介護保険の自己負担額はいくら?
介護サービスの費用目安と支援制度
介護保険のサービスを利用した場合、実際に支払う金額はいくらぐらいなのかが気になりますよね。中には「あまり高額なら利用は難しいかも…」と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回の記事では、次の3つについて詳しく解説します。
- 介護保険制度の基礎知識と利用できるサービス
- 介護サービスの自己負担額目安
- 介護費用の軽減・支援制度
介護サービスを安心して利用するためにも、費用面での疑問や不安はできるだけ解消しておきましょう。
介護保険制度とは?
まずは介護保険制度とは何か、どんなサービスが受けられるのかを理解しておきましょう。
介護が必要な人に「介護費用の一部」を給付する制度
介護保険制度とは、社会全体で介護を支援するしくみのことです。介護が必要な高齢者とその家族の生活を助けるために、介護にかかる費用の一部を給付します。
介護保険制度が利用できるのは、介護が必要だと認められた65歳以上の人です。65歳未満の人の場合は、40歳以上で特定の病気が原因で支援や介護が必要になった場合のみ適用となります。
介護保険サービスを受けるには、「要介護申請」の手続きが必要です。要支援または要介護と認定されなければ、介護保険サービスは利用できません。
非該当(自立) | 支援や介護がなくても日常生活が送れる ※介護保険制度でのサービスは受けられない |
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要支援 | 介護なしで日常生活が可能だが、要介護とならないために支援が必要 ※本人の状態によって1~2段階に分けられる |
要介護 | 日常生活を送るために継続的な介護が必要 ※本人の状態によって1~5段階に分けられる |
介護保険制度で受けられるサービス
介護保険制度で利用できるサービスは多種多様です。身体介護や生活援助など介護が必要な人の生活を支えるものだけでなく、医療的な手当てやリハビリなどもあります。
介護に必要な福祉用具の購入や自宅のリフォーム費用にも使えるので、自宅で介護をする人は有効に活用したいですね。
とはいえ、すべてのサービスが自由に使えるわけではありません。介護保険で利用できるサービスは、要介護認定の結果で決まります。
要支援1~2 (予防給付) |
【特徴】 ・進行を防いで自立を促すためのサービスのみ利用できる ・自宅で受ける介護サービスの利用限度額が介護給付より少ない ・利用できるサービスが限定的 【利用可能サービス例】 訪問入浴、訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリ、ショートステイ、福祉用具貸与など |
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要介護1~5 (介護給付) |
【特徴】 日常生活をサポートするために、さまざまな介護サービスが利用できる 【利用可能サービス例】 訪問介護、訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリ、ショートステイ、デイサービス、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、福祉用具貸与など |
介護サービスの自己負担はどれくらい?
ここでは介護保険サービスの自己負担額の割合や、サービスを利用する場合の限度額の有無、さらに介護サービスの費用目安について解説していきます。
介護保険サービスの自己負担は1~3割
介護保険制度では、利用者は介護保険サービスでかかった費用のうち、1~3割を負担します。自己負担の割合は利用者の所得に応じて決まります。
介護保険サービスの自己負担分はいつ支払うの?
基本的には、サービス利用時に自己負担分を支払います。
ただし、福祉用具の購入や住宅改修費などは、利用者がいったん全額を支払う必要があります。請求すると後日自己負担分以外が払い戻されるしくみです。
施設でサービスを受ける場合は、介護保険自己負担分のほかに居住費(家賃)や食費、日常生活費などが必要です。
サービスの利用に上限はあるの?
費用の一部を負担することで、すべてのサービスが無制限に使えるわけではありません。
介護保険を利用して在宅で受ける介護サービスや福祉用具の購入などには限度額が設けられています。その限度額を超えた分は保険適用外となり、すべて全額自己負担となるので覚えておきましょう。
在宅で受けるサービス | 1ヶ月で利用できる介護サービスの限度額が要介護度によって決められている(下の表参照)。 ※特定の種類のサービスごとに上限を設けている市区町村もある |
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特定福祉用具の購入 | 年間10万円 |
住宅改修費 | 年間20万円 |
要支援1 | 5万30円 |
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要支援2 | 10万4,730円 |
要介護1 | 16万6,920円 |
要介護2 | 19万6,160円 |
要介護3 | 26万9,310円 |
要介護4 | 30万8,060円 |
要介護5 | 36万650円 |
介護サービスの費用目安
介護サービスにかかる費用は、地域単価があるため地域によって多少差があります。ここでは厚生労働省が公表する費用をご紹介しますので、大体の目安として参考にしてください。
サービス内容 | 利用者負担(1割の場合) | |
---|---|---|
身体介護 (食事・排泄・入浴など) |
20分未満 | 165円 |
20分以上30分未満 | 248円 | |
30分以上1時間未満 | 394円 | |
1時間以上1時間半未満 | 575円 | |
生活援助 (掃除・洗濯・買い物など) |
20分以上45分未満 | 181円 |
45分以上 | 223円 | |
通院時の乗車・降車などの介助 | 98円 |
サービス内容 | 利用者負担(1割の場合) | |
---|---|---|
要支援1または2 | 全身入浴の場合 | 1回:845円 |
要介護1~5 | 1回:1,250円 |
サービス内容 | 利用者負担(1割の場合) | |
---|---|---|
要支援1または2 | 20分以上実施した場合 | 1回:290円 |
要介護1~5 |
利用者負担(1割の場合) | |
要介護1 | 1回:645円 |
要介護2 | 1回:761円 |
要介護3 | 1回:883円 |
要介護4 | 1回:1,003円 |
要介護5 | 1回:1,124円 |
※通常規模の事業所の場合(7時間以上8時間未満)
※通常規模とは1ヶ月の平均利用延べ人数が301人以上750人以内を指します
利用者負担(1割の場合) | |
要支援1 | 1日:437円 |
要支援2 | 1日:543円 |
要介護1 | 1日:584円 |
要介護2 | 1日:652円 |
要介護3 | 1日:722円 |
要介護4 | 1日:790円 |
要介護5 | 1日:856円 |
※併設型・多床室の場合
施設サービスの1割 | 約2万5,000円 |
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居住費 | 約2万5,200円(1日あたり840円) |
食費 | 約4万2,000円(1日当たり1,380円) |
日常生活費 | 約1万円(施設ごとに設定される) |
合計 | 約10万2,200円 |
費用面に不安があるなら|知っておきたい支援・制度
収入や貯金が少ないために必要な介護が受けられないということがないように、いくつかの負担軽減策があります。毎日を安心・快適に過ごすためにも、介護サービスは活用したいところです。費用面で不安がある方は、自分が使える制度がないか確認してみましょう。
介護保険料の軽減
40歳以上の国民の義務である介護保険料の支払いですが、本人や世帯の所得などにより軽減措置が設けられています。
第1段階 | 世帯全員が住民税非課税で、本人の年金収入などが80万円以下、生活保護受給者 | 通常の保険料の3割を負担 |
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第2段階 | 世帯全員が住民税非課税で、本人の年金収入などが80万円以上120万円以下 | 通常の保険料の5割を負担 |
第3段階 | 世帯全員が住民税非課税で本人の年金収入などが120万円以上 | 通常の保険料の7割を負担 |
高額介護サービス費
介護費用が高額になることを防ぐために、自己負担の支払いの上限が月ごとに決められています。
この上限額は本人または同一世帯の人の所得で異なります。上限を超えた分は申請すると「高額介護サービス費」として払い戻されるので安心ですね。負担の上限額は以下の表を参考にしてください。
設定区分 | 対象者 | 負担の上限額 |
---|---|---|
第1段階 | 生活保護を受給している方等 | 15,000円(個人) |
第2段階 | 前年の合計所得金額と公的年金収入額の合計が年間80万円以下の方等 | 24,600円(世帯) |
15,000円(個人) | ||
第3段階 | 世帯全員が市区町村民税を課税されていない方 | 24,600円(世帯) |
第4段階 | 市区町村民税課税世帯(一定の場合、年間上限があります。) | 44,400円(世帯) |
高額医療・高額介護合算制度
1年間に支払った介護サービス費と医療費を合算し、支払い上限を超えた場合に超過分が支給される制度です。この制度の適用条件は、同じ医療保険の世帯内であること。同じ世帯でも、異なる公的医療保険の場合は合算できません。
特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)
特別養護老人ホームなどでは食費や居住費など全額自己負担のものがあります。
介護保険申請手続き後、「負担限度額認定証」の交付を受けると、この食費や居住費の全額自己負担の費用に3段階の負担限度額が設けられ、超過分が給付されます。
まずは身近な窓口で相談を
介護保険制度は3年ごとに改正されるため、すべてを理解しようとするとかなりの労力と時間がかかります。ですから、介護の専門家に聞くのが一番です。
相談は地域包括支援センターや市区町村の窓口などで受け付けています。「自分は利用できる?」「何をすればいいの?」と少しでも思ったら、まずは身近な窓口で相談してみましょう。きっとあなたやご家族にとって最適な方法を提案してくれるはずですよ。