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2025年8月29日

NEWS LETTER:「介護付有料老人ホームみんなの家・土呂栄光荘」の挑戦  人員配置2:1→3:0.9を実現! ~ケアの質を守りながら、生産性を高める取り組みとは?~

ALSOK介護株式会社(本社:埼玉県さいたま市、代表取締役社長 熊谷 敬)では、介護現場における生産性向上とお客様の「自分らしい生活」の実現に向けた取り組みを、本社社員による取材形式で紹介してまいります。

今回取り上げるのは、「介護付有料老人ホーム みんなの家・土呂栄光荘」(以下、「みんなの家・土呂栄光荘」)。「人が減っても、ケアの質は落とさない」 そんな高い目標に本気で向き合い、2024年度の厚生労働省委託事業「介護ロボット等による生産性向上の取組に関する効果測定事業」(以下、「実証事業」)に参加し、人員配置(※1)を2.1:1から3:0.9の実現。その舞台裏には不安や反発、そして気づきと成長のストーリーがあり、現場のキーパーソン2人に、そのリアルな状況を伺いました。

※1 人員配置とは

介護施設における職員一人あたりが担当するご利用者数の比率を表します。「3:0.9 の配置率」とは、ご利用者3人に対して職員0.9 人が配置されている状態を指し、より効率的かつ質の高いケア提供が可能であることを示します。

【Part.1】導入編 生産性向上、その第一歩は 「不安」 から始まった

Q. 厚労省の実証事業に参加すると聞いたとき、率直にどう思われましたか?

鹿野ホーム長: 最初は「本当にできるのかな…?」というのが正直な気持ちでした。1日のライン配置が5人近く減る計画を見て、「難しいことをやるな」と思いましたね。ただ、この計画の目的は、単に人を減らすのではなく、「新しい形」で運営していくことだと分かって、腹をくくりました。

Q. スタッフの反応はどうでした?

末田ケアマネジャー: 不安は大きかったです。「異動になるの?クビになるの?」と。でも、経営陣やホーム長が1人ひとりと面談を重ねて、「これは削減ではなく、未来への布石だ」と丁寧に伝えてくれました。

【Part.2】葛藤編 現場の“当たり前”を変えた、ひとつひとつの挑戦

Q. 実際に導入された具体的なICTや業務の見直しには、どんなものがありますか?

鹿野ホーム長: 眠りスキャンやスマホとLINE WORKSによる申し送りの電子化、ボックスシーツの導入、薬を飲む際の白湯づくりの廃止、使い捨てのおしぼりの導入、そしてセカンドスタッフ制度の導入などです。1つひとつは地味ですが、積み重ねることで介護職の負担を減らし、ケアに集中できる時間が増えました。

Q. セカンドスタッフ制度とは、具体的にどのような体制ですか?

鹿野ホーム長: 介護職がケアに集中できるよう、環境整備や物品補充、清掃などの間接業務を分離し、セカンドスタッフが担う仕組みです。これで介護の手を奪わずに済むようになりました。

Q. 職員さんからの反発はありませんでしたか?

鹿野ホーム長: ありましたよ。「介護職として入ったのに清掃ですか?」と。でも、例えば「鼻血が付いたティッシュを見つけて看護師に伝えることも、大切なケアの一部なんですよ」と。そうやって「役割の意味」を丁寧に伝えました。

【Part.3】変革編 改革の中で見えたもの 抵抗感と向き合う力

Q. 「これは無理かも」と思った瞬間はありましたか?

鹿野ホーム長: ありました。最初の3〜4ヶ月は「セカンドスタッフって何するの?」といった手探りの状態で、介護スタッフから「無理です!」とも言われました。なぜなら、セカンドスタッフの仕事の方が、実は大変なんです。人を相手にしない業務なので、隙間なくびっしりと仕事(業務)が続くので、実はとてもハードなんです。

Q. 他にも、大変だったことはありましたか?

鹿野ホーム長: ありました、もう全部です(笑)。なにか新しいことをするたびに、必ずいろんな意見がありました。たとえば、「お薬を飲む白湯をやめて浄水器の水を提供する」と決めたときは、「水道水をお客様に出すんですか!?」と、現場の声が一気に爆発しました。

Q. それでも続けた理由は?

鹿野ホーム長: 「やる!」と決めたからにはやりきりたかった。折れてしまったら、後に残るのは「失敗した」経験だけ。 「なぜそれをやるのか?」を自ら問い続けながら、進みましたね。

Q. 反発に対して、どんな風に関わってきたのですか?

鹿野ホーム長: やはり、みなさん不安があって「本当にそれをやっていいんだろうか?」って思うんですよ。そこを、繰り返し繰り返し、「なぜ変えるのか」「どんな効果があるのか」を丁寧に説明し続けました。

Q. 現場に変化はありましたか?

鹿野ホーム長: はい。始める前が一番大変で、いざやってみると「業務が効率的になった!」「ご利用者さんと関われる時間が増えた!」という声が拡がってくるようになりました。なので、なんだかんだ言いながら、2~3週間もするともう慣れてくれていましたね(笑)。

【Part.4】飛躍編 ケアの質を支えた「気づき」と「問い」

Q. 実証事業の参加をきっかけとして、人員配置基準の特例的緩和(3:0.9)の当社第一号ホームになりましたが、「目線」が変わったと感じる瞬間はありましたか?

末田ケアマネジャー: ありましたね。一番印象的だったのは、「そもそも、何でそれをやっているんですか?」というホーム長の一言でした。「確かに……何でだろう??」と、立ち止まって考えたんです。それまでは「当たり前」として流していたことを、根本から問い直すきっかけになりました。

Q. それが、ケアにも影響した?

末田ケアマネジャー: はい。毎週火曜日にケアカンファレンス(※2)を開くようになってから、「それって本当に本人のため?」という問いがよく出てくるようになりました。みんなが「この支援は本当にお客様が望んでいるものなの?」という視点へと変化し、ただのルーティンではなく、「今、それが本当に必要なのか?」を問い直すようになりました。

※2 ケアカンファレンスとは

医療や介護の現場で、ご利用者や患者にとって最適なケアやサービスの質の向上を目的として行われる会議

Q. 最初は葛藤もあったのでは?

末田ケアマネジャー: 正直、今までやってきたケアを「必要じゃない」って言われたときは、自分のこれまでの仕事を否定されたようで、受け入れられませんでした。「今まで頑張ってやってきたのに…」と。でも、やってみたら違っていました。必要なことは「お客様にとって、本当に必要なことに向き合う」姿勢だったんですね。今では「目線が変わった」「見え方が変わった」と感じることが多くなりました。何が冷たいのか、何がやさしさなのか、考え直す機会をもらえたのは、大きな財産です。

Q. お客様の反応は?

鹿野ホーム長: 実は、何も変わっていないんです。これってすごいことだと思っていまして、スタッフが4~5人減っても、散歩もできているし、お客様の生活は何も変わっていないんです。今日も実は、これから誕生会をやりますし、満足度は落ちていないんです。これはスタッフ一人ひとりの頑張りと、役割分担の工夫の結果です。

【Part.5】未来編 「やってみたからこそ、“見えた世界”」を伝えたい

Q. 今後やりたいことは何ですか?

鹿野ホーム長: お出かけ支援を積極的にやりたいですね。実はいま、セカンドスタッフが行っているリネン交換を外注にする話がでています。そうすれば、セカンドスタッフに余力が生まれてきます。 その時間を活用して買い物や旅行、諦めていたスポーツ観戦等お客様の希望を叶えるプラスワンのサービスとして、お客様に還元できるようにしたいと思っています。

Q. 他の事業所へのメッセージをお願いします。

鹿野ホーム長: 変化は怖いです。でも、やってみると「できるんだ!」って分かる瞬間が来ます。無理が当たり前になる。だからこそ、皆さんにぜひ挑戦して欲しいです。

末田ケアマネジャー: 不安に寄り添い、対話を重ねながら、1人ずつ仲間を増やしていく。そうやって、チームが一つになっていく・・・そのプロセスこそが、一番の成果であり財産だと思います。

【編集部まとめ】

「変わるのがこわい」―― その素直な気持ちを無視せずに、正面から向き合いながら、一歩ずつ歩んできた「みんなの家・土呂栄光荘」の皆さん。鹿野ホーム長やケアマネジャーの末田さん達が目指したのは、“無駄をなくす”ことではなくて、“本当に必要なケアに集中する”ための「業務の整理」という、新しい「当たり前」の姿でした。変化を恐れず、新しい取り組みに勇気をもって踏み出した「みんなの家・土呂栄光荘」の挑戦はいまも続いています。

編集部:ALSOK介護株式会社  

事業管理部 教育研修課