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よくわかる介護の話
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老人ホーム/介護施設で進むIT化
~実例で見る介護現場におけるICT利用~

テクノロジーは私たちの想像をはるかに超えるスピードで進化しています。

私たちの生活も、すでに多くのICT(Information and Communication Technology・情報通信技術)によって支えられています。スマートフォンもそうですし、電車やバスに乗るときに使うICカード、ネットショッピング、病院で使用されている電子カルテシステムなども、ICTの一種です。

では介護現場において、いわゆるIT・ICTの導入はどれくらい進んでいるのでしょう?

この記事では、介護現場の負担を減らすためのIT・ICTについて、わかりやすく説明します。ご紹介するICT機器はご家庭の介護等でも役立つかもしれません。ぜひ参考にしてください。

老人ホーム・介護現場で活用されているICTとは

介護に活用されている主なIT・ICTには以下のようなものがあります。

見守りサービス

カメラを使用し、どこにいても見守り対象の方の状況をリアルタイムで確認することができます。家庭の介護でも、居室にいる高齢者の様子を居室まで確認しに行く回数を減らすことができる点で介護する方の負担を減らせますね。遠方にいる高齢のご両親の様子を、子の世帯が家にいながらにして見守ることもできます。

GPS

GPS(Global Positioning System)は、現在位置を測定できるシステムで、キーホルダーやスマートフォンなどを高齢者に身につけてもらうことで、居場所を常に把握できる安心感があります。認知症の方が知らない間に家から出ていってしまうようなケースも少なくありません。24時間、介護する方が神経を張り詰めているのは大変ですから、安心材料のひとつとして有効です。

介護ロボット

介護ロボットには非常にたくさんの種類があります。力が必要な場面で着用することで介護する方の体の負担が減るロボットスーツや、入浴介助をサポートするロボットなども開発されています。

コミュニケーションロボット

一方で、見た目がかわいく、コミュニケーションもとれるロボットも登場しています。こうしたロボットは相手に声をかけたり、歌を歌ったり、話し相手になったりもします。AI(人工知能)を活用し、高齢者とのやり取りを学習して、密度の高いコミュニケーションができる高性能のロボットもあります。

介護施設の管理システム

介護施設では、健康管理やサービスの記録、データの共有などを円滑に行うために、介護ソフトを活用しています。煩雑な事務処理の負担を減らすことによって、その分、人材を介護現場にあてることができ、結果として「より良いサービス」を提供できるメリットがあります。

在宅介護におけるICTの活用

見守りセンサーやGPS機器は、値段が手頃で使い方も難しくないものが多いので、ご家庭でも導入しやすいICT機器です。在宅でオムツ交換をする際に便利な排泄のタイミングを知らせてくれるセンサーというものもあります。

そんな種々のICT機器の中で最近注目されているのは、在宅介護におけるロボットの活用です。

ロボットというと、手足があっておしゃべりをする「おもちゃ」のイメージがあるかもしれません。しかし介護現場で活躍するロボットは私たちの想像を超える機能を持ち合わせています。

居室に置くセンサーや、見守りカメラをロボットの中に組み込み、同時にコミュニケーションもとれるような介護ロボットの開発は今も進化しています。ロボットにかかる費用はまだまだ高いものの、リースやレンタルといったシステムで一般家庭でも利用しやすい環境が整いつつあります。

こうしたロボットは介護する方の負担を減らすだけでなく、介護が必要な方の日々に新しい彩りを与えてくれます。在宅介護では第一に「介護する方の負担」を減らすことを重視しなくてはなりませんが、同時に「介護が必要な方の笑顔を増やす」そんなICT活用がもっと広まるといいですね。

ICT導入による介護の「メリットとデメリット」

ICT導入には、メリット・デメリットの両方があることを知っておくことも大切です。

メリット

  • 職員の負担を減らすことができる
  • 機器に頼ることで人の目では行き届かない部分の安心感を得ることができる
  • 付随する業務を効率化し、その分、介護そのものに人材を充てることが可能になる

デメリット

  • 導入には一定の費用がかかる
  • 機器を過信すると心の変化などを見逃す可能性がある
  • 気持ちに寄り添う介護は最終的に「人と人」にしかできない

介護現場におけるICT導入で一番のメリットは「さまざまな負担」を軽減できる点です。

ICT機器にもよりますが、たとえば介護する方の体力的な負担を減らし、雑務にかかる手間を減らし労働時間を短縮することも可能でしょう。

またICT機器の導入により、人の目では行き届かないところまで見守ることが可能になったり、データによる詳細な健康管理をしたり、より精度の高い管理システムを組むことができます。

在宅介護においても、GPSがあることで「居場所がわかる」から「安心感が増す」といったメリットもありますね。

一方で、あくまでICT機器はツールであり、人に代わってすべてができるわけではありません。

たとえば「手をにぎる時に感じるあたたかみで、心が通じ合う瞬間」や「そばにいるからこそ気づく小さな変化」は、やはり人の心と心がふれあう中で感じるものです。

それらを、機器を過信することで見逃してしまうのは、デメリットといえるでしょう。

ツールを上手に活用して介護する人の負担を減らしながら、その分うまれる「時間・精神的な余裕」を、介護する方の休憩やリフレッシュ、介護される方とのふれあいの時間に充てることができたらいいですね。

実際にこんなICT機器が介護現場で活躍!

では介護の現場でどのようにICT機器が活躍しているのか、実例を見ていきましょう。

ALSOK介護のICT化

介護記録システム

ALSOK介護の有料老人ホームでは、タブレット端末で介護記録等を管理しています。記録業務の効率化によりスタッフの負担を減らし、ご利用者様と共に過ごす時間を増やすことに成功しました。

眠りスキャン

温度板、睡眠状態・心拍・呼吸センサーなどを活用し正確に健康状態を把握。早期の異変察知や医療連携が可能になりました。(ALSOK介護付有料老人ホーム・みんなの家・与野公園のスタッフブログより)

眠りスキャンは、マットにセンサーを設置することにより、寝返りや呼吸、心拍数を測定できるICT機器です。

実際に、施設で眠りスキャンを導入したところ、夜間のオムツ交換で目が覚めてしまい、その後の眠りが浅くなってしまう利用者の方の睡眠状態に改善がみられました。眠りスキャンで睡眠状態を観察して、その方の目覚めている時間を把握し、その時間にオムツ交換を行うことで睡眠を妨げることがなくなったのです。

専門の施設だからこそできるICT活用の一例とも言えますが、このように老人ホームや介護施設では快適な生活を支えるため、多くのICT機器が活躍しています。

介護のICT化は「みんなが幸せになるため」

過酷な労働と言われる介護現場の負担を、さまざまなICT化により減らすことができます。それは単純に「作業効率を上げる・体力の負担を減らす」だけではなく、介護する人の重圧や精神的な疲弊を少しでも軽くすることにもつながります。

同時に、介護される高齢者にとって、自分の存在が誰かの負担になっているのではないかという不安や、支援を受ける側だからこそ感じる“引け目”の感覚を薄れさせる効果もあるでしょう。

「介護する側もされる側も、笑顔でいるための新しいツール活用」こそが、介護におけるICT活用の根底にある目的です。これからの介護の未来がより明るく、誰にとっても優しいものになるよう、さらにICTツールが進化していくことに期待したいですね。