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高齢者も楽しめるeスポーツとは?脳トレにもなる新しい趣味のかたち

最近、シニア世代の間でも「eスポーツ」という新しい趣味が注目を集めていることをご存じでしょうか。ゲーム機を使って楽しむeスポーツは、年齢や体力に関係なく誰でも気軽に始められる新しい楽しみとして、全国の自治体でも導入が進んでいます。認知症予防や仲間づくりなど、うれしい効果も期待できるeスポーツ。今回は、その魅力と始め方をやさしくご紹介します。

高齢者にうれしい!eスポーツがもたらす効果とは

eスポーツには、シニア世代にとってうれしい効果がたくさんあります。「テレビゲーム」や「パソコンのゲーム」というと若い人の遊びと思われがちですが、実は高齢者の健康づくりや生きがいづくりにぴったりなのです。ここでは、eスポーツがもたらす3つの大きな効果についてお伝えします。

認知症予防や記憶力アップの可能性

eスポーツは、ゲームの中のキャラクターや乗り物を操作するだけでなく、相手の動きを予測して臨機応変に対応する必要があります。このため、自然と頭を使うことになり、脳トレのような効果が期待できるのです。

秋田県での検証では、65歳以上の方が週1回、3カ月間eスポーツに取り組んだところ、認知症の前段階である軽度認知障害の症状が見られる人が10%以上減少したという結果が報告されています。さらに、記憶力や情報処理能力の改善も確認されました。

気持ちが前向きに仲間とつながり、生きがいづくりに

eスポーツの大きな魅力は、ひとりで黙々と取り組むだけでなく、仲間と一緒に楽しめることです。西東京市が東京大学と連携して行った調査では、eスポーツ体験後に同世代との交流意欲が38.4%向上し、外出頻度も週5回以上が28%増加したという結果が出ています。

定年退職や加齢により、社会的な交流が減っていく傾向にあるシニア世代にとって、新しい仲間と出会い、一緒に楽しめる場があることは、とても大切です。

eスポーツは心拍数の上昇やストレスの軽減、ポジティブな感情の増加などの効果があることも報告されており、気持ちを前向きにしてくれる要素がたくさん詰まっているのです。

手や目を動かすことで健康維持、反射神経や集中力も鍛えられる

eスポーツは、激しい運動をするわけではありませんが、コントローラーを操作したり画面を見たりすることで、手や目を動かします。この適度な刺激が、反射神経や集中力を鍛えることにつながります。

体を動かすスポーツと違い、足腰が悪かったり身体に何らかの困難があったりする場合でも、座ったまま気軽に参加できるのもeスポーツの良いところです。雨の日でも、室内で天候に左右されることなく楽しめます。

それでは、実際にeスポーツを始めるには、どのような準備が必要なのでしょうか。

シニアが安心してeスポーツを始めるための準備

eスポーツに興味が出てきたけれど、何から始めればいいのかわからないという方も多いと思います。ここでは、安心してeスポーツを始めるための準備について説明します。

必要な機材の紹介と説明

eスポーツを始めるには、基本的に次のような機材が必要です。

  • ゲーム機(家庭用ゲーム機やパソコン)
  • テレビやモニター(大きな画面の方が見やすい)
  • コントローラー(操作がやさしいものを選ぶ)

最近では、操作が簡単なゲームも多く、初めての方でも安心して始められます。特に音楽ゲームやパズルゲームは、ボタンの数が少なく、直感的に操作できるものが多いので、シニア世代にもおすすめです。

初期費用の目安

eスポーツを始める際の初期費用は、家庭用ゲーム機本体とソフトで、合わせて3万円から5万円程度が目安です。

テレビがあれば、それを使うこともできます。最初から購入するのが不安という方は、お住まいの地域の自治体や福祉施設で開催されているeスポーツ体験会に参加してみるのもよいでしょう。

自分に合ったジャンル選び

eスポーツには、さまざまなジャンルがあります。自分の興味や好みに合わせて選ぶことが、長く楽しく続けるコツです。

  • パズルゲーム(テトリス、ぷよぷよなど、考えながら楽しめる)
  • リズムゲーム(太鼓の達人など、音楽に合わせて体を動かせる)
  • レーシングゲーム(車好きの方におすすめ)
  • スポーツゲーム(野球やサッカーなど、昔やっていたスポーツを楽しめる)

たとえば、車が好きな方にはレーシングゲームがおすすめです。ゲームによっては、車高や車重、エンジンなどを細かく調整でき、見た目を好きなデザインに塗り替えることもできます。実際の車でこれをやろうと思えば膨大な金額がかかりますが、ゲーム内なら満足いくまで好きなだけカスタムすることができるのです。

家族や仲間と一緒に取り組む楽しさ

eスポーツは、ひとりで楽しむこともできますが、家族や仲間と一緒に取り組むことで、より楽しさが増します。

また、地域の仲間と定期的に集まってeスポーツを楽しむことで、外出する機会も増え、社会とのつながりを保つことができます。

高齢者におすすめ!無理なく楽しめるeスポーツ・ゲーム

実際にシニア世代の方々に人気があり、多くの自治体でも採用されているゲームをご紹介します。これらのゲームは、操作が比較的簡単で、初めての方でも楽しめるものばかりです。

『太鼓の達人』(株式会社バンダイナムコエンターテインメント) 全国の自治体で最も多く採用されているゲームのひとつです。画面に流れてくる音符に合わせて太鼓をたたくというシンプルな操作で、音楽を楽しみながら体を動かせます。なじみのある曲も多く、家族や友人と盛り上がれるのも魅力です。
『テトリス』(The Tetris Company)や『ぷよぷよ』(株式会社セガ)などのパズルゲーム 落ちてくるブロックを並べて消していくというシンプルなルールながら、考える力や判断力を鍛えることができます。
レーシングゲーム
車が好きな方や、昔運転していた方に特におすすめです。

厚生労働省の資料によると、熊本県合志市では、高齢者サロンで太鼓をたたくリズムゲームを使ったeスポーツ体験教室を実施し、参加者の活性度に有意な変化が見られました。西東京市では、令和4年度から健康eスポーツ事業をスタートさせ、令和6年2月には「西東京市シニアゲームLIVE」という大会も開催されました。参加者からは「久しぶりに大声で笑った」「練習してうまくなりたい」といった前向きな意見が多く寄せられています。

全国各地でシニア世代がeスポーツを楽しみ、健康的な効果を実感している様子がうかがえますね。

楽しくeスポーツを続けるための工夫と注意点

eスポーツを始めたら、無理なく楽しく続けることが大切です。ここでは、長く楽しむための工夫と、気をつけたいポイントをご紹介します。

休憩を取りながら無理なく楽しむ

ゲームは楽しいものですが、ずっと画面を見続けていると目や腰が疲れてしまいます。30分から1時間に一度は休憩を取り、水分補給をしたり、軽く体を動かしたりしましょう。何でもほどほどに、他の活動とバランスよく取り組むことが健康的です。

家族や仲間と一緒に楽しむ

家族や仲間と定期的に集まる日を決めたり、オンラインで対戦したりすることで、続けやすくなります。

モチベーションアップのための工夫

自分の成長を記録したり、小さな目標を立てたりすることで、やりがいを感じられます。メモを取ることも楽しみのひとつになりますし、行ったことを書くという行為も、読み返して「次はこうしよう」と戦略をたてることも、とても良い刺激になるはず!

自治体などが行っているサポートを活用する

全国の多くの自治体が、シニア世代向けのeスポーツ講座や体験会を無料で開催しています。お住まいの市区町村の福祉課や高齢者支援課に問い合わせてみてください。

コスト的にも無理のない範囲で始める

まずは体験会に参加してみて、自分に合うかどうか確かめてから、少しずつ揃えていくのがよいでしょう。

eスポーツは、日々のウォーキングや体操などの身体を動かす習慣と組み合わせることで、より健康的な生活を送ることができます。

シニアライフに新しい楽しみを、eスポーツで広がる可能性

eスポーツは、シニア世代に新しい楽しみと健康をもたらす素敵な趣味です。認知症予防や記憶力の向上、仲間づくりや生きがいの創出、そして手や目を動かすことによる健康維持など、多くのうれしい効果が期待できます。

操作が簡単なゲームも多く、年齢や体力に関係なく、誰でも気軽に始められるのがeスポーツの魅力です。太鼓の達人やテトリス、レーシングゲームなど、自分の興味に合わせて選べます。

デジタルの世界は難しそうと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、一歩踏み出してみれば、新しい仲間との出会いや思いがけない楽しさが待っています。eスポーツという新しい扉を開いて、充実したシニアライフを送りませんか。