介護現場が変わる!
すすむICT活用についてお答えします!
コロナ禍の影響もあり、ご家族様にとって非接触及び非対面の状況が長期化し、実際の介護サービス現場を見る機会が大きく減少しています。ただ昨今の事情に比例して、面会の場面においてはオンラインツールを使用してのビデオ面会、ケアマネジャーとのやり取りもオンラインツールのチャット機能を使用など、数年前では考えられなかった状況も副次的に発生しています。
「ICT」について、介護の現場でどの様に浸透しているのでしょうか?
いままでICTが浸透しなかった事由
最近では介護職員の方がタブレットを片手に介護記録を入力するシーンも、だんだん珍しくなくなりつつあります。
サービス種別によって多少違いがございますが、平均で5割~7割の介護施設で介護記録のICT化がすすんでいると言われています。数年前までは大多数の介護施設において介護記録は「手書き」での作成が多かったように感じますが、何がきっかけなのでしょう?介護現場実務より考察します。
介護現場の実情
当然ながら、介護サービスの根幹である「直接介護業務」を主に介護職員は携わっています。それ以外にも間接業務(介護請求事務作業、介護記録作成など)や付帯準備業務(リネン交換、翌日のレクの準備など)など多岐にわたります。介護請求業務の多くは電子化されていますが、請求の根拠となる介護記録が手書きであれば、確認する作業が発生し思ったような業務効率化にはつながっていないようです。
ここでいう「介護記録」とは、わかりやすく例えると医療業界では「カルテ」にあたります。医療業界では電子カルテの普及が先行してすすんでいます。医療従事者は仕事柄、「エビデンスに基づき判断し、実行する」ことが染み付いていることが、「カルテの電子化」が普及する背景にあったと考えています。介護現場においても、エビデンスに基づくサービス提供が求められる時代となり、「パソコンやタブレットが苦手!」な職員が多い中、遅ればせながら進んできた現状がございます。
地方自治体により書式が異なる課題
これからは変わる!介護の現場
急速にすすむICT化の流れ
ここ数年で飛躍的に介護施設において「介護記録システムの導入」がすすみました。理由としては直接介護業務の時間を確保するためには「間接付帯業務」を削減するしかなく、手書き運用の非効率さがクローズアップされ、一気に導入が加速したものと推察しています。また介護記録ソフトは業務の要でもあり、他のICT機器(見守りセンサー、各種ヘルスケア機器、ナースコールなど)との連携による相乗効果も期待できたことも大きな要因です。
忙しい介護現場の中、タブレットで必要な介護記録をタッチ入力し、必要なタイミングで過去記録を閲覧できる利便性が、パソコン苦手意識よりも勝ったこと、現場に浸透するには一定期間かかるものの確実に業務改善効果が見込めることが評価された結果と見ています。
介護現場職員の意識の変化
では現場職員の評価はどうでしょうか?
介護業界全般としてパソコンやタブレット操作に苦手意識がある職員が多いものの、取り組んでみると確実に間接業務が削減されることで、「ご利用者様と向き合える時間」を今まで以上に確保できるようになったことを評価する声が多い様です。一例ではありますが、通所系サービス事業所では、一日のサービス提供内容をまとめる「連絡ノート」を作成しています。介護記録ソフト導入で「複数人職員x一日のご利用人数x手書き作業時間」がなくなることで午後のサービス提供にゆとりが生まれ、より個々のご利用者様に応じた対応が可能となります。
人材定着への副次的効果
ご利用者様にとってのメリット
介護施設のICT化推進による具体的なメリットについてご説明致します。
ニーズにあったサービスの拡充の可能性
一部の介護施設とご利用者の間ではオンラインツールを使用した情報共有も始まっていますが、今後、更に流れが加速すると予想しています。ICTツールを活用したオンライン診療、家に居ながら気軽に参加できるオンライン介護予防プログラムなど、利便性が飛躍的に向上します。こういったサービスは介護保険の範囲にとどまらず、ご利用者様のニーズに応じたフレキシブルな保険外サービスが今後拡充していくものと推察しています。保険外サービスというと高額なイメージがありますが、一例として「介護タクシーを利用し、ほぼ一日使って通院の付き添い」より「訪問介護サービスのタイミングでICTツールを使用したオンライン診療の利便性」のほうがよりニーズが高くなると考えています。
便利になることだけが注目されますが、削減できた時間的コストを本来の介護サービスに転嫁する取り組みが質の高いサービス提供となることにつながる点を重要視したいと思います。