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【体験談あり】別居している高齢の親が暮らす
「実家の整理整頓」をスムーズに進める方法とは?

高齢の親の体力が少しずつ衰え、実家を維持するのも大変になってくるのは珍しいことではありません。気にはなっていても、子ども世帯も多忙でなかなか片付ける機会がないまま、気づいたときには実家中にモノが氾濫していることも……。

親にとって思い入れのある家(子ども世代が育った家でもあります)を片付ける・処分する、というのはとても難しいことです。ただ子ども世帯にとって、実家をどうするのかは、いずれ直面する問題でもあります。

今回の記事では、どうやって高齢の親と共に実家の整理をすすめていくのか、「片付けてモノを捨てる」、いわゆる断捨離ができるのかについて、体験談も含めてご紹介します。

高齢の親も納得する実家を片付けるときのポイント2つ

【ポイント1】早いうちから少しずつ

モノは家族の成長とともに増えていきます。やがて子どもが独立しても、あまりモノが減ることはありません。一方で年齢を重ねるごとに、実家に住む親にとって片付けは体力的にもきつく、大変になります。

親の了解を得ることができれば、業者などを利用して一気にモノを処分し実家を片付けることも可能ですが、実際には難しいものです。

なるべく親が元気なうちに、少しずつ実家の片付けをすすめるのがよいでしょう。

【ポイント2】片付ける・捨てる前に親と話し合うことが大切

子どもたちから見ると「なんでこんなものまで?」というモノも大事にとってあるのはよくあること。でもそれはご本人たちにとっては大切なものであったり、思い出があったりするのかもしれません。なにか理由があってとってあるものなのか、ただ捨てずにいるだけの不要なものなのか、よく話を聞いてみることも大切です。

実家を片付ける4ステップ

  1. 親とよく話し合う
  2. 抵抗感の少ない場所・モノから片付けを始める
  3. 思い出やこだわりのあるものは厳選してまとめる
  4. 必要なら業者に頼む

前述したように、まずは親とよく話し合いましょう。

その上で、たとえば納戸や物置、普段使用していない部屋など、利用の少ないスペースから片付けを始めましょう。

親にとって大切なものやとっておきたいものは当然あるでしょう。きれいなボックスなどを用意して、身近に置いておきたいものを選別してもらいます。この時にあれもこれもとならないように、上手に声かけをしていきたいですね。

「この箱に入っているブーケはすっかり汚れてカビもついちゃっているから捨てたほうがいいんじゃない?こっちのお母さんたちの結婚式の記念時計はとてもきれいで素敵よ、時計は壁にかざったらどう?」

このように、ふたつを提示しつつ、ひとつは大切に保存し、もうひとつは捨てようか?と問いかけると、案外同意してくれることが多いようです。あくまで親に選択肢を残しつつ、モノを処分しやすいようにしていきましょう。

そして最終的には業者の利用も検討しましょう。状況にもよりますが、ある程度お金がかかっても外注することを考えてもよいのではないでしょうか。

体験談「地方の実家を片付けるのに1年!」

吉田さん(仮名)の母親は、父親が亡くなった後も、地方の大きな平屋建てでひとり暮らしをしていました。吉田さんは東京で就職し、結婚後も東京住まいです。

そのうちに母親が足腰を悪くし、物忘れなどもひどくなってきたのを心配し、吉田さん夫婦は母親を東京へ呼び寄せ、近くの老人ホームへの入居をすすめました。ところが、そもそも住み慣れた家を離れるだけでも抵抗があるのに、「土地と家を手放す」ことに母親は納得いかない様子。

「なんとか説得し、いらないものをゴミ袋に詰めたのに、母は夜中に開いて、また全部出してしまうのです。ビックリしました。」

その時に実家を隅々まで見てまわり、愕然としたそうです。

「田舎の家ですから、とにかく押入れや納戸が多い。その上、母親は私が何かを捨てようとするたびに反対する。壊れたジューサーでさえ、奪い取るようにして抱え、『お前はなんてことをするんだ』と怒り出すのには困惑しました。」

母親が老人ホームに気分よく入居してもらえるよう、外回りや使用していない部屋などを集中的に片付け、それまでは普段暮らしている部屋は手をつけないことに。

吉田さんもたびたび仕事を休むわけにもいかず、業者の利用も考えたそうです。

「なにしろ大きな田舎の家でモノの量も多いし、2階の窓から吊り下げないと搬出できない家具なんかもあって、なんだかんだと100万近い見積もりが出て、ちょっと無理だとあきらめました。」

結局、吉田さんは1年近くかけて、なんとか家の中を片付け、「どうしても動かせない大物だけ業者に頼んだ」そうです。

「でもね、往復の交通費とか労力とか考えると、もしかしたら100万以上自分たちに負担がかかっていたような気もします。もっと早くから、帰省するたびに、外の物置、客用布団、父親の本棚など、1~2日で終わるところからどんどん片付けておけばよかった。」

吉田さん夫婦には娘ふたりがいるそうですが「同じような苦労はさせたくないので、今から少しずつモノを整理しては捨てています」と最後に答えてくださいました。

体験談「実家をどうするか・兄弟姉妹間で意見があわないことも」

大山さん(仮名)は上に姉がいます。父親が90歳、母親が83歳になった頃、「もうお父ちゃんのお世話は無理」と母親から相談されました。大山さんはすぐに姉と連絡をとり、最初はデイケアを利用し、それから1年ほどで夫婦そろって老人ホームへの入所を決めました。

「母が希望したので入居は比較的スムーズでしたが、2階建ての実家をどうするかが大問題でした。」

それほど大きな家ではないものの、自分たちの子供部屋はもはや納戸と化していて「衣装ケースやら古い雑誌やら山のよう」だったとか。姉、大山さん夫妻でおもむき「3人でやれば1日で片付くだろう」とたかをくくっていたのを大後悔。

庭というほどでもない小さなスペースに放置されたプランターや鉢。土などは通常のゴミとして捨てられないとわかり、業者を探すだけでもひと苦労です。

入所の際、大事にしていたアルバムやお気に入りの洋服、父親が好んだ釣り道具などは運んでいたため、実際に残っているものは「全部、処分してしまっていいのではないか」という話に。

「たまに不用品回収のちらしとか入って見ていたのですが、トラック1台で5万くらいという印象しかなかった」

と大山さん。ところが20万近くかかることがわかります。姉と折半しようとしたところ、そこから遺産相続に関わるような話にもつながり、姉との話し合いもうまくいきません。

実家を片付けることは、親の老後をどう支えていくかをリアルに考えるタイミングでもあります。

「それまで漠然としていましたが、姉としっかり話し合う必要があると感じたので向き合うことになりました。なんとなく姉弟だし、互いに同じ意見、わかりあっていると勝手に思っていたところがあります。」

「親の老後とか死後について話すのは抵抗感もあったのですが、親自身がはっきりした意思を持っているうちにこそ、話し合いをし、実家の処分についても進めていくことが、実はいちばん揉め事が少なくていいのだなと後から思いました。」

兄弟姉妹がいる場合は、実家の片付けひとつをとっても意見が合うとは限らないのが現実。「親の家をどうするか」については、家族そろって早い段階から、親の意思を尊重しつつ話し合いをし、できるところから片付けていきましょう。

「思い出は心の中に」身軽なシニアライフで快適に過ごしましょう!

モノがなくなっても思い出はこころの中にあります。実家に対する懐かしい思いをご両親と共有しながら、少しずつ片付けていけたらいいですね。背負ってきたものをおろして、ためてきたものを整理して身軽になることは、シニアライフに新しい道を開いてくれること。そのことを、気持ちをこめてご両親に話してあげてください。

誰かからの支援や介助を受けて生活するようになったり、老人ホームなどへの入居を検討するような状況になったら、具体的に実家の片付けを考える必要が生じてきます。その時に業者を使うことも、けして悪い選択肢ではありません。

記事にある通り、実家の片付けは時間もお金も労力もかかります。なるべく早いうちから少しずつ、少しずつ進めていくとよいかもしれません。