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家庭の介護“おむつ交換”
「おむつの種類・選び方・勧め方」

在宅介護における負担のひとつが「トイレの介助」です。しかし、体が不自由になってきたり、認知症が進んできたりすると、トイレに行くのも困難になり、誰かの手助けが不可欠です。

おむつを上手に利用すれば、ご本人も安心感が増します。とはいえ、最初は「おむつをしましょう」とはなかなか伝えづらいですね。また、介護の知識がない場合には大人用・介護用のおむつ選び自体も難しいものです。

この記事では基本となる「おむつの種類」や「おむつの選び方」、「おむつの勧め方」について解説します。

介護用(大人)おむつの種類

介護用おむつは、大きく分けると2種類あります。

①アウタータイプ

  • リハビリパンツ
  • 介護用紙おむつ(テープタイプ)

②インナータイプ

  • 軽失禁パッド
  • 尿とりパッド

リハビリパンツは薄手で、ひとりでも着脱しやすく、下着感覚なのでおむつに対して抵抗感がある方も使いやすいものです。介護用紙おむつは寝たきりでも交換しやすいように腰部の両側をテープで止めるタイプです。

インナータイプは下着やリハビリパンツ、介護用紙おむつの内側で使います。介助の必要がなく外出もひとりでできるけど、「トイレが不安」という方であれば、普通の下着に軽失禁パッドだけでもよいでしょう。在宅介護であれば、リハビリパンツや紙おむつに尿とりパッドを併用することで、リハビリパンツや紙おむつ交換の回数を減らすことができ、費用の削減にもなります。

おむつ選びの目安

被介護者の状態 おむつのタイプ

ひとりで歩ける
ひとりでトイレに行ける

  • 下着+軽失禁パッド
  • リハビリパンツ(下着風の紙パンツ)
トイレまで介助が必要だが
立ち上がって歩ける
  • リハビリパンツ+尿とりパッド(紙パンツ用)
ほぼ寝てすごしている
  • テープ式+尿とりパッド(テープ式用)

介護用おむつ「タイプ別」選び方のポイント

ポイントは…

  • 自立の度合い(歩行できる・寝たきりである、など)
  • 体のサイズ
  • 尿の量やおむつ交換の回数

①アウタータイプおむつの選び方

  • リハビリパンツは体にフィットするピッタリサイズを選ぶ
  • テープタイプはヒップサイズを基準にして選ぶ
  • 昼間用・夜間用・外出用など目的にあわせて選ぶ

おむつ選びで重要なのが「サイズ感」です。下着タイプはゆるすぎず、きつすぎず、ウエストを中心にピッタリサイズのものを選びましょう。テープタイプは、ウエストではなく、ヒップのサイズで選びます。

各商品には「M」「L」とサイズ表記されていますが、同じ表記でもメーカーによって微妙にサイズが異なるのでよく確認しましょう。

大人用おむつはさまざまな種類が販売されています。昼間用と夜間用のほか、「ひとりで外出できる」「介助があれば歩くことができる」「座ることができる」など体の状況にあわせたものもあります。ある程度の目安をつけたら、実際に装着しご本人にとって快適かを確認するのがベストです。

②インナータイプおむつの選び方

  • 吸収量と尿の量で選ぶ
  • パンツタイプ/紙テープタイプで選ぶ

まず尿の吸収量をチェックしましょう。商品に「2回分〜5回分」などと吸収量の目安が記されています。失禁の回数が少ない方や交換しやすい昼間は2回分、夜間や長時間の外出では5回分といったように選ぶといいですね。

またインナータイプは下着やリハビリパンツ、紙おむつと合わせて使用します。パンツタイプ用かテープでとめる介護用おむつかで、インナータイプの種類を間違えないようにしましょう。

いつから「おむつ」を使ったらいい?タイミングと勧め方

リハビリパンツやおむつを使用するのは、排泄の不安やトラブルを解消するためです。本人が「トイレに間に合わなかったらと思うと不安で外出できない」「安心して眠れない」という状態になると、それが生活不活発病や睡眠不足による体調の悪化につながりかねません。本人のプライドを傷つけないように、軽い失禁の症状が出たタイミングで、おむつ(またはリハビリパンツ)を勧めてみるといいでしょう。

最初は抵抗感を感じる方がほとんどです。しかし、今は下着と変わらないような薄くて着心地のよいリハビリパンツもたくさん販売されています。

参考までに、実際に在宅介護で「身内にどのようにおむつを勧めたか」体験者の声をご紹介しましょう。

  • 義母は「私は元気で自立している」という思いが強かったので、おむつと言うとショックを受けそうだと感じました。そこで薄型のリハビリパンツを選び、「普通の下着と同じみたいだから60代の人も使っているみたいよ」と勧めました。プライドを傷つけないような言い方をするのがコツです(Mさん)
  • 体の動きがかなりゆっくりになり、なんとかひとりで歩いて家のトイレには行けますが、尿意を感じてからでは間に合わないことが何度か続きました。最初は下着風のパンツ型おむつを使用し、夜間はさらに尿とりパッドを使用しました。一度着用してみると本人も安心感が増し、嫌がらないと思います。ただ、最初はためらうと思うので、「おむつをする」という表現を避けてうまく話したほうがいいと思います。(Tさん)

最適なおむつ選びは快適な介護生活の基本

排泄に関しては、介助される側も、介助する側も、神経を遣います。特に介助されるご本人にとって、排泄の介助やおむつをすることに関して抵抗感を覚えることは少なくありません。

しかし、ご利用になられる方の状況をきちんと把握し、適切なおむつを選んで正しい使い方をすれば、双方の負担が減ります。少しでも快適に過ごせるよう、最適なおむつ選びをしたいものです。

とはいえ、実際におむつを使用するようになって、数時間おきに交換するのが大変なのも事実です。少しの介助があればご自身でトイレに行けるうちは、着脱の楽なリハビリパンツを使用し、体の不自由さが増して、ご家庭での介護が重い負担となってきた場合には、ヘルパーさんなど外部の支援をお願いしましょう。状況によって、施設への入居を検討するタイミングとも言えます。

在宅介護はおむつ交換だけではありません。日々の暮らしを支えるためには多くの手が必要です。介護する方がひとりで抱え込むことがないよう周囲も気を配り、利用できるサービスやサポートを検討することをお勧めします。