訪問看護と訪問介護の違いとは?サービス内容から料金の目安まで解説
「訪問看護と訪問介護、どちらを選べばいいのだろう」
言葉が似ていることもあり、どちらを選べばいいのか迷う人もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、訪問看護と訪問介護では、受けられるサービスが大きく異なります。
そのため、目的に合う方を選択しなければ、「希望するサービスが受けられなかった…」と後悔するかもしれません。
そこでこの記事では、訪問看護と訪問介護の違いを分かりやすく解説し、それぞれのサービス内容や利用方法について詳しく紹介します。
【比較表】訪問看護と訪問介護の違い
まずは、訪問看護と訪問介護の違いをおさえておきましょう。
以下の4つの項目で比較した表をご覧ください。
訪問看護 |
訪問介護 |
|
---|---|---|
目的 |
医療的ケア |
生活のケア |
主なサービス内容 |
|
|
対象者 |
病気を患い、医師が必要と判断した人 |
要介護1~5 |
サービス提供者 |
|
|
上記の表を見ると、訪問看護と訪問介護が、まったく別のサービスであることが分かりますよね。
訪問看護とは|特徴・サービス内容・利用方法など
ここでは訪問看護について、詳しく解説していきます。
訪問看護の特徴
訪問看護は、自宅にいながら医療サービスを受けたい人を対象としたサービスです。医療専門職である看護士や作業療法士などが自宅を訪問し、医療措置や健康状態のチェックなどを行います。
訪問看護では、本人や家族の意思に沿った在宅療養生活を実現するためのサポートから看取りまで対応しています。
訪問看護を利用するには、医師の指示書が必要です。かかりつけ医と連携してくれるので、持病がある人も安心して利用できます。
訪問看護のサービス内容
訪問看護で受けられるサービスは、次のとおりです。
健康状態のチェック | 血圧・体温・脈拍のチェック、問診 |
---|---|
医師の指示に基づく医療処置 | 点滴・床ずれ・褥瘡(じょくそう)の処置、経管栄養の管理 カテーテル・在宅酸素・吸引・人工呼吸器などの管理 傷口の手当て、点滴、注射、胃ろう管理や吸引などの医療行為 |
終末期ケア | 痛みの緩和、本人・家族の精神的支援、環境調整 |
予防ケア | 肺炎・褥瘡(じょくそう)・寝たきりなどの予防 |
身体ケア・生活サポート | 食事や栄養管理、口腔ケア、排泄ケア、体位交換など |
そのほか | 服薬の管理・サポート、リハビリテーション、介助方法や体調に関する相談、精神面のケア |
訪問看護の利用がおすすめの人
訪問看護の利用がおすすめの人は、以下に該当するような「医療的ケアが必要な人」です。
- 持病がある人
- 日常的に医療措置が必要な人
- 体調・病状の確認が必要な人
- 日常的に治療が必要な人
- 病気が原因で自立行動が難しい人
- 退院したばかりで体調や日々の生活が不安な人
訪問看護は、医療的ケアが必要であれば、すべての年齢の人が利用できるサービスです。
「持病はないが、体調面に不安を感じている」「急に食欲が落ちてきた」など、すぐに医療ケアが必要でない人でも訪問看護を利用できるケースもあります。かかりつけ医やケアマネジャーに相談してみましょう。
訪問看護の利用方法
訪問看護を利用するには、医師の指示書が必要です。かかりつけ医に相談し、「訪問看護指示書」を発行してもらいましょう。
その後、ケアマネジャーと相談しながら、利用を希望する訪問看護ステーションに連絡をとります。必要書類の提出やサービス内容の確認を行いましょう。
利用料金は、自己負担割合やサービス内容によって異なります。介護保険や健康保険などの適用範囲によっても料金が変わってくるので、あらかじめ金額を確認しておくと安心です。
訪問看護と訪問介護は併用して利用できる
訪問看護と訪問介護は、利用資格があれば、併用して利用できます。
ケアマネジャーに「受けたい医療ケアの内容」や「現在抱えている困りごと」を伝えると、ご自身に合ったサポートを受けることが可能です。
訪問介護とは?特徴・サービス内容・利用方法
次に、訪問介護について解説していきます。
訪問介護の特徴
訪問介護は、訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅を訪問し、自立した日常生活が送れるように支援するサービスです。訪問介護を利用できるのは、介護認定で要介護1以上の認定を受けた人に限られます。
訪問介護の目的は、高齢者の自立支援や要介護度の進行を防ぐことです。家事代行サービスとは違い、本人ができないことを支援します。
訪問介護のサービス内容
訪問介護には、身体介護と生活援助という2つのサービスがあり、それぞれ「できること」「できないこと」が決められています。
何気なく依頼したことを「対応できません」と断られるケースも少なくありません。
利用時に必要なサポートとサービス内容が合うか、下記表を参考に確認しておきましょう。
身体介護
依頼できること |
|
---|---|
依頼できないこと |
|
生活援助※基本的に本人への支援
依頼できること |
|
---|---|
依頼できないこと |
|
訪問介護がおすすめの人
訪問介護の利用がおすすめの人は、「要介護1以上」で以下に該当する人です。
- 日常生活の動作に不安がある
- 家事の援助が必要
要介護1以上で一人暮らしをしていると、生活面で困難な部分が少なからず出てくるものです。それらすべてを家族だけで支えるのは、かなり大変になります。ご家族の介護負担を減らすためにも、訪問介護を上手に利用しましょう。
訪問介護の利用方法
訪問介護を利用するには、要介護認定の申請を行う必要があります。要介護認定を受けたら、ケアマネジャーと相談しながらケアプランを作成します。
訪問介護サービスは、ケアプランに基づいて提供されるサービスです。
利用料金の目安
訪問看護や訪問介護にかかる費用は、お住まいの地域や適応される保険や、サービス内容、時間などによって変わってきます。おおよその費用感を把握しておきましょう。
【訪問看護】利用料金の目安
訪問看護はすべての人が利用できますが、適用される保険(介護保険・医療保険)によって金額が変わります。
適用となる人
介護保険 |
|
---|---|
医療保険 |
|
介護保険が適用となる人でも、健康状態や疾患によって、医療保険が適用となることがあります。
介護保険が適用の場合
まずは、介護保険が適用となる場合の利用料金について見ていきましょう。介護保険は、「スタッフがどこから派遣されるか」によって、料金が異なります。
訪問看護ステーションから派遣される場合(1回につき)
時間 | 利用者負担(1割) | 利用者負担(2割) |
---|---|---|
20分未満 | 313円 | 626円 |
30分未満 | 470円 | 940円 |
30分~1時間未満 | 821円 | 1,642円 |
1時間~1時間30分 | 1,125円 | 2,250円 |
理学療法士や作業療法士などによる訪問(20分) | 293円 | 586円 |
病院や診療所から派遣される場合(1回につき)
時間 | 利用者負担(1割) | 利用者負担(2割) |
---|---|---|
20分未満 | 265円 | 530円 |
30分未満 | 398円 | 796円 |
30分~1時間未満 | 573円 | 1,146円 |
1時間~1時間30分 | 842円 | 1,684円 |
出典:どんなサービスがあるの? - 訪問看護|厚生労働省より筆者作成
いずれの場合も20分未満の利用が可能ですが、20分未満の利用料金が適用されるのは、20分以上の訪問看護を週1回以上利用した場合に限られます。
医療保険が適用の場合
次に、医療保険で訪問看護を利用した場合の費用感は以下のとおりです。
サービス内容 | 利用者負担(1割) | 利用者負担(2割) |
---|---|---|
訪問看護基本療養費(Ⅰ) ※週3日以上 |
555円 | 1,110円 |
訪問看護基本療養費(Ⅰ) ※週4日以上 |
655円 | 1,310円 |
管理療養費 1日目 | 740円 | 1,480円 |
管理療養費 2日目以降 | 298円 | 596円 |
出典:訪問看護利用料金表(介護保険・介護予防)|独立行政法人地域医療機能推進機構 東京高輪病院附属訪問看護ステーションより作成
上記はあくまで基本料金です。サービス内容や利用時間などで料金が加算されることがあります。契約時に確認しておきましょう。
【訪問介護】利用料金の目安
訪問介護の利用料金の目安は以下のとおりです。
料金はサービス内容によって異なるので注意しましょう。
身体介護サービスの場合
時間 | 利用者負担(1割) | 利用者負担(2割) |
---|---|---|
20分未満 | 167円 | 334円 |
30分未満 | 250円 | 500円 |
30分~1時間未満 | 396円 | 792円 |
1時間~1時間30分未満 | 579円 | 1,158円 |
生活援助サービスの場合
時間 | 利用者負担(1割) | 利用者負担(2割) |
---|---|---|
20分~45分未満 | 183円 | 366円 |
45分以上 | 225円 | 450円 |
通院時の乗車・降車などの介助の場合
利用者負担(1割) | 利用者負担(2割) | |
---|---|---|
1回につき | 99円 | 198円 |
出典:どんなサービスがあるの? - 訪問介護(ホームヘルプ)|厚生労働省より筆者作成
どちらを利用すべきか迷ったら、専門家に相談して
訪問介護と訪問看護のどちらを利用するか迷った場合、ケアマネジャーや主治医などの専門家に相談しましょう。どこに相談すればいいか分からない場合は、地域包括支援センタ―に連絡することをおすすめします。本人や家族にとって最適なサービスを選んで、在宅介護の負担を軽減しましょう。
A L S O K介護でも、訪問介護サービスとともに、居宅介護支援のサービスも行っているので、さまざまな視点から相談を受け付けています。