シニアライフを支える家
〜サービス付き高齢者向け住宅とシルバーハウジング〜
今の生活に問題はないけれど、何年か先のことを考えると、このままこの家で暮らしていけるか少し不安を感じる、といった方も多いと思います。
これまでと変わりない暮らしを続けつつ、生活の助けが必要になったときや健康に不安が生じたときも安心して暮らせるような家があるなら……と思っている方へ、ぜひ検討して頂きたいのがサービス付き高齢者向け住宅です。
サービス付き高齢者向け住宅と同じようなものでシルバーハウジングというものもありますが、民間ではなく公営住宅となるため入居資格など条件があります。
元気な今のうちから10年、20年先のシニアライフを見据えて行動すれば、たとえばご夫婦のひとりに介護が必要となったときやひとり暮らしに不便を感じるようになったときも慌てずにすみます。
今回はサービス付き高齢者向け住宅とシルバーハウジングについて詳しく説明します。
この記事でわかること
「安心と快適」なシニア向け住宅
老人ホームと聞くと「わたしは健康だし、介護も必要ない」とおっしゃる方も多いのですが、そもそも老人ホームといってもその種類はいろいろあります。
中~重度の介護が必要な人のための特別養護老人ホームや、認知症の高齢者向けグループホームなどありますが、今回ご紹介するサービス付き高齢者向け住宅は比較的元気で自立した生活をおくることができる人が対象です。
サービス付き高齢者向け住宅は、もちろん出入りも自由でこれまでの暮らしと大きくライフスタイルが変わることはありません。
また、サービス付き高齢者向け住宅のほとんどが賃貸住宅のため、入居一時金がかからないところも多くあります(別途敷金が必要な場合はあります)。賃貸ですから、その後に状況が変わって別の老人ホームに入りたいとか子どもの近くに移りたいというときも、退去しやすいメリットもあります。
なによりスタッフが毎日「体調はいかがですか?」などと様子を聞いてくれる、何か困ったときには生活全般の相談にのってくれる、というのはご本人にとってもご家族にとっても大きな安心ですね。
「介護は必要ないけど自宅で過ごすには少し不安がある」と思っている方、老人ホームに入るほどではないけど高齢のご両親が心配という方は、サービス付き高齢者向け住宅を検討してみてはいかがでしょうか。
サービス付き高齢者向け住宅とは
サービス付き高齢者向け住宅の種類
- 住宅型:対象は自立~軽介護度の方。独居や老老介護で日々の生活に不安を感じる方向け。介護サービスが必要な場合は、訪問介護などの外部サービスを個別契約。
- 介護型:厚労省が定める特定施設入居者生活介護の指定を受けている。介護付有料老人ホームと同様のサービスが提供される。
下記の調査でも、介護型はわずかに8%です。
入居者条件
- 60歳以上 または要支援・要介護認定者等
登録基準
- 床面積は25㎡(居間・食堂・台所その他の居住の用に供する部分が、高齢者が共同して利用するため十分な面積を有する場合にあっては18㎡)
- 構造、設備が一定の基準を満たすこと
- バリアフリー構造であること
受けられるサービス
- 安否確認サービス
- 生活相談サービス
*食事の提供や、掃除・洗濯といった家事援助などがオプションで受けられる住宅が多い。
サービス付き高齢者向け住宅で受けられるサービス内容
2020年12月の調査結果ですが、全国のサービス付き高齢者向け住宅で実際に提供されているサービスです。
状況把握と生活相談は必須とされているサービスです。食事の提供もほぼ100%に近いですね。
入浴や家事のサービスを提供しているところも約半数あります。なんといってもスタッフが日々状況を確認してくれるので、思わぬ怪我をしたときや体調がすぐれないときも安心です。
サービス内容は各住宅によって違うので、どのようなサービスを利用できるのかを必ず確認しましょう。
サービス付き高齢者向け住宅の特徴
サービス付き高齢者向け住宅は、ひと言でいえば「賃貸マンションだけど見守りサービスがあり、多くは食事なども提供してくれるスペースがある」高齢者向けの賃貸住宅です。
一般的な賃貸住宅にプラスして安否確認や生活相談のサービスが受けられることから、これまでの自宅生活と変わらない自由さと自立した暮らしができ、なおかつ安心な住まいと言えます。
また、サービス付き高齢者向け住宅には居宅介護支援事業所や訪問介護事業所、訪問看護ステーション、デイサービスセンターやクリニックが併設されている場合もあります。
いずれ介護が必要になったとしても、介護保険の居宅介護支援サービスを利用して介護サービスを受けられることも、将来を考えると安心ですね。
実際のサービス付き高齢者向け住宅はこんな感じです!
上記はALSOK介護が運営しているサービス付き高齢者向け住宅の部屋の写真です。自由にインテリアを変えて、自分好みのお部屋にすればリラックスして過ごせますね。
外観も高級なマンションそのものです。でもよくみると、スロープや手すりなどシニアにとって暮らしやすい設備が整っています。
共用部分も広々とした明るい雰囲気ですね。詳しくはこちらからどうぞ。
そのほかALSOK介護のサービス付き高齢者向け住宅について詳しくはこちらからどうぞ。
ALSOK介護のサービス付き高齢者向け住宅についてはこちらシルバーハウジングとは
シルバーハウジングとは、住宅施策と福祉施策の連携により、高齢者等の生活特性に配慮したバリアフリー化された公営住宅等と生活援助員(ライフサポートアドバイザー)による日常生活支援サービスの提供を併せて行う、高齢者世帯向けの公的賃貸住宅です。
シルバーハウジングもサービス付き高齢者向け住宅と似ていますが、こちらは公営です。市町村から委託された生活援助員が安否確認などの生活支援を行ってくれます。
入居における条件のひとつに所得があります。これは運営元が地方公共団体なのか都市再生機構(UR)なのかで違いがあります。
運営元が地方公共団体の場合は低所得世帯も入りやすいようになっており、いっぽう運営元が都市再生機構の場合では継続して賃貸住宅で暮らせるような一定の月収や貯蓄があるかを確認します。
シルバーハウジングについては、各地方公共団体や都市再生機構等の窓口でまず相談してみましょう。
参考:UR賃貸住宅公式サイトサービス付き高齢者向け住宅とシルバーハウジングの違い
サービス付き高齢者向け住宅とシルバーハウジングの一番大きな違いは「民間運営か公営か」です。
1. 住宅の供給
サービス付き高齢者向け住宅は民間による運営です。キッチンからお風呂まで高級マンションのような住宅もあれば、シンプルな個室のほか公共スペースを多くとり住民同士の交流が盛んなところなど、それぞれに特色があるものも多いです。
そのため、賃貸料金も安いところから高いところまで幅広いのが特徴です。
いっぽうでシルバーハウジングは、公営住宅です。
地方公共団体や住宅供給公社等によるもので、入居するにはそれぞれの定めた「入居者資格」を満たすことが必要となります。民間に比べるとシンプルで、また費用も低めに抑えられているところが多いです。
2. 入居について
サービス付き高齢者向け住宅は現在も増えていますが、いっぽうでシルバーハウジングは全体的に数が多くありません。
そのため、抽選となる場合もあります。シルバーハウジングを検討するときはすぐに入居できない可能性を考え、早めに行動したいですね。
居心地良く、安心して暮らせる家を見つけよう
最近は高齢者向け住宅がとても人気があります。
昔のように大家族で三世代が同居し、おじいちゃんおばあちゃんの様子を常に誰かが見ていられる家は少ないのが現状です。
「遠くにいて、ひとり暮らしの親が心配」な子世帯がこれまでの生活と変わりなく過ごしながら、ひとり暮らしの親には見守りのあるサービス付き高齢者向け住宅を勧める、ということも増えています。
また高齢者自身が、お子さんがいる・いないに関わらず、老後の生活を早めに考え、行動力のあるうちに体が不自由になっても暮らしやすい住居を見つけたいと検討することも多いようです。
人生100年時代では、シニアライフもプランを立てて考えることがこれからは必要です。
賃貸のサービス付き高齢者向け住宅で快適な暮らしを続けながら、必要に応じてサービスを受け、介護の必要度が高くなったら介護付老人ホームへと移るといったように、長い目でみた「ライフプラン」を考えていきましょう。
それぞれの希望にあった住まいと、体力や健康に応じた必要なサービスを活用し、ぜひ快適なシニアライフを実現してくださいね。
参考:シルバーハウジングプロジェクトとは/一般財団法人高齢者住宅財団
高齢者施設がわかる本/太田差惠子著