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スタッフブログ

小規模多機能型居宅介護みんなの家・稲城長沼

2026年5月19日

【一日一心】君のかたち

YOYO、みなさん。こんにちは。
みんなの家・稲城長沼の大食い、王です!

爽やかな青空が広がり、ゴールデンウイークはゆっくり過ごされたのでしょうか~
男の休みはやはりラーメンですよね!
連休中、私もガツンと一杯(いや、数杯?)エネルギーをチャージしてまいりました!
やっぱり美味しいものを全力で食べる時間は最高です。

さて、そんな大食い管理者のエネルギーは、すべて施設へと注がれております!
連休が明けた「みんなの家・稲城長沼」では、利用者様とスタッフの賑やかな笑い声が絶えない毎日です。
最近はお天気も良いので、皆様と一緒に両国へ相撲試合を見に行ったのよ~~~

何十年ぶりの聖地へ!

始まりは、3月の穏やかな夕方のことでした。

リビングのテレビに映る大相撲の中継を、じっと見つめていた二人の利用者様。
88歳と92歳になるお二人が、「最後に本物を見に行ったのは、もう何十年も前かねぇ…」と、
そのどこか愛おしそうな横顔が僕の心に残り、「よし、本物を見に行こう!」とこっそりとチケットを手配しました。

「相撲のチケット、取れましたよ!」とご案内したときの、あの嬉しそうな笑顔から、僕たちの特別な旅は始まっていました。

 

待ちに待った4月13日。
朝10時に施設を出発し、のんびりと下道を走る車内は、すぐに昔話で大盛り上がりになりました。
窓の外を流れる景色を眺めながら、かつてがむしゃらに働いていた頃の仕事の話、夢中になった昔の趣味、そして「今こうして出かけるのが一番楽しいねぇ」と笑い合う今の幸せ。
普段の施設の中だけでは見られない、お二人のこれまでの人生の厚みを感じて、運転しながら僕まで胸が熱くなってしまいました。

いざ両国国技館へ!テレビとは違う本物の迫力

少し離れた駐車場に車を止め、心地よい春風を感じながら歩いて両国国技館へ。
現地に到着したときはまだお昼前で、観客の姿もまばらでした。さっそく席に落ち着き、特製のお弁当を広げて、のんびりと序盤の取組を眺めます。

それにしても、テレビの画面越しに観るのとは、空気感が全然違いました。

パァン!と館内に響くまわしや肉体のぶつかり合いの音、お相撲さんたちの圧倒的な迫力、そして国技館名物の焼き鳥を頬張り、甘いお菓子をつまみ、ひんやりとしたアイスクリームを食べて「たまらないねぇ」と大喜び。

一緒にお土産を選びに行く時間も、本当に愛おしいひとときでした。3時半を過ぎると館内は超満員。
地鳴りのような歓声と応援の熱気に、僕たちも圧倒されっぱなしでした。

「足の筋肉が凄いねぇ」、特等席の名解説者たち

お二人とも、正直に言えば最近の若い力士の名前や顔はほとんどご存知ありません。
しかし、土俵を見つめる眼差しは、次第にプロの解説者顔負けの鋭さを帯びていきました。

「なぁに、今度は絶対に左が勝つよ!」
「あぁ、よく残った! 」
「こっちの方が強そうだねぇ、見てごらんよ、あの足の筋肉の凄さ!」

その独自の視線と的確すぎるツッコミが面白くて、僕は隣で何度も吹き出してしまいました。
極めつけは、3年ぶりに十両へ復帰を果たした人気の炎鵬関が土俵に上がったときです。一際大きな歓声の中、炎鵬関が見事な勝利を収めると、お一人が僕の肩を叩いて誇らしげに言いました。
「ほらね!この人は絶対に強いだから! 俺は分かってたよ」。そのあまりに自信満々な様子に、周囲のお客さんもつられて笑顔になるくらいでした。

そんな中、「ねぇ、あの箒を持っている人は何をしているの? 何を掃除しているの?」と不意に質問され、僕も相撲の細かい決まりは知らなくて大慌て。
スマートフォンの画面を隠しながら「ええっと、呼出さんが土俵を清めて、砂をきれいにしているんですよ!」と必死に調べて答える自分の格好悪さにも、思わず笑ってしまいました。

雨の帰り道と、消えない喜び

楽しい時間はあっという間に過ぎ、帰りの頃には、都心を激しい雷と大雨が襲いました。
雨のおかげで、近場の居酒屋さんに立ち寄り、美味しそうなおかずをたくさんテイクアウトして、それをつまみながら施設へと戻りました。

普段、施設の中ではどうしてもウトウトと居眠りをしてしまう時間があるお二人ですが、この日は出発から帰着まで、一度も目を閉じることなく、ずっと目をキラキラと輝かせて相撲を楽しんでいました。

家に帰り、妻に「今日の外出レクはどうだった?」と聞かれたとき、僕は「テレビで見るとはやっぱり全然違ったよ。別の競技かと思うくらい凄かった」と答えました。
そして、もう2歳になった我が子の顔を見つめながら、「この子が大きくなったら、両国へ連れて行ってあげたい」という気持ちが、自然と湧き上がってきました。

今のかたちを一緒に楽しむ介護

今回の旅は、僕自身にとっても、介護という仕事の原点を見つめ直す大きなきっかけをくれました。

最近、他事業所の副センター長とこんな雑談をしました。
1年前のレクリエーションでは、どうやって利用者様の笑いを取ろうかとか、パートさんに任せるのが怖くて自分が抱え込んだりしていた。
でも、1年経って少し考えが変わりました。

大切なのは、「何を話すか」じゃなくて「話すこと」そのもの。
どこか素晴らしい外出先を探すことよりも、ただ「外に出る」ということが大切です。

その言葉を聞いたとき、数日前に子供と一緒に積み木で遊んだ時とパッとつながりました。
子供は、積み木の形や色のルールなんてお構いなしに、ただ楽しそうに、夢中で重ねていきます。
積み木は、箱の中にあるときはただの四角や三角の塊です。けれど、ただの積み木だからこそ、お城にもなれるし、動物にも、大好きな花にもなれる。

 

僕たち大人は、生きている間に、
いつの間にか「優しい父親」「頑張っている施設長」「立派な社会人」という、「こうあるべき」という形を勝手に作り上げ、その形こそが自分のすべてだと思い込んでしまいがちです。
でも、我が子はきれいに積み上げたおもちゃを僕に見せてくれたわずか3秒後、何のためらいもなくガシャーン!とそれを崩して、また新しい形を作り始めました。

やはり、僕たちの本質は、その固まった「かたち」にあるのではない。僕たちはもともと、自由で、何にでもなれる「積み木そのもの」なのです。かたちが崩れるからこそ、新しい考え方や、新しい生き方がそこから生まれてくるのではないでしょうか。

利用者様の介護だって、きっと同じです。
過去の元気だった頃の形、社会で活躍していた頃の形を、無理に作り直す必要なんてどこにもありません。
大切なのは、お二人が88歳と92歳になった「今この瞬間のかたち」を、一緒に愛おしみ、作っていくこと。
隣にそっと座って、たった5分間のたわいもない雑談だけで、お互いの心がすっと広がるかもしれない。ちょっとしたおふざけや冗談が、お互いの関係を一瞬で縮めてくれるかもしれない。

私たちが毎日行う「三大介助」は、間違いなく基本であり、一番大切なことです。
けれど、それと同じくらい、ちょっと変わった関わり方の中にこそ、もっと上手くいくヒントがあるじゃないかと思います。

「俺は毎日バカなことをしてさ、利用者様の笑いさえ取れたら一番幸せですよ」 笑いながらそう語る副センター長の横顔を、なんて素敵で、やさしい人だろうと思いました。

誰かのために全力で「バカ」を演じられるのは、目の前の人への深い愛があるからに他なりません。
時には息子、時には「芋煮兄さん」、時には頼れる男。 どんな姿に形を変えようとも、彼の心の芯は、決してブレることがないです。
そんな彼の頑張っている姿を、利用者様は言葉にしなくても、ちゃんと優しい眼差しで見守ってくれています。

子どもは、積み木のゴールがお城かお花かなんて気にしません。ただ、今が楽しければそれでいい。
介護もきっと、そんな風に「今のかたち」を一緒に楽しむもの。
 彼の不器用で、愛おしい「バカ」な毎日のなかに、私たちが目指すべき介護の、いちばん大切な答えがあるような気がしています。

ーーねぇ、副センター長。
今日もおバカちゃんでいてくれて、ありがとうね~~

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