老人ホームと介護施設は何が違うの?|実際の施設も紹介
介護施設は介護を受けられる施設の総称で、老人ホームは主に有料老人ホームを指すことが多いです。
私たちは「老人ホーム」とひとくくりにしがちですが、実は高齢者向けの住まいにはさまざまな種類があります。
「終の棲家を探そう」「介護が必要になってきた親が安心して過ごせる老人ホームを見つけたい」と思ったら、まず介護施設・老人ホームの種類について学んでおきましょう。
この記事には以下の内容が含まれています。
こんなにある!介護施設の種類
一口に「介護施設」といってもさまざまな種類があります。
主な介護施設の一覧表
表1
特別養護老人ホーム | 介護老人保健施設 | 介護療養型医療施設 | 介護医療院 | |
---|---|---|---|---|
施設の用途・役割 | 終身まで利用可能な介護や支援のある施設 | 退院後リハビリで在宅復帰をめざす 入所は原則3ヵ月 |
医療ケアが第一の目的 *2024年に廃止予定 |
介護療養型医療施設にかわり長期療養の介護施設 |
入居対象 | 原則要介護3以上 | 要介護1以上 | 要介護1以上 | 要介護1以上 |
常に介護が必要で在宅介護が困難 | 退院したがそのまま家に戻るのは難しい状況 | 急性期の治療は終えたが在宅での介護は難しい状況 | 介護療養型医療施設にかわる施設(2018年〜) | |
申込み時の地域条件 | 住民登録を優先する自治体が多い | 特になし | 特になし | 特になし |
主な設置主体 | 地方公共団体 社会福祉法人 |
地方公共団体 医療法人 |
地方公共団体 医療法人 |
地方公共団体 医療法人 |
介護について | 施設内の介護スタッフによる |
表2
グループホーム | 有料老人ホーム | サービス付き高齢者向け住宅 | ||
---|---|---|---|---|
介護型 | 住宅型 | |||
施設の用途・役割 | 認知症の高齢者向け共同住宅 | 介護サービス付き民間施設 | 食事や家事支援がある高齢者向け住居 | 高齢者向け賃貸住居 福祉と生活相談サービス |
入居対象 | 要支援2以上 | 要支援1以上 | 自立 要支援1以上 |
自立 施設によっては要支援〜 |
認知症の診断を受けており、共同生活に適応できる | 対象基準は各施設により違う | 自立している高齢者の入居も可能 | 一般的に元気で支援の必要がない人が多いが、要支援・要介護を受け入れるところもある | |
申し込み時の地域条件 | 住民票のある自治体のみ | 特になし | 特になし | 特になし |
主な設置主体 | 民間が主流 | 民間が主流 | 民間が主流 | 民間が主流 |
介護について | 施設内の介護スタッフによる | 個別に介護サービスと契約 *介護スタッフがいるところもある |
*上記の内容は一般的な解釈をまとめています。各施設によって詳細な内容は異なることがあります。
*参考:厚生労働省(高齢者住まいの概要)
:高齢者施設「お金・選び方・入居の流れ」がわかる本/太田差惠子著
種類はもっと細かく分けられますが、この一覧表ではわかりやすいように主な介護施設を取り上げています。実際に入居を検討する時点で、候補にあがった施設の詳細を確認しましょう。
ここでは「こういう人がこういう施設を利用することができる」とおおまかな種類を把握していただければと思います。
介護施設の種類「公的施設と民間施設」
介護施設は大きく分けると2つの種類があります。
- 公的施設
- 民間施設
先ほどの表の項目に 「主な設置主体」という聞き慣れない言葉がありますね。設置主体とはどこが施設を開設したかという意味です。運営と似ていますが、あくまで施設を設置した(開設した)ところです。
設置主体が自治体や社会福祉法人の場合、公的施設となります。
介護保険3施設とは
上記の表にある公的施設で、次の3つをまとめて「介護保険3施設」としています。
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム、いわゆる「特養」)
- 介護老人保健施設(いわゆる「老健」)
- 介護療養型医療施設(介護医療院へ移行中)
3つの施設は介護保険サービスで利用できます。原則として要介護認定を受けた方が対象です。
特徴としては、入所時に「一時金」のような初期費用がかからず、全体的に民間の介護施設と比べて割安な点があげられます。介護保険施設であっても食費などの「自己負担分」は発生します。しかし所得が低いなど一定の条件にあてはまれば、負担軽減制度を利用することができます。
特別養護老人ホームと介護老人保健施設の違い
特別養護老人ホーム(特養)
- 入居は必要性の高い人が優先
- 要介護3以上
- 入居後は終身利用できる
特別養護老人ホーム(特養)は入居の基準をポイント制で決めています。ポイントは要介護度や、在宅介護が困難な理由などによって加算され、ポイントが高い人から優先的に入居できます。
入居対象は原則として要介護3以上です。要介護3は、寝返りなどが自力でできない、排泄から入浴まで日常的な生活に介助が必要な状況です。看取りについては施設により対応が違いますが、基本的に入居したらずっと居住できます。
介護老人保健施設(老健)
- 病院を退院後、リハビリなどをして家に戻ること(在宅復帰)をめざす
- 病状が安定している
- 入院治療の必要性がない
介護老人保健施設(老健)は、ひと言で説明すると「家と病院の中間地点」です。基本的に在宅に戻ることが目的なので、入居期間は3ヵ月が目安となっています。ところが実際には半年以上となる人もいます。
退院後の介護施設ということで、病院に併設されている、あるいは医療法人が運営している施設が多いのも特徴のひとつです。一応、期限が区切られているので特別養護老人ホームよりは入りやすいといわれています。いずれにしても一定期間で退所する施設です。
有料老人ホームとは?
個人の希望にあわせて選びやすい有料老人ホーム
シニア世代にとって人生後半を過ごす終の棲家については、さまざまな希望があるでしょう。
- 建物がきれいで設備が整っているところがいい
- 食事にこだわりがあるところに入りたい
- アクティビティなどに力をいれている施設がいい
- 個人の時間を尊重してほしい
- お風呂など規定日数以外に臨機応変に対応してもらいたい
民間の老人ホームは特色を出すために、さまざまな工夫をしている施設が多く見受けられます。たとえば食事でも、毎日数種類の献立から自由に選べたり、フレンチや和食のシェフが腕をふるったり、薬膳料理がおすすめなんていうところもあります。もちろん、流動食や刻み食などにも対応しています。
有料老人ホームはたくさんのタイプがあるため、それぞれの希望を叶えられる施設を探しやすいのがメリットですね。
介護保険施設と有料老人ホームの違いは「費用」?
少し古い情報にはなりますが、平成26年の厚生労働省による調査結果を見ると、特別養護老人ホームの施設数は7,865戸となっています。一方、有料老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅は含まない)は平成30年では14,454戸です。
有料老人ホームは施設数も多く、入居にポイント制のような規則もないため、比較的早くに入居できるのが大きなメリットです。
介護保険施設と有料老人ホームの大きな違いとしては、これまで「入居一時金の有無」があげられていました。ひと昔前の有料老人ホームは最初に1,000万円以上の入居一時金を支払うところも珍しくなかったのです。
今は有料老人ホームもいろいろなものがあり、たとえばALSOK介護の有料老人ホームでは、入居金なしの月払いプランもあります。
実際の老人ホームはこんな感じ!
冒頭の一覧表を見ていただけるとわかりますが、有料老人ホームにも2種類あります。
- 住宅型有料老人ホーム
- 介護付有料老人ホーム
では住宅型・介護付有料老人ホームはどのような感じか、ちょっとのぞいてみましょう!
住宅型有料老人ホーム「すこや家・志木」
特徴
- 24時間365日専門スタッフによる相談が可能
- 自立の方から認知症・寝たきりの方まで幅広く対応
- 居宅介護支援事業所・訪問介護事業所を併設
さまざまな状況の方が入居できる住宅型有料老人ホームです。
また注目したいのが、たとえばお寿司を食べにドライブに出かけたり、付添をお願いして自由に近所に外出できる「ゆとりある日常生活」をおくることができるところです。
こちらはお部屋に合わせた3つの月額プランがあります。入居金が0円なのが助かりますね。
介護付有料老人ホーム「みんなの家・大宮内野本郷」
特徴
- 主に介護が必要な方の有料老人ホーム
- 当該ホームのケアマネージャーによる介護サービス計画(ケアプラン)の作成
- そのケアプランに沿ったサービスの提供
- 食事の介助、入浴の介助など
要支援・要介護認定1以上の方を対象とした「介護付」有料老人ホームです。24時間体制で介護スタッフが常駐しています。居室内、トイレや浴室などにも緊急コールが設置されており、安心して暮らすことができます。
高齢者向け施設の種類はざっくりわかっていれば大丈夫!
老人ホームの種類をすべて把握して理解しようとすると、正直なところ頭の中が混乱してきますよね。
ここで紹介したものは「大きく分けた、主な高齢者向け施設」であって、実際にはもっとたくさんの高齢者向け施設があります。
ですが、高齢者向け施設の種類はこの記事で紹介した程度にざっくりとおおまかに把握していれば充分です。あまり難しく考えず、いろいろな施設があり、入居の条件や個人の状況に合わせて選択肢があるのだな、と捉えておけばいいのではないでしょうか。
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