェとは、認知症の人とその家族が気軽に集まり、専門家からアドバイスを受けられる居場所を指します。役所の窓口や医療機関などを訪れるよりもハードルが低く、利用しやすいのが特徴です。

この記事では、認知症カフェの役割や利用方法、メリット、実際の探し方などを詳しく解説します。認知症の介護で悩んでいる方は、ぜひ認知症カフェについて知っておくことをおすすめします。

地域住民による交流を通じて、認知症への理解を深める場

認知症カフェとは、認知症の人とその家族、地域住民が気軽に集まり交流できる場所のことです。オランダで始まった「アルツハイマーカフェ」が起源とされ、日本では2012年の「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」で導入が進められました

「オレンジ」が付いている理由は、認知症患者の支援者がオレンジ色をトレードマークとしたことに由来します。そのため、認知症カフェは、オレンジカフェと呼ばれることもあります。全国に、認知症カフェは約7900か所あります。

運営主体は、施設や自治体、ボランティア団体などさまざまです。しかし、目的は共通していて、認知症の人とその家族、地域住民による交流を通じて、認知症への理解を深め、認知症の人が地域で安心して暮らせる環境づくりを目指しています。認知症の予防よりも、進行を遅らせる「二次予防」に重きが置かれているのが特徴です。

参加費は無料が多いものの、お茶代として数百円を支払う場合もあります。開催は月1〜2回、2時間程度が一般的です。場所は、公民館や介護施設、飲食店など多岐に渡ります。

認知症カフェでは、何ができる?

認知症カフェでは、本人や家族が気軽に訪れて認知症や介護に関する相談をしたり、悩みを打ち明けたりできます。カフェでの主な活動内容は、参加者同士のコミュニケーション、認知症や介護に関する専門家による講話、無料相談などです。場所によっては、介護予防体操やサークル活動なども実施されています。

たとえば、ALSOK介護が埼玉県内で地域包括支援センターと共同で運営する認知症カフェでは、看護師の話を聞いたり、ゲームで体を動かしたりするほか、地域支え合いをテーマにした紙芝居の朗読なども行います。参加費は100円程度で、参加者は飲み物を片手にリラックスしながら過ごしています。

参加者から寄せられる相談内容は相談者の立場によって異なります。社会福祉法人東北福祉会 認知症介護研究・研修仙台センターが令和5年3月に発表した「認知症カフェの類型と効果に関する調査研究 報告書」によると、認知症の本人からは「自分の健康」に関する相談が多く寄せられる一方で、家族からは発症した症状への対処法や、介護サービスの選び方といった介護についての具体的な相談が目立ちます。

認知症の悩みを一人で抱え込むと解決しづらく逆に、不安感が強まってしまうかもしれません。認知症カフェの最大の魅力は、同じような状況に身を置いてる仲間と出会い、気持ちを共有できることです。「心配しているのは自分だけではない」と実感できると、心が軽くなるはずです。

認知症カフェの3つのタイプ

認知症カフェの目的は「認知症の人とその家族、地域住民が気軽に集える開かれた居場所づくり」ですが、実際の内容によって3つのタイプに分けられます。前述の社会福祉法人東北福祉会 認知症介護研究・研修仙台センターの資料から分類を見ていきましょう。

タイプ1:情報提供や学びを大切にした地域交流拠点のタイプ(情報提供と学び)

カフェスタイルでのミニ講話、専門職等からの情報提供を軸に、参加者同士の情報交換も行われています。

タイプ2:特にプログラムは用意されていない地域交流拠点のタイプ(地域交流の促進)

決まったプログラムはないものの、自由な時間枠の中で、専門職に相談ができます。

タイプ3:地域の中で、家族と本人サポートを中心に行われるタイプ(認知症早期支援)

地域住民の参画・協力のもと、地域の場所を利用して、認知症の人と家族が話し合いや相談ができます。

全ての認知症カフェがこれら3つのうちどれかへ完全に当てはまるとは限りません。実際には、複数のタイプが組み合わさっているケースがあります。受けたいサービス内容によって、カフェを選ぶことが大切です。

認知症カフェを利用するメリット

認知症カフェに行くことでの良さをご紹介いたします。

気軽に相談できる

認知症カフェは地域に開かれた空間であるため、認知症や介護の悩みを気軽に相談できます。役所や地域包括支援センターを訪問しての相談に抵抗を感じる人は、認知症カフェを利用すると良いでしょう。

認知症の理解を深められる

認知症カフェでは、専門家から認知症の特徴や適切な対応方法を学ぶことができます。認知症の進行を遅らせる方法は徐々に明らかになってきているので、専門家からの情報を得ることにより介護者の不安が解消される可能性があります。例えば別の記事でご紹介した「認知症マフ」など普段の生活では馴染みのないものも、実物を展示し訪れた人が実際に手に取ってどのようなものかや使い方を知る機会をカフェが提供しています。

本人だけでなく、家族や知人なども利用できる

認知症を発症した本人だけでなく、家族や知人、地域住民も参加できます。直接関わる関わらないに限らずすべての人が認知症について知り、認知症について自分ごととしてとらえる場となっています。

孤立の防ぎ、地域との繋がりを持つ場となる

認知症の人や介護する人は、外出する機会が少なくなりがちです。認知症カフェは、そんな方々の他者と交流するきっかけとなります。同じ境遇の人が集まるため、悩みを共有しやすいからです。カフェに参加することで、認知症の人は心の健康を維持でき、介護者も息抜きの場所を得られます。また、地域住民がスタッフとして加わる場合もあり、地域との新たな繋がりを持つ場としての役割が期待されています。

認知症カフェの探し方

認知症カフェは、どのように探せば良いのでしょうか。

お住まいの役所内に行き福祉を担当する課に相談をしたり、地域包括支援センターに連絡をする方法があります。近くにある認知症カフェの場所を教えてもらえます。地域包括支援センターには介護に関する様々な情報が集まっています。センターがどこにあるかわからない場合には、役所に聞いてみましょう。

インターネットでの検索も可能です。役所へ行くよりは、ずっと手軽ですね。検索する際には、「千代田区 認知カフェ」のように「地域名+認知症カフェ」と入力して検索すると、お住まいのエリアの認知症カフェの一覧を確認できます。カフェの名前のほか、開催日時や内容、申し込み時の連絡先なども載っているので、気になったところへすぐに問い合わせが可能です。

役所や地域包括支援センターに行くことに抵抗がある方は、まずは気軽なインターネットでの検索から初めてみるとよいかもしれません。
認知症の介護で悩んでいる方や、相談事がある方、気持ちを共有できる場を探している方は、ぜひ、認知症カフェを利用してみましょう。