小規模多機能型居宅介護みんなの家・稲城長沼
【一日一心】同じ空の下~
YO~みなさん、ご無沙汰しております~
最近ブログ更新をサボっている、みんなの家・稲城長沼の王です~
気づけば12月、今年もいよいよラストスパートですね!
年末の賑やかな雰囲気にワクワクする一方で、冷たい風が肌を刺す季節でもあります。
寒さも本格的になり、風邪や感染症が流行りやすい時期。皆さん、体調管理には十分ご注意くださいね!
手洗いやうがい、マスクなどの基本的な対策をしっかりと。
そして何より、バランスの良い食事と十分な睡眠が大切です。
「早寝早起き」と言いつつ、ついつい年末特番を見てしまう私のような人も、気をつけましょう(笑)
今年の終わりが皆さんにとって穏やかで健康な日々になりますように。
忙しい中でも、少し立ち止まって、温かいお茶でも飲みながらほっと一息つける時間を作ってくださいね!
息子の写真、ついに解禁!?
「息子さんの写真、見てみたいです!」
そんな声をちらほらいただきつつ、これまで頑なに公開を控えてきた私。
しかし、今日は特別な日。
読者の皆さんのご希望にお応えして、息子の顔写真をついにお見せすることにします!
とはいえ、事前に少しだけ心の準備を。
彼はまだ子どもですが、なかなかの破壊力(いろんな意味で)を持っています。
笑顔ひとつで心を癒す反面、見る人を驚かせる不思議な魅力も…?
では、こちらです!
さて、今回は外出レクをご紹介します~ ※プライバシー保護の観点から、他の方が特定されないように加工を施しております。
今回の外出レクに登場の4名様をご紹介します~
今日は特別な日だった。
冬の空は青く澄み渡り、遠くの山並みがくっきりとその輪郭を見せていた。
冷たい空気を切るように、施設の車が静かに走り出す。
今日は特別な日だった。
稲城市役所のホールで、障害者支援団体が主催する和太鼓の演奏会が行われるのだ。
利用者様たちにとっても、この地域と共に生きる施設にとっても、外の世界とつながる大切な一日だ。
「和太鼓なんて、何十年ぶりだべなぁ」
90代の利用者、Uさんが微笑みながらつぶやく。
Uさんはかつて地元で梨園を営んでいた。
畑に響く収穫の音と風の匂いが懐かしいというが、今は杖が手放せない。
それでも、この外出を何より楽しみにしていた。
「骨が折れて寝たきりになるかと思ったけど、なんとか歩けるようになったよ。これも、みんなのおかげだな」
後ろの席からは、口元にほんのり微笑みが浮ぶSさんの声がした。
1年前で骨折し、一時は要介護状態だったが、懸命なリハビリの末、今は支援レベルまで回復している。
Sさんの言葉には、控えめながらもどこか誇らしさがにじんでいた。
「あたしもそうですよ、ここで1ヶ月の泊りを利用しなかったら、自宅に戻る自信がないわ」とWさんも頷きながら笑っていた。
車がホールに、皆様はお互いを支え合い、会場にたどり着いた。
舞台には大小さまざまな太鼓が並び、すでに低く深い音が会場に響いていた。スタッフの説明が始まると、利用者様たちはその話にじっと耳を傾けた。
「演奏者の中には、耳が聞こえない方々もいらっしゃいます。音を聞く代わりに、太鼓の振動を全身で感じて演奏していますよ。」
その言葉に、利用者たちの目が丸くなる。
「音が聞こえなくても、こんなふうに叩けるなんてすごいねえ」
Sさんが感心したように呟くと、Wさんも小さく頷いた。
障害者週間2024 in いなぎ 「いなぎで自分らしく生きる」
やがて、ホールに太鼓の轟音が響き渡る。
障害者たちが力強く叩き出すリズムに、利用者たちの顔が次第に明るくなっていく。
手拍子をする人、リズムに合わせて身体を揺らす人、
それぞれが自分の方法でその音を受け取っていた。
演奏が終わると、太鼓を体験する時間が始まった。
Wがバチを手にすると、小さな男の子が駆け寄ってきた。
「こうやって叩くんだよ!」
その声にWさんは笑いながら答える。
「教えてくれるのかい?頼もしいな。」
みんながぎこちなくも一緒に叩き始めると、その音が重なり合い、不思議な一体感が生まれた。
スタッフの僕と篠崎さんは最初戸惑いながらも、その優しい仕草に心を開き、一緒に太鼓を叩き始めた。みんなは言葉を交わさずとも、笑顔だけで通じ合っていた。
人は一人では生きられない。 誰かとつながることで、その人生は色づいていくのだ。
人生の歩む道は皆異なる。
それでも、この太鼓の音が響く今だけは、
みんなが同じ空の下でつながり合っている。
帰りの車では、太鼓の話題で賑わっていた。
「叩くと体にまで響くのね!」
「またやってみたいなあ。」
「今日の音は、ずっと忘れないよ。」
人はどんな年齢でも、どんな状況でも、
自分らしく生きることができるはずだ。
高齢であろうと、
介護が必要であろうと、
人生を味わうことはできる。
みんなの家はそのためにある。
地域とつながり、共に支え合うことで、利用者一人ひとりの「らしさ」を守りたい。
同じ空の下、いくつもの人生が重なり合う瞬間があった。
それぞれのらしさが音となって響き合い、ひとつの大きな和音を奏でていた。
冬の空に夕日が射し始めていた。
太鼓の音が胸に残ったまま、誰もがそれぞれの帰り道を進む。
その一歩一歩が、自分らしい人生の続きを刻んでいくのだと、
僕が信じている。