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老人ホーム入居時は住所変更が必要?
メリットと住所地特例制度を解説

「老人ホームに入居する場合は、住所変更が必要なのだろうか」と、気になっている人も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、住所変更すべきかどうかは、入居する施設によって異なります。
「住所変更しなければ入居できない施設」以外は、住所変更しなくても問題ありません。

とはいえ、住民票の住所は「本人が住んでいるところ」にするのが基本ですから、老人ホームに入居する際は住所変更するのが一般的です。
住所変更にはメリットとデメリットがあります。この記事で詳しく解説するので、住所変更すべきか迷ったときの参考にしてください。

住所変更すべきかどうかは入居施設により異なる

冒頭で触れたように、住所変更が必要かどうかは、入居する施設によって異なります。
ここではまず、住所変更が必要な施設とそうでない施設について詳しく解説していきます。

住所変更が必要なのは「地域密着型」施設

住所変更しなければ入居できないのは、「地域密着型サービス」に該当する施設です。

  住所変更 施設の種類
地域密着型施設 必要
  • 認知症対応型共同生活介護
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護
上記以外 任意
  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 有料老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型施設
  • 軽費老人ホーム(ケアハウス)
  • 民間のグループホームや高齢者住宅…など

地域密着型施設は、その市町村の住民だけが利用できる小規模なホームです。

「その市町村に居住していること(住民であること)」が利用条件であるため、別の市町村に住んでいる人は対象外となり、利用を希望するのであれば住所変更が必要になります。

市町村の中には、利用可能な時期を「居住(住所変更)してから〇ヶ月以降」などと規定を設けているところもあります。地域密着型施設への入居を希望する人は、施設がある市町村に問い合わせておきましょう。

「地域密着型施設」以外は住所変更の義務はない

地域密着型施設に該当しない老人ホームは、入居に際して住所変更の義務はありません。
特に以下に該当する人は、住所変更をしなくても問題ないでしょう。

住所変更しなくてもよい場合
  • 短期入居の場合
  • 自宅に家族が居住している
  • やむを得ない事情がある

しかし、住所は「居住している場所」にするのが基本なので、入居前後の都合の良いタイミングで住所変更する人が多いようです。

老人ホーム入居に際して、自宅を処分した人は、特に注意が必要です。
郵便局に郵便物の転送届を出さなければ、郵便物が行方不明になる恐れがあります。年金の受け取りにも問題が生じることがあるので、気をつけましょう。

住所変更をした方がよい場合
  • 自宅を処分した
  • ひとり暮らし又は高齢者世帯

住所変更をするメリットとデメリット

老人ホームに住所を変更するメリットとデメリットを確認していきましょう。

メリット①郵便物が直接本人に届く

住所を老人ホームに変更すると、本人宛の郵便物はすべて老人ホームに届きます。
家族がわざわざ本人宛の郵便物を老人ホームに届けなくてもよいのは大きなメリットでしょう。
特に家族と同居していない人の場合は、郵便物を回収し、老人ホームに届けなければいけません。無人の家に郵便物が届くのは、防犯面でも心配です。

また、郵便物の中には、確認や提出など、何らかのアクションが必要な重要書類もあります。
本人の手元に届くまで時間がかかると、期限切れや紛失、重要書類の見落としなどのリスクも高まります。
老人ホームに本人宛の郵便物が届くと、このようなリスクを減らすことができます。

メリット②介護保険料などが安くなる可能性がある

介護保険料は市町村によって金額が異なります。
転居によって居住自治体が変わる場合、以前よりも介護保険料などが安くなる可能性があります。

デメリット①住所変更の手間がかかる

住所変更の手続きは役所で行います。役所が空いているのは基本的に平日のみですから、家族が代理で手続きを行う場合、時間の都合をつけなければいけません。

住所変更は住民票の住所を変えて終わりではありません。住所変更すると、健康保険やクレジットカードなどでも住所変更の手続きが必要になり、時間や手間がかかります。

住所変更したら手続きが必要なもの
  • 国民健康保険

  • 後期高齢者医療被保険者証(75歳以上の人)
  • 介護保険被保険者証(65歳以上の人)
  • クレジットカード
  • 銀行
  • 保険…など

デメリット②プライバシー面に不安がある

住所変更をすると、本人宛の郵便物はすべて老人ホームに届きます。
本人や家族より先に、施設関係者の目につくため、プライバシー面が気になる人もいるでしょう。

プライバシーが気になる郵便物
  • 友人からの手紙や年賀状
  • 利用中のサービスや会社からの請求書やダイレクトメール

  • 過去に利用した店や会社からのダイレクトメール

どの老人ホームでも、個人情報の取り扱いは厳重に行われており、悪用されることはありません。とはいえ、プライベートなことは「あまり知られたくない」「何となく嫌だ」と感じる人もいらっしゃるでしょう。気になる人は郵便物の取り扱いについて、「郵便物を目にする可能性のあるスタッフの範囲」など、確認しておくといいでしょう。

デメリット③介護保険料などが高くなる可能性がある

介護保険料は市町村によって金額が変わるため、転居によって介護保険料が安くなる場合はメリットになりますが、高くなる場合はデメリットになってしまいます。

転居によって介護保険料が高くなる場合は、入居施設が「住所地特例」の対象となるかを確認しましょう。住所地特例制度を利用すると、介護保険料を抑えることができます。
次章で詳しく「住所地特例制度」について解説します。

住所変更のデメリットを解消する「住所地特例制度」とは

「住所地特例制度」は、老人ホームが多い市町村の介護保険給付による財政圧迫を防ぐ制度です。

この制度を利用すると、該当の施設に入所する場合の特例として、引っ越し前の市町村に介護保険を支払えるため、「住所変更した結果、介護保険料が高くなる」デメリットを解消できます。この章では、住所地特例制度の対象施設や対象者、手続きについて解説します。

住所地特例の対象施設

住所地特例の対象となるのは、以下の施設です。

  1. 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)(定員30人未満は除く)
  2. 介護老人保健施設
  3. 介護療養型医療施設、介護医療院
  4. 特定施設(介護専用型で、かつ定員30人未満は除く)
    有料老人ホーム
    軽費老人ホーム(A型、B型)、ケアハウス
    養護老人ホーム
  5. サービス付き高齢者向け住宅のうち、有料老人ホームに該当するもの。

出典:住所地特例制度のご案内 横浜市

サービス付き高齢者向け住宅のうち、有料老人ホームに該当するかは「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」で確認してください。

住所地特例制度の対象者

住所地特例制度の対象者は次のとおりです。

  • 65歳以上の人
  • 40歳以上65歳未満の医療保険加入者
  • 住所地特例対象施設の入所者

住所地特例対象施設の入所者は、要介護認定を受けていなくても利用ができます。

住所地特例の手続き方法(入居・退去)

住所地特例に関する入居時・退去時の手続きをそれぞれ解説します。

施設に入居した時の手続き

入居者(本人) 引っ越し前の市町村に「住所地特例適用届」を提出
入居施設 引っ越し前の市町村に「施設入所連絡票」を送付
引っ越し前の市町村 本人の現住所がある市町村に「住所地特例者連絡票」を送付

入居者が行う手続きは、旧住所がある役所に「住所地特例適用届」を提出することと、入居施設に「施設入所連絡票」の送付を依頼することです。

市町村によって、提出日に期限が設けられていることがあるので、入居前に介護保険窓口などで確認しておくといいでしょう。

施設を退去した時の手続き

入居者(本人) 引っ越し前の市町村に「住所地特例終了届」を提出
入居施設 引っ越し前の市町村に「施設退所連絡票」を送付
引っ越し前の市町村 本人の現住所がある市町村に「住所地特例者連絡票」を送付

施設を退去する時は、引っ越し前の市町村に「住所地特例終了届」を提出します。
退去時はバタバタしがちですが、手続きを忘れないように注意しましょう。

住所変更すべきか迷ったら、ケアマネジャーに相談を

この記事では、老人ホームへの入居にあたって住所変更すべきかどうかについて解説しました。住民票を異動しなければ使用できない施設以外は、急いで住所変更をする必要がないことがお分かりいただけたかと思います。

老人ホームに入居する場合は、住所変更するのが基本ですが、住所変更には手間がかかるのも事実です。住所変更すべきか迷ったら、ケアマネジャーや施設スタッフなどに相談しましょう。メリットとデメリットを比較した上で、慎重に判断するといいでしょう。