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よくわかる介護の話
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「エンディングノート」で始める介護の準備
~メリットと作り方~

「介護が必要になったらどうしたらいい?」
「病気になったら、お金は大丈夫だろうか?」
歳を重ねるにつれて、将来にこんな不安を感じることもあるでしょう。
将来の心配ごとを減らすには、過去と現在を振り返り、自分を見つめ直す作業が必要です。その方法としておすすめなのが、エンディングノートです。

エンディングノートというと、死や終活などネガティブなイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、エンディングノートを作成することは、あなただけでなく、家族にとっても多くのメリットをもたらします。いつまでも自分らしく生きるための便利なアイテムが、エンディングノートなのです。

この記事では、介護準備にエンディングノートを活用する方法を具体的に解説していきます。ぜひ参考にしてください。
 

エンディングノートとは?遺言との違い

まず「エンディングノート」とは、どのようなものなのか理解しておきましょう。

エンディングノートは将来への備え

遺言は民法のもとに細かく要件などが定められており、法的な効力があります。

エンディングノートは、自分に万一のことがあった時に備えて、家族や周りの人に伝えたいことをあらかじめ記入しておくノートです。
一般的には、財産や持病などあなたの個人的な情報から、「将来はこうして欲しい」という希望を記します。詳しい記載内容については後述しますが、基本的には何を書いてもよいものです。

エンディングノートは遺言と違い、法的な効力はありません。しかし本人の希望や意思が明記されていると、家族は迷うことなく、さまざまな判断ができるようになります。

エンディングノートの作り方

初めにお話ししたように、エンディングノートは形式自由で、いろいろなスタイルのものがあります。代表的なものは以下の3つです。

  1. 市販のエンディングノート
  2. 大学ノートなどで作るオリジナルのエンディングノート
  3. パソコンで作成するエンディングノート

それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解しておきましょう。

1.市販のエンディングノート

書店や文具店などで購入できます。
必要な項目があらかじめ印刷されているので、書き進めやすいのが特徴です。

記入式ではなく、複数の選択肢が示されているものを選べば、チェックするだけで意思を表すことができます。ただ、あなたが記入したい項目がなかったり、不必要な項目が入っていたりすることがデメリットと言えるでしょう。

シンプルなものから、たくさんの項目を書き込めるものまで、種類もさまざまです。好みのタイプを選ぶといいでしょう。

2.大学ノートなどで作るオリジナルのエンディングノート

大学ノートなどでオリジナルのエンディングノートを作る方法もあります。
自由な形式で、あなたが書き残したいことだけを記入していきます。
思い立ったらすぐに書き始められる反面、「何を書いたらいい?」と悩んでしまうかもしれません。自由に書けるからこそ、大事なことを書きもらしてしまう可能性があります。

3.パソコンで作成するエンディングノート

パソコンの文書作成ソフトや表計算ソフトなどでも、エンディングノートが作れます。
財産リストやアドレス帳の作成は、手書きよりも楽に行えるのが特徴です。また、内容の変更も簡単に行えます。普段からパソコンを利用する人は検討してもいいでしょう。

ただし、パソコンに保存したままの状態だと、周りの人に見つけてもらえない恐れがあります。パソコンでエンディングノートを作成した場合は、印刷するか、家族にパソコン内の保存場所を伝えておきましょう。

自治体でエンディングノートを配布しているところもある

一部の自治体では、オリジナルのエンディングノートを用意・配布しているところもあります。有料・無料・パソコンでのダウンロードのみ、と自治体によって異なるので、興味のある人は地域包括支援センターなどで聞いてみるといいでしょう。

エンディングノートに書いておきたい内容

次に、エンディングノートに書いておきたい内容を押さえておきましょう。

あなたの基本的な情報
  • 氏名や生年月日
  • 家族(両親・兄弟姉妹・子供など)
  • 緊急連絡先
健康状態
  • 血液型
  • アレルギーの有無
  • かかりつけ医
  • 持病
  • 常備薬
財産について
  • 預貯金
  • 株式や投資信託
  • 不動産
  • 貸付金
  • 生命保険
医療の希望
  • あなたに代わって医療措置の判断をして欲しい人
  • 病名や余命の告知の有無
  • 延命措置の有無
  • 臓器提供
介護の希望
  • 現在受けている介護サービス
  • 介護を受けたい場所
  • 介護をして欲しい人
  • 介護費用の負担について
葬儀やお墓について
  • 葬儀の希望(宗派・場所・予算など)
  • 墓の希望(先祖代々の墓は嫌だ・散骨・納骨堂など)
その他
  • 遺産相続について
  • 形見分け
  • 親しい人へのメッセージ
  • 処分して欲しいもの
  • 交友関係の連絡先
  • SNSやネットショップなどのアカウントについて

この中で特に注意して欲しいのが、SNSやネットショップなどのアカウントです。
現在はさまざまなものにIDやパスワードを設定しますが、これらのアカウントは本人以外には把握が難しいもの。ネットショップに個人情報(クレジットカードや住所など)を登録している場合は、死後放置することで、なりすましの被害に遭う恐れもあります。

また、近年増えているサブスクリプション(定額支払い)サービスを利用している人も要注意です。有料サービスは利用者が亡くなっても、遺族の申し出や利用料金引き落とし口座の凍結がない限り、解約にはなりません。

サブスクリプションや有料サービスを利用している人は、「契約を手動更新にする」または「家族に利用情報を伝える(エンディングノートに記載する)」のどちらかを行いましょう。

エンディングノートを書くことで得られる3つのメリット

エンディングノートを書くことで、あなたや家族は次のような3つのメリットが得られます。

順番に説明していきます。

メリット① 万一の時に、自分も家族も助かる

もし、あなたに万一のことがあったら、どうなるでしょうか。
交通事故や病気などで意識不明の状態になったら、あなたの代わりに家族が「どうすべきか」を決めなくてはいけません。
家族はあなたの命や尊厳にかかわる重大な決断を突然迫られるのですから、その負担はかなりのものになります。「普段から自分の意向は家族に伝えている」という人も、口頭だけでなく書面で残しておきましょう。

意向を書面で残す理由
  • 「言った・言わない」で家族や親せき間でのもめごとを防ぐ
  • あなたの意向を正しく解釈してもらえる
  • 家族が迷ったり、「本当にこれでよかったのか?」と後悔したりすることを防ぐ

また、エンディングノートに、あらかじめ「財産管理」や「治療法の選択」について、誰に依頼するかを明記しておくと、自分自身を守ることにつながります。
エンディングノートに記載しておかないと、思いもよらない人があなたの財産管理をしたり、治療方針を決めることになるかもしれません。

メリット② 「今」を安心して過ごせる

病気や介護、お金などについて「将来どうなるのだろう」と不安に思うこともあるでしょう。漠然とした不安を抱えたままでは、なかなか「今」を楽しむことができません。
今を安心して過ごすには、現実と向き合うことが必要になります。漠然とした不安を放置せず、現在の状況と希望を書き記していきましょう。

お金に不安があるのなら、現在の資産を確認し、老後に使えるお金を把握しておきます。これだけでも「お金に余裕があるのか・ないのか」が分かりますよね。
すると、今後どのような生活をすればいいのかが見えてきます。金銭面に心配があるなら、早めに家族や公的機関に相談することで、必要な支援を受けられるかもしれません。

不安要素を1つずつ書いていくことで、頭が整理され、心が落ち着いてくるはずです。ときに不安な気持ちになったとしても、「エンディングノートに書いてあるから大丈夫」と自分に言い聞かせることで、安心できるでしょう。

メリット③ 頭の中が整理できる

エンディングノートに自分や家族、財産などについて記載するためには、過去を振り返らなければいけません。すると、過去の出来事や人間関係について、自然と頭の中が整理されてくるはずです。

  • 誰にどの財産を相続させるのか
  • 介護は誰に任せたいのか
  • 誰から大切にされているのか
  • 誰を大切に思っているのか

介護や延命治療などの考えを整理すると、必然的に「自分の死」を意識します。
すると、「悔いのない人生にするにはどうすればいいのか」と考えるはずです。
エンディングノートを書くことで、あなたにとって本当に大切な人やものが見えてくると、接し方や関わり方も変わってくるかもしれません。

エンディングノートは早めに書くのがおすすめ

エンディングノートは、あなたの意志や希望を周囲に伝えるのに最適なアイテムです。「縁起でもない」と遠ざけるのではなく、エンディングノートが持つメリットに目を向けて、気軽に書き始めましょう。
エンディングノートは、何度書き直してもいいですし、どのような形式でも構いません。人生はいつ何が起こるか分からないものです。いざという時に後悔しないためにも、早めにエンディングノートを書いておくことをおすすめします。