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【認知症予防】WHO推奨5つのポイントと認知症予防10カ条を徹底解説

歳をとると誰もが認知症になる可能性がありますが、できることなら認知症にならずにいたいですよね。

残念ながら、現在の医学では認知症を完全に予防することはできません。しかし、認知症についての研究が進むにつれて、認知症になりにくい生活習慣や食生活などが明らかになってきています。

今回の記事では、WHO(世界保健機関)が発表した「認知症予防ガイドライン」と公益財団認知症予防財団の認知症予防10カ条をもとに、私たちが取り組みやすい予防法を解説していきます。

認知症予防に効果的な取り組み5つ

最初に、WHO(世界保健機関)が発表した「認知症予防ガイドライン」をもとに、認知症予防に効果的な5つの取り組みをご紹介します。

  1. 外出の機会を増やす
  2. 人との関わりをもつ
  3. 生活習慣病を予防・持病を治療する
  4. 聴力低下の確認と対策
  5. 栄養バランスの良い食事

1.外出の機会を増やす

歳を重ねるにつれ、つい外出が億劫になりがちですが、なるべく家から出る機会を増やしましょう。外出の機会を増やすと、さまざまな刺激を受け、脳が活性化されます。近所を散歩したりコンビニで買い物をしたりするだけでもOKです。運動不足も解消され、筋力の維持にも効果があるでしょう。

2.人との関わりをもつ

認知症予防には、人との交流が大切です。特に会話をすることが重要です。
会話は脳と口を動かす素晴らしいトレーニング!近所の人との挨拶やスーパーの店員さんとの簡単なやり取りも立派な「会話」です。
社会との接点を持ち、積極的にコミュニケーションをとることで、思考力が鍛えられ、脳が活発に活動します。

3.生活習慣病を予防・持病を治療する

糖尿病や高血圧症などの生活習慣病は、認知症を引き起こす原因のひとつと考えられています。そのため、生活習慣病にならないようにすること、生活習慣病を治療することが認知症予防になります。健康を維持することは認知症予防ではとても大切です。

また、何らかの持病がある場合には適切な治療を受けるようにしましょう。

体調不良は、外出が難しくなったり、気分が落ち込んだりします。たとえ持病があっても、「きちんと診療を受けているから大丈夫」「少しずつでも良くなっている」と前向きに捉えることが大事。体調管理に関する不安を解消することも心がけましょう。
 

認知症につながりやすいと言われている主な生活習慣病・けが

  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 高血圧
  • 脳卒中
  • 脳挫傷

4.聴力低下の確認と対策

誰でも歳をとると、耳が聞こえにくくなります。しかし聴力低下を放置すると、脳に入る情報が少なくなり、神経細胞の活動が衰える可能性があります。逆に言えば、難聴の対策をすることが認知症予防にもなります。

「テレビの音が聞こえづらいな」「ついついボリュームをあげてしまう」ということがあったら、一度、耳鼻科で検査してもらうと安心です。

もし聞こえづらいようなら、補聴器の利用も検討しましょう。音が問題なく聞き取れるようになれば、テレビや映画を見る楽しみも増え、会話もしやすくなります。楽しみやコミュニケーションが増えることは認知症予防にはとても重要なポイントです。
 

5.栄養バランスの良い食事

栄養バランスの良い食事は、認知症だけでなく生活習慣病予防にも効果的です。

WHOのガイドラインでは、認知症予防に最適な食事の例として「地中海食」が提案されています。地中海食とは、ギリシャやイタリアなど、地中海沿岸の国の伝統的な料理です。
 

地中海食の特徴

  • 肉よりも魚を多く摂る
  • 果物や野菜、豆類を多く摂る
  • 穀物は未精製のものが良い(玄米や全粒粉、オート麦など)
  • 乳製品、食塩、加工品、ファストフードは控えめにする

ただし、乳製品に関しては「欧米人は摂りすぎ、日本人は摂らなさすぎ」であることから、日本人は積極的に摂って良いとする見解が一般的です。

九州大学大学院が行った「久山町研究」では、認知症予防につながる食事として、以下のような結果が出ています。
 

認知症予防につながると考えられる食事

積極的に摂取するもの 控えめに摂取するもの
  • 大豆・大豆製品
  • 緑黄色野菜
  • 淡色野菜
  • 藻類
  • 牛乳・乳製品
  • 果物・果物ジュース
  • 芋類
  • 米類
雑誌やテレビのニュースなどで、「カレーが認知症を防ぐ」「柑橘類が認知症予防に良い」などと取り上げられることがありますが、それだけを食べれば良いというものではありません。食事は多様性とバランスが大切です。一度にたくさん食べるのではなく、バランスの良い食事を続けることで効果が期待できます。

認知症予防の10カ条とは

認知症予防で特に留意したい「5つのポイント」をご紹介しました。
ここでは認知症予防財団が掲げる「認知症予防の10カ条」をチェックしてみましょう。

認知症予防の10カ条

  1. 塩分と動物性脂肪を控えたバランスのよい食事
  2. 適度に運動を行い足腰を丈夫に
  3. 深酒とタバコはやめて規則正しい生活を
  4. 生活習慣病(高血圧・肥満など)の予防・早期発見・治療を
  5. 転倒に気をつけよう 頭の打撲は認知症招く
  6. 興味と好奇心をもつように
  7. 考えをまとめて表現する習慣を
  8. こまやかな気配りをした、良い付き合いを
  9. いつも若々しくおしゃれ心を忘れずに
  10. くよくよしないで明るい気分で生活を!

引用:認知症予防の10カ条/公益財団法人認知症予防財団
https://www.mainichi.co.jp/ninchishou/yobou.html

WHOのガイドラインと重複するところが多いのですが、ポイントは6番から10番にわたる「前向きな思考」と「コミュニケーション」です。
興味や好奇心をもつこと、おしゃれ心を忘れないこと、くよくよしないで明るい気分で生活をすること、要は「心の持ちよう」ですね。
認知症予防の10カ条を書き出して、目につく場所に貼っておき、ひとつでもふたつでも少しだけ意識して行動してみるのがおすすめです。

こんな気持ちと行動が認知症を予防する!

「出かける予定はないけれど、身だしなみを整えよう」

身だしなみを整えると、気分もスッキリしませんか?ヘアスタイルを整え着替えをしたら、「ちょっと外に出てみようか」と次のアクションにもつながりやすいメリットがあります。「どうでもいいや」ではなく、「おしゃれをしたから、出かけてみよう」という気持ちになることは認知症予防だけでなく、QOL(生活の質)の向上も期待できます。

「話題になっている◯◯ってなんだろう?」

たとえばニュースで「ドローン」を見て「このラジコンみたいな空とぶモノはなんだろう?」と気になったら、調べてみませんか?インターネットで検索してもよし、図書館で関連する本を借りて読んでみるもよし。関心を持ったらどんどん踏み込んでいき、新しい学びを得ることは大きな刺激となるでしょう。脳への刺激は、認知機能の強化にもつながります。

「楽器や絵画を学んでみよう」

楽器を習ったり、絵画サークルに参加したりスクールで学んだりするのも、認知症予防におすすめです。楽器演奏は楽譜を見て手や指先を動かします。音楽を聴くことも演奏することも、脳の機能を高める効果が期待できます。

絵画も深く考察したり、モノをしっかり見つめたり、繊細な指先の動きに集中したりと脳への刺激がたくさんあります。写生に出かけたり、美術館を巡ったりする楽しみもできます。同じ趣味の仲間と展覧会を開こう!と、これからの夢を持つことだって可能ですね!

何かに挑戦することは、素晴らしいことです。楽器や絵画に限らず、夢中になれることを見つけて、生き生きと暮らすことが認知症予防に効果があります。

認知症予防で気をつけたい2つのリスク

WHOガイドラインでも認知症予防10カ条でも、避けるべきこととして、2つのリスクをあげています。

喫煙

喫煙者は非喫煙者よりも、1.5〜2倍も認知機能が低下しやすいだけでなく、生活習慣病やうつ病のリスクも高めます。もし喫煙の習慣があるなら、すぐに禁煙しましょう。

お酒の飲み過ぎ

お酒の飲みすぎも気をつけましょう。アルコールをたくさん摂取すると、認知症になりやすいことがわかっています。

とはいえ、晩酌が楽しみ、という方もいるでしょう。おしゃべりを楽しみながらの一杯のビールや、ひとり晩酌で焼酎の水割りを片手に好きなテレビを見てリラックスすることまで、「危険だからやめましょう!」と過度に心配しすぎないで大丈夫。要するに、なにごとも過ぎたるは及ばざるが如し、です。お酒はほどほどに、できれば「ほどほどより、ちょっぴり控えめに」するといいですね。

認知症予防は何歳から始めるべき?

一般に、「脳の老化は40代後半から始まる」と言われています。実際に、うっかりミスが多くなったり、もの忘れを自覚したりするのはそれくらいの年齢が多いようです。
アルツハイマー型認知症の発症原因となる物質は、発症のおよそ20年前から蓄積し始めるとされています。ですから70歳で発症した場合は、50歳から発症原因の物質がたまり始める計算になります。
といっても、心配しすぎないことも大切。人生100年時代の今、40代50代の方も「折り返し地点」でちょっと立ち止まり、健やかなセカンドステージのために、心身の健康を意識してみましょう。それが認知症予防に自然とつながります。

楽しんで生きることが一番の認知症予防!

この記事では、認知症予防に効果的な生活習慣をご紹介しました。しかし、「これはしてはいけない」「あれもやらなければ」と考えると誰だって憂鬱になります。ストレスがたまると、そのストレスが認知症リスクを高めてしまい本末転倒です。

認知症の予防は「楽しんでできるか」「無理なくできるか」が重要。ここでご紹介したものすべてを完璧に実践できなくても、できることから始めてみましょう。