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高齢者に必要な災害時の備えとは?今すぐできる防災対策3つ

災害は、いつ・どこで起こるのか想定できません。そして、災害時に命を守るためには、防災対策や備蓄が必要であることは広く知られていますよね。

特に高齢者の単独世帯や高齢者と同居しているご家庭にとっては、災害時の備えが重要になります。高齢者は自力で避難できなかったり、移動に時間がかかったりするためです。
この記事では、いざという時に慌てないために、今すぐできる高齢者向けの防災対策についてお伝えします。

防災対策1:自宅内を安全な場所にする

まずは、自宅内が安全かどうかを確認しましょう。
災害時に家の中でケガをするリスクを減らし、身の安全を確保しやすくなります。

不要な物は捨てておく

家の中でケガをするリスクを減らすには、不要な物はあらかじめ捨てておきましょう。
物が多ければ多いほど、災害時に落下や火災、通路を塞ぐなどの危険が増えます。

大きな家具は固定する

転倒防止のために、大きな家具はL字金具や突っ張り棒などを使って固定します。
家具の下敷きになったり、通路を塞いだりするリスクを減らします。

重い物は下に収納する

重い物や割れやすい物は、なるべく地面に近い場所に置きましょう。
地震の際に、重い物が高い場所から落下してくると大変危険です。高い場所に物を置く時は、「落下して体に当たっても大丈夫な物か」を必ず考えましょう。

出入り口や通路に物を置かない

災害時には、避難経路の確保が大切です。出入り口やその周辺、通路には物を置かないようにしましょう。また、大きな家具・背の高い家具は、「倒れた時にどうなるか」を考え、倒れても通路を塞がない場所に設置しましょう。

防災対策2:避難時に困らないための準備

家の中を安全にしたら、次は避難時に困らないための準備を行いましょう。
ここでは、避難に際して、高齢者がいるご家庭でやっておくべき準備をまとめました。

非常用持ち出し品の準備

被災時に必要な荷物は、避難する時に持ち出す物(非常用持ち出し品)と、被災生活で使用する備蓄品と分けて考えます。避難時に持ち出せる物には限界があるからです。
避難時には、両手が使えるように、以下の物をリュックまたはショルダーバッグにまとめましょう。

非常用持ち出し品
  • ヘルメット
  • 懐中電灯
  • 雨具
  • 老眼鏡
  • 常用薬
  • おくすり手帳
  • 飲料水・食料品(1日分程度)
  • 歯磨き・口腔ケア用品
  • ティッシュ・ウェットティッシュ
  • おむつ
  • 下着類・衣類など(1日分程度)
  • マスク
  • 家族などの連絡先を記載したもの

避難場所の確認

緊急時に避難する場所は、事前の確認が大事です。緊急時は1分1秒を争うこともあります。いざという時に「避難場所はどこ?」と慌てないようにしましょう。

避難先は「指定避難場所」が基本です。指定避難場所は、災害の種類によって異なることがあるので、防災マップまたはYahoo!が提供する避難場所マップで確認しておきましょう。

中には「避難所の生活が不安だから、自宅に留まった方がいい」と考える人もいらっしゃるかもしれません。しかし、浸水や自宅倒壊などのリスクが考えられる場合は、速やかな避難が必要です。

一般の避難所での生活が難しい高齢者や特別な配慮が必要な人は、「福祉避難所」が利用できます。福祉避難所は、支援を必要とする人のための避難所です。ただし、災害直後から必ず開設されるものではないので、まずは指定避難所へ向かいましょう。

避難方法の確認

避難場所が分かったら、「どのように避難するのか」をシミュレーションしましょう。
地図上で確認しただけでは、「車椅子では通れない」「階段が急で上れない」ということもあります。防災マップを活用し、自宅から避難場所への道を確認しておくと安心です。

高齢者は足腰が弱っていることが多いので、どうしても避難に時間がかかります。
災害時に効率よく避難するためには、「早めの行動」「避難時のシミュレーション」が重要です。自宅から避難所まで実際に歩いてみて、何分くらいかかるのかを把握しておくのがよいでしょう。

避難行動要支援者名簿への登録

災害時にひとりで避難が難しい人は「避難行動要支援者名簿」に登録しましょう。避難行動要支援者名簿は、警察や消防などに提供されるものです。災害時の安否確認や避難支援などに役立てられます。

避難行動要支援者名簿の対象者一例
  • 一人暮らしの高齢者
  • 高齢者のみの世帯
  • 要介護3以上の人
  • 身体障害者(1・2級)
  • 知的障害者(療育手帳A)
  • 重度障害者  

……など

避難行動要支援者の対象になるかどうかは、自治体によって異なることがあります。
上記に該当しない場合でも、自力での避難に不安がある人は自治体に相談してみましょう。

防災対策3:備蓄品を用意する

災害時は電気、水道、ガスなどのライフラインが止まる恐れがあります。ライフラインが止まった状態で生活するには、食品・飲料水や生活用品の備蓄は欠かせません。

備蓄品は消費期限の管理が難しいので、ローリングストックを活用するのがおすすめです。ローリングストックとは、普段から使う物を多めに購入し、賞味期限が近くなったものから食べ、食べたら買い足す方法です。

備蓄品リスト(3日分)
食品(1人あたり9食分)
  • レトルトごはん、おかゆ
  • ロングライフパン
  • コーンフレーク
  • クラッカー
  • カップ麺
  • レトルト食品
  • 缶詰
  • 即席スープ
  • 果物缶
飲料水(1人あたり9リットル分)
  • お茶
  • スポーツドリンク
  • 野菜ジュース
  • 果汁100%ジュース

必要に応じて、介護食やとろみ食などを用意しましょう。

必要に応じて用意する物
  • 介護食
  • とろみ剤
  • ゼリー
  • 高カロリー食品

食品・飲料水以外で用意しておくべきものは、下記のとおりです。

そのほか用意しておくべき物
  • カセットコンロ
  • おむつ
  • おしり拭き
  • ゴミ袋
  • ポリ袋
  • ラップ
  • ペーパー類(ティッシュ、トイレット)
  • 常備薬
  • 医療機器の予備バッテリー
  • 携帯ラジオ
  • 懐中電灯

被災生活では、抵抗力の弱い高齢者は衛生面に気を配ることも大切です。生活用品は普段よりも多めに買っておくといいでしょう。

高齢者世帯が日頃からやっておきたい3つのこと

最後に、防災のためにも、高齢者世帯の方が日頃からやっておきたいことを3つにまとめました。

1)地域の防災訓練に参加する

防災訓練に参加すると、いざという時にどのような行動をとればよいのかが明確になります。ピンチの時にも、適切な行動がとれるようになるのです。

防災訓練に参加すると、防災の知識が身に付くだけでなく、地域の人と顔見知りになることができます。知っている人を増やすことで、災害時に孤立しにくくなります。

2)近所や地域の人との交流

普段から近所や地域の人と交流しておくと、災害時に効果的な支援が期待できます。
「あの家には在宅介護中のおばあちゃんがいる」「ひとり暮らしのおじいさんがいる」などと気にしてもらえるでしょう。避難時の誘導やサポートがあるか・ないかでは、精神的負担が大きく違います。

また、挨拶や声掛けなどを通じて日頃から良い関係を作っておくと、災害後の困ったことも相談しやすいはずです。

3)医療機器の点検・緊急時のシミュレーション

電動車椅子や、電動ベッド、人工呼吸器など、電源が必要な医療機器は定期的に点検しましょう。また、停電を想定した緊急時のシミュレーションをしておくことも大切です。
医療機器は一般的に内部バッテリーが備わっているので、停電時にすぐ使えなくなることはありません。しかし、内部バッテリーは長時間の使用が難しいもの。予備のバッテリーを用意する、手動で動かすなど、緊急時の対処法を把握しておきましょう。

災害時の「これぐらいなら大丈夫」は危険!防災の正しい知識が身を助ける

高齢者に限らず、私たちは大雨や地震などで避難警報が出ても、「これぐらいなら大丈夫」「たいしたことない」と楽観的に考えてしまうことがあります。しかし、それはとても危険です。楽観視していると、避難が遅れたり、適切な対応ができずに災害に巻き込まれたりする可能性があります。

自分や家族の身を守るためには、危険を察知したら率先して避難しましょう。想定外の状態でも冷静に対処するには、防災に関する正しい知識を持つことが大切です。