寝たきりの生活でも楽しめるものを紹介!
~生きがいのある日々のために~
寝たきりの方はなかなか楽しみを見つけられないという声も耳にします。
体が不自由になると、どうしても気もふさぎがちになります。それでもやはり「面白い」「楽しい」と思える時間を過ごしてもらいたいですよね。生きがいや楽しみにつながることは工夫しだいできっと見つかります。
この記事では介護が必要で寝たきりの生活の方でも楽しめるレクリエーションや、家庭でもできる気分転換の方法を体験談も交えてご紹介します。
寝たきりでも楽しめる簡単レクリエーション3つ
- 読み聞かせ
- 歌をうたう
- 映画や好みのDVD鑑賞
まず念頭に置いていただきたいのは、ご本人が「楽しめそうなこと」を第一に考えることです。
例えば若い頃からカラオケが趣味だったら、おうちで歌をうたうことで気分転換になるでしょう。でも、歌や音楽に興味がない方に無理強いしても楽しめないかもしれません。
これまでご本人が好きだったこと、趣味として続けてきたこと、幼少期にたしなんだものなどを考慮したうえで、楽しめそうなことをおすすめしてみましょう。
1.読み聞かせ
読み聞かせは、「何を選ぶか」がポイントです。
「最初は絵本などわかりやすく、絵も鮮やかなものを読んでいたのですが、子どもっぽくてつまらないと言われてしまいました。そこで、朝刊の一面を読んでみると、『政治や時代の動きを知ることができて楽しい、テレビではあまり聞かない論説などを読んでくれ』とリクエストもされました。」(Aさん)
「ミステリー本が好きだった母。長い本を続きで読もうとしても忘れてしまうので、5分から10分で読み終わる、どんでん返しのある短編集を選んだら、犯人は○○よ!なんて楽しそうに話してくれるようになりました。」(Hさん)
「子供時代に読んでいた童話を懐かしみます。小さい頃を思い出すようで気持ちがリラックスするみたいです。」(Sさん)
このように、好みは人それぞれです。いろいろ試しに読んでみて、反応がよいものを選びましょう。
2.歌をうたう
老人ホームでも歌をうたうレクリエーションはよく行われています。大きな声を出すことは心肺機能を活発化する働きもあります。また大声を出すことで気分が変わる、リフレッシュするなどのメリットもあります。
幼い頃に母親から聞かされた歌について訊ねたり、若い頃にどんな曲が流行していたのか、お話をしながら歌を選んでいくといいですね。
3.映画や好みのDVD鑑賞
寝たままでも見やすい位置にテレビを置いて、さまざまな映画やドラマの鑑賞もおすすめです。時代劇や音楽番組、ミュージカル、ご本人が昔見たドラマのDVDなども懐かしく楽しめます。
「子どもの頃見ていたと聞いたので、手塚治虫さんのアニメを探して流したらとても喜んでくれました。」(Kさん)
「昔、ひとりで旅行し美術館めぐりをしたのがお義父さんの自慢。そこで世界中の美術館を紹介するDVDを流したら、めっきり口数の減った義父が『ココに行ったことがある』と話しだしたので驚きました。」(Mさん)
寝たきりだったり、介護が必要な高齢者が前向きな気持ちになれるように
実際に寝たきりの生活だったり、体が不自由で介護が必要な方がいらっしゃるご家庭の工夫も交えながら、いろいろな楽しみ方をさらにご紹介していきましょう。
- 楽しいグッズを活用しよう
- 趣味に合わせた楽しみを工夫する
- 役割を担ってもらうことで前向きな気持ちに
- 会話だけでもリフレッシュできる
寝たきりの介護に楽しいグッズで気分転換
- 反応のあるロボット型ぬいぐるみ
- お手玉や大きめの折り紙
- ゲーム機
最近はAI機能がついたぬいぐるみや、話しかけるとまばたきをしたり、声を出したりするロボットなどがあります。実際にペットを飼うのは難しいものですが、こうしたロボットを可愛がるのも、息抜きのひとつとしておすすめです。
寝たきりであっても、ベッドの背をあげて手を動かすことができれば、お手玉をしたり、木製の大きめのパズルにチャレンジしたり、脳トレや指先訓練になるリハビリ用ボードゲーム等を用意してみてもいいですね。
ゲーム機も、大人向けのソフトもいろいろと出ています。将棋ソフトや、簡単なパズル・クイズなどはいかがでしょうか。
ご家族や親族からのプレゼントとして贈れば、試してみようかなと思うかもしれません。強要するのではなく、ご本人が興味を持ちそうなものを用意して、一緒に楽しむくらいの気持ちですすめてみましょう。
趣味に合わせた楽しみを見つける
もともと好きだったことや、趣味に合わせた楽しみ方を見つけてあげると喜んでもらえます。
「園芸好きですが車椅子も長時間は難しいので、ベッドから成長が眺められるポット栽培を行ってみました。お花が咲くのもいいのですが、意外と好評だったのがポット栽培のお野菜。お水をあげて、とか、根もとを見せて、と興味を示します。」(Tさん)
「手作業が好きな義母、少し握力が弱くなっていますが気持ちはとてもしっかりしているんですね。そこではがきにフェルトペンなどで絵を描いてもらい、メッセージは私が代筆して、昔の知人や親戚に送っています。お相手の方から返事がくる楽しみもあり、写生したいから果物を飾って、と意欲も見せてくれるようになりました。」(Iさん)
「クラシック好きの父のために、楽曲集を用意して毎日流していたら、気づくと一緒にハミングしたり、時には指揮をするように手を動かしていて驚きました。」(Uさん)
「体は不自由ですが、あいかわらず格闘技好き!昔のプロレスの名場面DVDや、写真がたくさん載っている雑誌は飽きずに眺めていますね。部屋にプロレスラーのポスターも貼ったら喜んでくれました。」(Nさん)
家庭内での役割を担ってもらうことが生きがいにつながることも
あるご家庭では足が不自由なものの手はうごく曾祖母に「タオルなどを畳んでもらう」ことにしたところ、誰かの役に立っていることが嬉しいと言われたそうです。寝たきりの生活をしている高齢者の中には、家族の負担になっているのでは?という不安を抱える人も少なくありません。
ちょっとした家事をできる範囲で手伝ってもらうと、やりがいを感じる方もいます。「自分は家族の生活に必要とされている」と感じてもらえるように、小さな仕事を担ってもらうのもよい方法です。
寝たきりの生活の方にとって会話こそ身近な気分転換
寝たきりの生活の方にとっては、誰かと会話することだけでも気分転換になります。
介護している方以外の身内や親戚、時には昔の知人と話すことは気晴らしにもなります。車椅子で出かけられるようであれば、お天気の良い日には知り合いと散策がてら外出すれば気持ちもリフレッシュします。
もしベッドから起き上がることが難しいのであれば、友人の来訪も楽しいイベントになるでしょう。友人が来るから「ヘアスタイルを整えようか」「新しい洋服に着替えようか」と生活にハリを持たせることもできます。
毎日とはいきませんが、誘いやすい、お願いしやすい親族や旧知の方、ご近所の仲間などにお声がけして、ぜひ遊びに来ていただきましょう。ただ、ご本人の性格によっては寝たきりの姿を見せたくない、ということもありますので、その点は配慮が必要です。
どなたに会いたいか、どんな方とお話をしたいか、日頃からなにげなく聞いておくといいですね。
いつでもいくつになっても「生きがい」はある
最近ではQOL(クオリティ・オブ・ライフ)、生活の質を高めることが大切と言われています。
寝たきりの生活になるとどうしても自分の殻に閉じこもってしまいがちです。ご本人のこれまでの人生を振り返り、夢中になってきたことや好きなことにフォーカスして、新しい楽しみを見つけてあげたいですね。
自宅介護であっても、施設のショートステイを利用できます。介護施設ではおうちではなかなかできないレクリエーションを行っています。また、新しいお仲間ができる楽しみもあります。
さらにショートステイの間、介護する方も自分の時間を作ることができるのは大きなメリットです。ショートステイを上手に活用してみてはいかがでしょうか。
楽しいことや生きがいがあると自然と前向きな気持ちになります。病は気から、と言われるように、気の持ちようで寝たきりであっても健やかな生活を保つことにつながります。
いくつになっても、どこにいても、どのような状況であっても、ご高齢の家族が「楽しい」と思える時間を過ごせるように周囲の方と協力していきましょう。